第7話 あなたに向けた最後のメッセージ
※注意※
この話を読む際は必ず前話である第6話をご覧ください。
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夏希が学校へ来なくなって3日が経った。
3日が経った今でも音信不通。
夏希の友達の真衣や早紀は学校の先生に相談し、橘家に行ったらしいが反応は無かったという。
何かあったとしか考えられないが、俺たちは何も出来なかった。
故に信じて帰りを待つことしかできなかった。
自分の無力さを恨みながら俺は今日も独りで帰る。
『ドンっ』
「あ、すみません」
下を向いて歩いてしまっていたため人とぶつかってしまった。
「こちらこそ、すみません」
相手の方もこちらの顔を見て謝罪してきた。
?
俺はその顔に見覚えがあった。
見覚えというよりこの顔つきは...
「夏希?」
思わず口にしてしまった。
それも無理はなかった。
なぜなら目の前に夏希がいたから。
「?」
ただなぜか夏希は困惑している。
「夏希さん、俺だよ。碧生。船橋碧生。」
すると夏希?は何かを察したように口を開いた。
「夏希のお友達かな?」
「え?」
「驚かせてごめんね。私、夏希の姉の千秋。」
「お姉さん?」
ようやく目が覚めた。
俺は夏希のお姉さん(千秋さん)を勝手に夏希だと認識していた。
よく見れば顔つきは少し大人っぽくて、身長も俺よりも高かった。
流石、姉妹と言ったところかお姉さんもとても美人だった。
服装は黒のワンピースのようなものを着ている。
ただこの服はオシャレというより...
この時、すごく嫌な予感がした。
しかし、俺は直ぐにそれを心の棚にしまいこんだ。
そんなこと、ありえないと。
ただ、万が一の可能性があるため言葉をしっかりと選んだ上で俺は質問する。
「千秋さん。大変失礼ながら単刀直入に言わせて頂きます。夏希さんは...」
「...」
千秋さんは目を瞑った。
そして、小さな声で。
「夏希は3日前に他界しました」
「...?」
その瞬間、頭が真っ白になった。
夏希が、死んだ...?
一瞬、何を言っているのかもわからなかった。
いつの間にか俺は膝から崩れ落ち、涙を流していた。
「ごめんなさい、また驚かせてしまって。」
千秋さんは俺を抱きしめてくれた。
ただそれは俺の涙腺を崩壊させてしまった。
「全部、吐き出していいよ。それを全て私にぶつけて」
その優しい言葉は俺の心をいとも簡単に溶かした。
「1年前から好きだったんです。そしてようやく仲良くなれたのに...ようやく...」
千秋さんは俺の頭を撫でながら鞄からあるものを取り出した。
「これって...」
「そう、夏希のスマホ」
「夏希が亡くなる前、あの子はこれは肌身離さず持っていた」
「悪い子ね。恐らく歩きスマホをしてたんでしょう」
「でも、私が言いたいのはそこじゃない」
「夏希は碧生くんにあるメッセージを残していたの」
「ただそれは送信できていなかったけれど」
「でも、そのメッセージを私は見てない」
「これは碧生くんに見せなきゃと思って」
「だから私はここに来たの」
「これが、夏希があなたに向けた最後のメッセージ」
「あの子が残した最後の言葉」
夏希のスマホ画面が開かれると、そこには俺のトーク画面が映し出された。
そこには生前に書いていたのであろうメッセージの入力欄にこんな言葉が入力されていた。
なつき : 「学校でも全然、私に話しかけて良いからね!
もし、私に直接言いにくいことがあったら、
ここにでも良いから何でも言ってね! すきだよあおいくん」
言い忘れたと言っていたあのメッセージの続き。
しかし文末の言葉は...
「最後の力を使って碧生くんにこれだけは伝えたかったんでしょうね」
「最後の力... 千秋さん。夏希はどうして...」
千秋さんは顔を強ばらせながら言う。
「... 最近頻発している通り魔よ」
「恐らく文の途中まではまだ被害に遭ってなかったけれど最後の一言は被害に遭った後だと思う」
違和感の正体はそれか。
だから平仮名で...
想像するだけで吐き気がする。
夏希が死を悟って最後の言葉を俺に...
両思い、だったんだな。俺ら...
その後、俺は夏希の通夜に参列した。
まだ、夏希が亡くなったなんて信じ難い事実で。
ただ、それは千秋さんや親族の方も同じだろう。
通り魔。
冷静に考えればニュースでやっていた気がした。
ここの近所で通り魔の被害があったと。
だが俺はそのことを見ぬふりをして勝手に蓋を閉じていたんだと思う。
そんなことはありえないと。
そして、再び俺は帰路につく。
無意識に下を向いていたからだろうか。
人や電柱にぶつかりながらも歩き続ける。
ただ何も感じない。
夏希が死んだのは俺のせい。
俺がメッセージを送っていなければ、夏希は家を通り過ぎることなくそのまま帰れていた。
俺が、メールを送り続けたから。
夏希は、死んだ。
しばらくして家に着いた。
フラつきながらも階段を上る。
すると家の郵便受けに白い手紙がはみ出ているのが見えた。
チラシやセールスなどではない。
それだけはわかった。
ただ俺は、あの手紙をいち早く見なければならない気がした。
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-あとがき-
ここからがこの物語の本当の始まりです。




