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第4話 よろしくお願いします!(スタンプ)

-用語紹介-

予鈴よれい : 開演や授業開始前に鳴らすベル。

______________________



「キミが、俺をグループに入れてくれ」


 夏希なつきの目が丸くなり、ほおも紅くなっている気がする。


 あ、なんか調子に乗ってキザなことを言ってしまった。

 何してんだ俺は。

 終わったわ。



『夏希にグループを入れてもらうついでに連絡先を交換しよう大作戦、失敗。』

【失敗原因 : 調子に乗った】



 それから数秒の間が空いた。


 気まずい空気が流れる中で最初に口が開いたのは夏希だった。



「...いいよ」


 気弱い小さな声で言う。


 意外な回答に思わず俺も返答する。


「え、良いの?」


 え、良いんだ。

 あんなこと言ったのに。


「やっぱダメ」


「え〜〜~!!」


「嘘だよ。でも碧生あおいくんからあんなセリフが出てきてちょっとビックリした」


「あ、あれは場を和ませるアメリカンジョーク的な?」


「はいはいそーですか。早くQRコード見せて」


「はい」


 ついにこの時が...俺が直接、夏希と連絡先を交換している...


 ふっふっふ、見たまえ男子諸君。

 君たちはどうせグループからの追加だろう?

 はっ(笑)

 俺、直接だけど。夏希のスマホのカメラが俺のスマホを写してるけど。


 俺はニヤニヤしながらスマホの画面に映っているQRコードを夏希に見せながらニヤニヤして教室の周りを見渡した。


 突如、全方位から殺気を感じる。

 それはまるでオオカミがウサギを狙っているかのような目だった。

 俺、このあと食われるかもしれない。

 助けて夏希...


「これでよし。 ん?」


「ん? どうかした?」


「いや、このアイコンの猫ちゃん可愛いなと思って。もしかして猫ちゃん飼ってるの?!」


 夏希は目を輝かせて自分のスマホの画面に顔を近づけた。

 どうやら夏希は猫が好きらしい。


「この猫は野良だよ。よく家の周りに来るんだよね」


「そうなんだー、良いな〜」


「猫、好きなんだ」


「大好き、良く猫ちゃんの動画見まくってる。この壁紙は宇宙?」


「宇宙も好きだけど、これは有名な観光スポットの夜空」


「へぇ〜綺麗〜。観光スポットってことは行ったことあるの?」


「行ったことは無いんだけど、いつか行ってみたいと思ってて。」


「いつか、行けるといいね」


「うん」


 付き合ったらこういう場所へ夏希と一緒に行くことができるのだろうか。

 いつか行きたいな。


「夏希さんのアイコンはかき氷? めっちゃ美味そう」


「これは中学生の時に行った夏祭りのかき氷で思い出に撮ったやつ。楽しかったなぁ」


 夏祭りか。あの2人(飛彩と冬馬)とも行ったことないな。

 夏希と一緒に行けたらどんなに幸せなことか...

浴衣姿とか見てぇ〜。


「じゃあ壁紙の花火も夏祭りの時の?」


「そう、やっぱり夏祭りと言えば花火だねよ〜。綺麗だったなぁ〜。」


 すると夏希は悲しそうな顔を見せた。

 何故、悲しそうにしているのかは聞かなかったが何かあったのだろうか?それともただ単に懐かしくてなのか?


 少なくとも、まだ俺がこういうことを聞くには早いと思った。


『キーン、コーン、カーン、コーン』


 学校のスピーカーから予鈴よれいが鳴り響く。

 朝のSHR(ショートホームルーム)が始まるまで残り5分。

 そして、この楽しい時間が終わるまで残り5分。


「あ、そろそろだね」


「そうだね、じゃあまた」


「うん、またね」


 手を振って立ち去る彼女の姿は天使か女神か。

 まあ、どちらも同じか。



 色々あったがこうして、俺は夏希の連絡先をついに交換することができた。


 1年前から好きな女の子との関係の進展。

 ただこれは始まりにすぎない。


 進展が遅すぎる気はするが俺にとっては大きな1歩。

 この1歩を絶対に無駄にはしない。

 仲良くなって『好きだ』と言える関係に必ずなってみせる。


 1年の時を経て、キミと。



 ─時は進み、放課後になった。

 あれから話に行こうとするも...

 うん、無理すぎ。


 なんであんなに周りに人がいるんだよ。

 話に行くなんて無理だろ普通に。


 いや、まだだ。放課後、ここでキメる。

 今日は木曜日。部活はオフなハズだ。

 えーっと、夏希はどこに...


 って居ねーー。

 帰るのハエーー。

 まだそんなに遠くには行ってないハズだ。


 廊下を覗くとそこには...


「ねぇ、なっちゃん。今日、ファミレス行かない?」


「下心丸出しなんだよー。なっちゃんは私たちとファミレス行くの。」


「ねー。男子はあっち行ってー」


 なっちゃんだと???ぶん殴っ...おっとこれ以上はやめておこう。

 そもそも俺は文句を言えない。付き合ってないんだし。


 クソ、ダメか。

 また振り出しに戻るのか...

 いや何を言ってる俺は。


 こういう時の為に連絡先聞いたんだろうが!!


 そして俺は直接話すのを諦め、独りで帰路に着く。

 いつもはあの2人(飛彩と冬馬)と帰っているのだが、今日は独りで作戦会議をするために独りで帰っている。


 議題は『最初のメッセージ』だ。


 最初のメッセージ。これは非常に大切な問題である。

 初動でミスをすれば終わりだ。


 なんて送ろうか。

『うい』

ていうのもなんかチャラくて嫌だな。


「よろしくお願いします!(スタンプ)」もなんか素っ気なくて違う気がするなぁ。


 夏希のトーク画面を開きながら考えに考え尽くす。


「うーーん」


 スマホ 『ピコンッ』


「ん?」


なつき : 『よろしくお願いします!(スタンプ)』


「え」


 そして俺は放心状態となった。



______________________

〜あとがき〜


最近、新たなラブコメのアニメを観たのですか最高でした。今まで自分が観た中で1番だと思います。

今、放送されている話は全て観て、続きが気になりすぎて原作小説も買ってしまいました。

まだ読み切っていませんが最高です。

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