第11話 リスタート
-用語紹介-
鬱憤 : 外に出せずに心の中にため込んだ怒りや不満、うらみのこと。
※参考文献 : Google AI
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─タイムリープをして三日後。
元々通っていた中学校に別れを告げて。
今日から俺は夏希が通っている中学校へと転校することになった。
「これも歴史通り、か...」
前世でも同様にアパートの火災が原因で俺は中学校を二年生の途中に転校している。
中途半端な時期に転校してきた為、クラスメイトはもの不思議そうに俺を見ていた気がする。
「あの時、すげぇ緊張したんだよなぁ」
今まで仲良かった友達と別れ、新天地で新たに過ごしていく。
しかし、周りには既にグループが出来ていて自分だけが孤立してしまう。
転校って本当に最悪だ。
でも、今は違う。
俺は未来を知っている。
所属するクラス。
担任の先生。
クラスメイト。
自分が座る座席の位置etc...
なにも不安がる必要はないが...
一つ不安なのは。
『夏希と仲良くなれるか』だな。
俺がここに来た理由。
それは『夏希と付き合う』ためだ。
しかし万が一、初動を見誤ったら。
The・END(終わり)だ。
そもそも、夏希はちゃんといるのだろうか。
また夏希に会えるのだろうか。
まぁ、それも行けばわかることだ。
そして俺は校門をくぐる。
「さて、気を引き締めて行こうか」
「リスタートだ」
─数十分後。
自己紹介をするべく教室の前で待機していると...
「今日からこのクラスに新しいお友達が来るよー!」
「先生、それって小学校ですることじゃないですか?」
教室から先生の元気いっぱいな声とクラスメイトの辛辣な声が聞こえてくる。
「いや、入りにくいなおい」
小学校じゃないんだからそんな前置きするなよな...
クラスメイトが期待してしまうだろ。
「そういえば、津田先生はこんな感じだったな」
昔を思い出し笑みを浮かべる。
とてもユーモアのある先生で生徒から好かれていた。
こういう時も緊張をほぐすために先生が場を緩めてくれるんだよな。
まあ、こっちとしては逆効果になっているんだが。
「ととということで〜!」
「入ってきてもらいまショウ!」
「どうぞ!」
その合図と共に。
ドアを開け、教室に入る。
するとクラスはザワザワとし始めた。
「お、ちょっとイケてない?!」
「た、確かに」
「え〜みんなハードル低すぎ」
「私はタイプじゃないかな」
「俺とどっちがイケメン?」
「うーん、ギリあの子」
...全部、聞こえてるんだが。
てかそんなに俺ってイケてたっけ。
俺は平凡な男子だが...
あ、そうか!
ここは二年前の世界。
ということは部活も毎日やって筋トレとかもしてた身体に戻ってるから...
イケてるのか!!
フっふふふふふ
タイムリープして、良かった。
じゃなくて、目的を履き違えるな。
「コホン」
咳払いをして乱れた場を先生が整える。
「それじゃあ自己紹介をお願い」
「はい」
俺も気を取り直していこう。
「初めまして、西中から転校してきました」
「船橋 碧生です」
「好きな食べ物は...うーん」
可愛く言っとくか。
「いちごのショートケーキ、ですかね」
「趣味は...」
クールに言っとくか。
「天体観測、ですかね」
「こんな中途半端な時期に転校して来たのでみんなといるのは後、約一年くらいですがこれからよろしくお願いします」
『ぱちぱちぱち』
教室中に拍手が巻き起こる。
我ながら完璧な自己紹介だったな...
今はこの身体を思う存分使わせてもらおう。
「素晴らしい!!自己紹介をありがトウ」
「誰か碧生くんに質問がある人はいるかな?」
「はい!」
至る所から手が挙がる。
え、そんな聞くことある?
これは前世とは違うな...
「じゃあ一番早かった、冬馬!」
よっしゃあ!っと大きな声を上げ席を立つ。
ん...!来たか...冬馬...!
ここにもしっかり居てくれたんだな。
あの時も、そうやってお前は率先して手を挙げてくれた。
そしてお前はあの質問を俺にした。
あの時の俺はテンパってまともに答えられなかったが。
今の俺なら...
さぁ...来い!冬馬!!
その質問に完璧なアンサーを出してやる...!
そして、冬馬は俺に指を指す。
質問がく、来る。
「ズバリ聞くぞ碧生!」
「お前の...」
「好きな女の子のタイプはなんだー!!!」
キター!!
転校して来た人が一番困りそうな質問ランキング一位(碧生調べ)の質問キター!!
すると冬馬は腰に手を当て自信満々そうに。
「ちなみに俺は!」
「顔は美少女、髪はサラサラで、匂い良くて、優しくて、甘えさせてくれて、スタイルは抜群で、特に胸はgっ!!!」
あらゆる方向から文房具やらが冬馬目掛けて飛んでいく。
「先生、いいですか」
そして冬馬の隣の席の女子...真衣が拳を上げて津田先生に問う。
(そういえば真衣もこのクラスだったな...)
「くれぐれも怪我はさせないように」
にこやかに言う。
「はははー、どうぞお手柔らかNI!!!」
次の瞬間、真衣の右ストレートが冬馬の腹に炸裂。
冬馬は戦闘不能になった。
「自業自得だな」
「碧生、答えなくて良いぞあんな質問」
そう、声を上げたのは...
飛彩...
良かった。
飛彩もちゃんとここに居てくれた。
でもこの質問だけは。
飛彩は、あー言ってくれているが俺はここで宣言しなければならない。
夏希と付き合うにはここで仕掛けなければ。
「お気遣いありがとう」
「でもクラスのみんなには俺っていう人を知ってもらいたいし質問は何でも答えるよ」
「じゃ、、じゃあ胸派か尻派かっ!!!」
「あんたは黙ってなさい、変態デリカシー皆無男」
今度は右足で蹴られている冬馬。
冬馬を救う為にも早く答えるか。
「そうだなー、強いて言うなら...」
「髪はサラサラで、男女隔てなく優しくて、運動出来て」
「そんな可愛い子がタイプかな」
言えた。
二年前の冬馬への鬱憤が果たせた。
後は...夏希に少しでもさっき言ったことが刺さっていればいいんだが...
「いや〜冬馬よりかは全然、常識的な答えだね」
「流石は碧生くん」
先生はにこやかに俺を称える。
「はっ!残念だったな真衣!」
「お前に男女隔てなくなんて出来ないもんな!」
「黙れ...凡夫...!」
ま、マズイ。
逆に悪化させてしまったか?
「おっともうこんな時間」
「えー次の質問で最後にしまーす」
「誰か質問したい人ー!」
「はい!」
相変わらず凄い量...
俺の雰囲気を変えるだけでこんなに違うのか...
あの時はオドオドしてたもんなぁ。
「じゃあ記念すべき最後!夏希さん!」
「はい!」
「はっ!」
「ん!どうかした碧生くん?」
「あ、いえ何でも」
教室には人が多い。
だから夏希を探す為に一人一人の顔は見ていなかった。
後、夏希を見つけて自己紹介に集中できなくなっても困るし。
でも、ようやく...会うことが...
俺は表情が変わってしまわないように堪える。
そして。
「...居てくれてありがとう、夏希。」
「お帰り、夏希。」
俺はそう心の中で夏希に向かって言った。
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-あとがき-
改めまして6月5日(金)に予定通り投稿出来ず、すみませんでした。
以後、気をつけます。
気を取り直して。
今回で第11話となりましたね。
10話を越えられて嬉しいです!
これからも頑張ります(ง •̀_•́)ง
余談ですが冬馬がエセ関西弁じゃないのはミスではなく、この時はまだ普通の喋り方でした。




