第19話 夕日に輝く少年
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─激突事件を経て、俺は夏希からバドミントンを教わっていた。
「じゃあ、碧生くん。サーブ打ってみようか」
「う、うん」
左手でシャトルの羽の部分を持ち、ラケットを身体の前で構え打つ。
いわゆる、『ショートサーブ』というやつを俺はやってみせる。
「お、良いショートサーブだね。でも...」
ネットの反対側にいた夏希がこっちに来る。
え、まさかブチギレか?と思ったが。
「手首だけを使って打つと痛めちゃうから、腕全体を使うようにして打ってみて」
と言いながら俺の手や腕などを触りながら教えてくれる。
近っ!そして、躊躇いなく触ってくるじゃん...
俺、臭くないかな...汗でベトベトじゃないかな...?
...というか、この感じあの時を思い出すな。
俺が夏希を好きになった中三の頃。
体育でバドミントンの授業をしている時。サーブやラリーもできなかった俺にやり方を教えてくれた、あの日のことを。
「うわぁ、アイツ羨ましい〜。俺も夏希さんにマンツーマンで教えてもらいてぇ」
「それなぁ〜」
外野から声が聞こえる。どうやらこの状況を羨んでいるようだ。
安心しろ少年たち。前世の俺も、その立場だったから気持ちはわかるぞ。
「(ピッピーッ)はーい、今日はこれでおしまーい。片付けてー!」
笛の音と共に猪原先生の「片付けてー」という声が聞こえてくる。
「あら、もうおしまいか。あっという間だったね」
「そうだね。それと夏希さん、今日は教えてくれて本当にありがとう」
「ううん、気にしないで。これからも頑張ろう!」
「うん」
そうして、記念すべき最初の部活は幕を下ろした。
それにしても、とても充実した時間だった。
夏希と2人きりでバドミントンを教わり、互いに笑いながらラリーをしあい...
「最高...」
今の気持ちを表すなら、この2文字が最適だろう。
欲を言えば、一緒に帰りたかったが、夏希はどうやら先生と話をしているようなので誘うのはまた今度にしよう。
本当に、誘えるかな...
まあ、とりあえず、今日は上手くいって良かった。
あ、そうだ。、帰ってからしっかりと復習をしよう。
漫画で。
というのは冗談で近くの公園にでも行って素振りでもするか。
そして、俺は夕日に照らされながら家に帰った。
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─「彼、どうだった?」
「上手かったですよ、とても。特に良かったのは、どんな羽根でも取れるところですかね。小学校からバスケをやっていたそうですから、瞬発力が凄かったです」
「なるほど、それは乞うご期待って感じか。果たしてどこまで追いつけるか。今後もよろしくお願いするよ、橘さん」
「はい、喜んで!」
「ただ、自分の練習も怠らずに」
「はい、肝に銘じておきます」
「それじゃあ、さようなら」
猪原先生との話し合いが終わり、私は帰路につく。
話が長引くかもしれないからと、友達には先に帰ってもらっていた。が、案外早く終わってしまった。
「まあ、たまには独りで帰るのもアリか」
そして、私はなんとなく、今日あった出来事を振り返ってみることにした。
まずは、碧生くんがバド部に入部した理由だろうか。
正直、驚いた。まさか、私がいるからという理由で入部したとは...
でも、そこまでするってことは。
「私のこと、好きなのかな...?」
まだ断定はできない。もしかしたら、ただ単に『親友』になろうとしているだけかもしれないし。
...本当に?
いや待って私、早まるな。こんなこと、私が考える必要はない。
なぜならこれは本人しか知らないことだから。
「あ〜あ。恥ずかしい、私」
独りで顔を赤らめていると。
「ヒュッ、ヒュッ」というラケットを振る音が聞こえてくる。
そして、その音がする公園の方を見たら。
そこには、夕日に照らされながら素振りをする、『独りの少年』がいたのだった。
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-あとがき-
今回のタイトル、お気に入りです。
後、ストックがどんどん増えてきていて、とてもHappyです。
最近、連載を始めた『死ぬかと思ったら美少女に助けられました』の方もストックを貯めなければ...
こちらの作品の方も、よろしくお願いします!




