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第8話 最悪のエピローグ

※注意※

この話では多少グロテスクな表現が含まれますので苦手な方はブラザバックを推奨します。



 夏希なつき訃報ふほうを知り、途方に暮れながらアパートの階段を上る。


 すると、俺の部屋の郵便受けには一通の『白い手紙』がはみ出てあった。


「なんだ... これ...」


 チラシやセールスなどではないことは一目見てわかった。


 そして、なぜかその手紙を開けなければならない気がした。


 俺はその『白い手紙』を手に取る。


 手に取るとその手紙からは香水だろうかいい匂いが漂ってきた。


「この匂いは...」


 俺は匂いを嗅いで、ある人物を思い浮かべた。


「なつ...き...?」


 この香水の匂いは間違いなく夏希のものだった。


 連絡先を交換したあの日。


 俺はこの匂いは真近で嗅いだ。


 自分で言ってて気色悪いが、忘れるはずがなかった。


 俺が唯一、あんなに長く夏希と話をした思い出の日を。


 そして俺はこの『白い手紙』が夏希のものであることを確信し、直ぐさまその場で手紙を開封する。



 拝啓 碧生くんへ。



『トントン』


 文頭を読んでいる最中。

 左肩を軽く叩かれた。


「...?」



 俺は咄嗟とっさに後ろを向いた。



 その瞬間。



 腹部に強い痛みがはしった。




「...は?」




 気づけば俺はナイフで腹部を刺されていた。


 俺はその場に倒れ込む。


 口から出てくる血。

 刺し傷から溢れ出る血。

 俺の血で染まった『白い手紙』。


 目の前には、俺を刺したであろう黒ずくめの人物。


「だ...れだ...おま...え.....」


 必死に声を絞り出す。


 初めてナイフで刺されたが思ったより痛く、声が出せなかった。


「なんか...しゃべっ...たら...どう...だ...?」


 ニヤけて黒ずくめの人物に問う。


 ただ反応はない。


 そして、黒ずくめの人物はマッチを取り出し俺の横に落ちた『血に染った手紙』にマッチを投げつけ火をつける。


「なる...ほど...な...こ...れが...ねらい...か......」


 こいつの狙いは夏希の手紙。

 ということはつまり、こいつが夏希を...?


 用が済んだのか黒ずくめの人物はその場から立ち去ろうとする。


「おい...まてよ...まぬけ...ひとつ...きかせろ」


 黒ずくめの人物は立ち止まり俺に耳を向ける。


「おまえが...なつき...を...ころしたのか....?」


「........」


 やはり反応ないか。

 そう思ったその時。


 黒ずくめの人物は黒色のマスクを外し、笑みを浮かべて立ち去って行く。


 立ち去るアイツを睨みながら、俺は最後の力を振り絞り大きな声で言い放つ。


「ふざけやがって...!!」



「地獄に堕ちろ...!!」



 この言葉がアイツに聞こえたかはわからない。

 まあ、俺にとってはどうでも良かった。

 なぜなら俺はもう、死ぬから。



 出血が多く、体温が下がっていくのが感じられた。


 だが今も隣で燃えている手紙のせいで暖かさも感じる。


 燃えているからだろうか。

 夏希の香水のいい匂いもよく香る気がする。


 ふっ、違う意味でも温まるな。



 夏希、悪いな。

 そろそろ俺もそっちに行くわ。


 でも、なんだか嬉しいな。

 夏希に会えると思えば。


 徐々に意識が朦朧もうろうとしてくる中、どこからか声が聞こえてきた。



「少し、早すぎるかな」



 声が聞こえた。


 目を開けると、そこには夏希がいた。


 これが現実なのか妄想なのかは今の俺にはわからない。


 ただ...


「会えて嬉しいよ... 夏希...」



「私もだよ、碧生...」




 俺たちは涙を流しながら、互いに抱きしめあう。



「寂しかった?」



「あぁ。寂しかった」



「私も」



 そして、夏希の腕に抱かれながら最後の言葉を言う。



「夏希、好きだよ...」



「うん、私も。昔から。ずっと...」




 暖かなこの場所で、ふたりは永遠の眠りにつく──。




─2026年─7月25日─。


 続いてのニュースです。


 昨晩、24日にて埼玉県〇〇市で


『アパートの部屋の前で人が血を流して倒れている』


 などという110番通報があり警察官が現場に駆けつけたところ、高校1年生の男子生徒が腹部から血を流し、倒れていたところを発見しました。


 男子生徒は病院に運ばれましたが、その後...



─エピローグ─


 これが見えているということはそういことだな。


 なら、少しだけ俺の独り言に付き合ってくれ。


 この世界は理不尽で溢れている。


 どれだけ真面目で律儀で人に好かれていても、いつか必ず不幸は訪れてしまう。


 だから神様なんていないし願うだけ無駄だと思ってしまう。


 だって神様がいたらこんな理不尽で意地悪なことはしない。


 だからと言って真面目になるなとか律儀になるなとかではないが。


 でも、本当に神様がいるのならひとつだけ願いを聞いてほしい。



 もう一度───。


______________________

-あとがき-


やっとここまで来ることができました。

今まで見てくださった読者の皆様、本当にありがとうございます!


ちなみにですが、まだ続きます。


何度も言ってる気がしますが、ここらからがこの物語の始まりです!!


私も全力で書いていきますので、これからもどうぞよろしくお願いします!!

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