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第3話 キミが、俺を。

______________________




「ねえ」



 隣から綺麗で美しい声が聞こえてきた。

 正確に言えば斜め右だろうか。この方向は夏希なつきの席の方だが...



「え」



 思わず口にしてしまった。何故ならそこには夏希なつきがいたからだ。....なんで?



「な、なんで夏希なつきさんが?」



 俺は驚きを隠しながら理由を問い、夏希は視線を落として少し恥ずかしそうな顔で言う。



「私さ、耳が良くてね? 少し距離が離れてても会話聞こえちゃうんだよね... しかも自分の名前に敏感だから余計気になっちゃって...」


 可愛い。

 じゃなくて、


 え、聞こえてたの?会話、聞こえてたの?!

 なら俺の独り言も聞こえてたの?!

 俺の『ああ・・・可愛い』とかいう激キモな独り言、聞こえてたの?!


 いや、いくら耳良くても普通聞こえないだろ。教室の隅の席だぞ?

 ※夏希は碧生あおいから見て斜め右の1番端の席。


 しかも群衆クラスメートに話かけられまくって聖徳太子状態になってたじゃねえか。


 周りに聞こえないような声量で話していたはずだが...

 あ、そういえばエセ関西弁野郎(冬馬とうま)は普段声がデカいな。

 こいつのせいか?ってあの2人(飛彩ひいろ冬馬とうま)いつのまにか消えてんじゃねえか。


 空気を読んで俺らだけにしたのか?

 まあこれ以上考えても無駄か。聞こえていたのなら仕方ない。


 でも今考えると夏希目線だと怖いよな。

 教室の隅から自分の話をされていたらそれは気になるし、しかもそれがあまり話をしていない男子なら尚更なおさら気になるし嫌だよな。

 ただこのまま認める訳にはいかない。



『うん、夏希さんと連絡先をどうすれば交換できるかの話ししてたよ!』



 なんて本人(夏希)の前で言えねー。

 ならばどうするか。こうするしかない。



「実は、俺クラスLION(ライオン)入れてなくてさ、入る時は夏希さんに話した方がいいのかなーって言う話を飛彩ひいろ冬馬とうまとしてた」



 我ながら上手い逃げ方ができた。

 だがこれでは少し嫌味のように聞こえてしまったか?


 するとパンッと手を合わせて、これまで聞いたことのない声量で夏希はこう言った。



「ごめーーーーーーーーーーーーーん!!」



「!!!」



(本日のびっくりカウンターが1から2になった。)



 周りの生徒クラスメートがこちらを見ている。あの、自分は悪くないです。

 どちらかと言うと悪いのはあの2人(飛彩と冬馬)です。



「ごめんね、入ってると思ってた... 飛彩くんと冬馬くんには入れてもらえなかったの?」



「ああ、忘れてたんだと」



「え、そうなんだ。可哀想に... もう入れてもらえた?」



 あわれんでくれているその顔も可愛いな。

俺が彼女に可愛いと言える日は来るのだろうか。



「それがさ、もうグループができてから3ヶ月経ってるから入るのが気まずくて... ほらグループ入ると『◯◯がグループに追加されました』みたいなやつでるから...」



「うん、確かに気まずいね」



「でも何でグループに入ってなかったんだろう。入学式の日にクラスの皆んながいる時に作ったから、碧生あおいくんも居たはずだけど...」



 痛い所についてくるな...まあこの際、本当のことを言おう。



「グループ作った時、どうやら俺は腹痛くてトイレに行ってたらしい」



「あ、そうだったんだ。当たり前だけど教室の中は人が多いから全員いるかいないかなんてわからなかったなあ」



 すると夏希が椅子に座っていた俺と、同じ目線になるようにしゃがみこんで微笑みながら見つめて言った。



「改めて、ごめんね。次からはちゃんと碧生くんのこと見てるからね」



 こんなことまでして夏希に俺への好意は無いんだろう?こんなことされたら好意持ってないとわかってても好きになっちゃうよな。


 夏希がしゃがみに来て物理的な距離が近くなったからか良い匂いが漂ってきた。

 香水だろうか。良い匂いだぁ〜〜。ハッ! 

 マズイこのままでは天国に連れて行かれてしまう。


 そして俺は我に帰って冷静にツッコミを入れる。



「いやいや、子供じゃあるまいし。恥ずかしいからやめて」



 俺たちは共に微笑んだ。

 ん、今更だがさっき地味に凄いこと言われなかったか?



「気まずいのは私もわかるけど、このまま入れてないのもなんかあれだからこれを機に入っちゃえば?」



「うん、そのつもり。でもあいつら消えたからあとで入れてもら...」



 いや待て。これは絶好のチャンスなのでは?

 夏希が俺を直接グループに入れてくれるチャンスなのでは?


 こんな機会もう一生ないかもしれない。

 しかも、グループに入れてもらうついでに連絡先も交換できてしまうではないか。


 まさかアイツら、これを読んでこの場から消えたのか?てっきり逃げたのかと思っていたがナイスだ。


 ん、待てよ?グループに入った時の通知って確か『◯◯が◯◯を追加しました』みたいなやつじゃなかったか?


 これは...


 俺と夏希がただならぬ関係ということをアピールできるチャンスではないか!!

 ※そんなことは無い

 そしていつも夏希に群がっている男子共に思いしらせるのだ。


 妄想↓



『男子諸君、聞いてくれたまえ。俺と夏希はだな...』



『グサッ』

↑男子達が弾け飛ぶ音



{ビクトリー(勝利)}



 ふふふふふふ。

 俺は勝利の笑みを浮かべた。



「ん?どうしたの?」



 夏希が首をコトンッとかしげて俺の顔を見る。



「夏希さんさ」



「うん」



「キミが、俺をグループに入れてくれ」



 と、俺は少しカッコつけて言ってみたのだった。




______________________

〜あとがき〜


夏希、耳良いですね〜。でも自分の名前に敏感なのは私もわかります。案外あるあるなのかもしれませんね。

話は変わりますが第3話にしてタイトル回収のようなタイトルになりましたね。

ただ、まだまだ続きますのでどうか温かい目で見守っていただけると幸いです。


タイトルに触れたのでこの話もしたいと思います。

※ここからは少々ネタバレを含みますのでご注意ください。

(碧生 : 作者がネタバレするなよ)


この作品のタイトルの「時を遡って」という部分。

この言葉から察するにこれから起こる展開は皆様もわかってしまわれると思います。

そして、皆様はあるあるな展開だなと思うはずです。

ですが、そうなった上で碧生達がこれから先どう向かっていくのかを考えて書いていきますので、あるあるな展開になる中で、どうなるのかを楽しんでいただけたらと思います。


最後に。

この世には様々な素敵な作品があるなかで、どうしてもテーマ的に似てしまう部分があるかと思います。

それは本当にすみません。

ですが私は私の考える独自のストーリーをこれからも考えて行きますので、どうかこれからもよろしくお願い致します。

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