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むぅむぅダンジョン!事故調査団★★★ すきあらば突撃しちゃう先輩がまじヤバいっす◎  作者: にしのくみすた
第1章

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桃栗サンネン柿ヘタレ(その1)

「じぃじぃ、ただいまー!」


 先輩にじぃじぃと呼ばれた男性が振り返る。


 日焼けした浅黒い肌に映える、白ヒゲと白髪のオールバック。

 目にはティアドロップ型の濃ゆいサングラス。

 さらには、頬に歴戦の証のような傷跡を持つ、いかっつい姿の老人だ。


 どう見てもカタギではない。

 普通は全力で避けて通るべき、絶対に話しかけたりしてはいけない種類の人間。


「ただいま戻りましたっす」


 しかし私は気にせず話しかける。

 なぜなら。


 この人物こそ、我らが事故調査団の、団長だからだ。



 〜★〜★〜★〜



 さかのぼること、少し前。

 ダンジョンから地上に出た私たちは、その足でまっすぐギルドへと向かった。


 やがて、冒険者ギルドの看板を掲げた、巨大な建物の入口が見えてくる。

 そこはたくさんの冒険者たちで賑わっていた。


 人波をかき分けてようやく入口の前に着くと、私たちは冒険者ギルドの立派な扉へは手を触れずに無視して、脇にある小道へと入る。

 その奥には、冒険者たちから『しょぼいほうのギルド』と呼ばれている、ボロい小屋があった。


 そこが、私たちの事故調査ギルドである。



「じぃじぃ、ただいまー!」


 先輩が声をかけると、全身を黒のスーツでキメた団長が、ゆっくりと振り返った。

 高々と持ち上げた大きな手には、金ピカのゴツい指輪がいくつもはめられ、ギラついた光を放っている。


 やっぱりどう見ても、カタギではない。


 私も団長に挨拶をしておく。

 すると突然、先輩が床を指さして叫んだ。


「あっ! じぃじぃ、ここヒビ入ってる!」


 それを聞いた団長が、先輩に近づく。

 そして、おもむろに――。


 重い口を、開いた。



「うそっ! まじじゃーん!」

「でしょ! 直さなきゃ!」


 床のヒビをつんつん突っついて騒いでいる先輩と団長を放っておき、私は机の上にある書類を確認する。

 そこには、軍隊アリの異常発生による、被害者の情報が記されていた。


「被害者3人とも幸い怪我は軽く……すでに冒険に復帰してるっすね」


 それなら冒険者ギルドのロビーで探せば、直接会って話を聞くことができそうだ。

 善は急げ。いまから聞き込みに行くとしよう。


 先輩と団長がきゃっきゃしているほうをチラ見する。

 どうやらふたりは、床のヒビになんかゴミ……紙クズみたいなものを頑張って詰めているようだった。


 ……うん。見なかったことにしよう。


 私はそこから顔を背けると、ひとりで聞き込みに行こうと部屋を出る。

 すると先輩が慌ててついて来た。


「待って! アオィちゃん、私も行くぅ!」

「床のヒビのほうは大丈夫っすか?」

「じぃじぃを置いてくから大丈夫!」

「団長は、置き物には最適っすからね」


 事故調査団は一応3人いるが、実際に活動するのは私とむぅ先輩の2人だけだ。

 団長の仕事は、私たちがダンジョンに潜っているあいだの留守番くらいしかない。


 ほとんど置き物である。


 そもそも先輩の実の祖父である団長が、長年の仕事を引退したあと、趣味でこのギルドを作ったらしい。

 私は、絶対に孫と遊ぶためだと見ている。




 さっそく私たちは、聞き込みをするために冒険者ギルドへと移動した。


「うひょー。相変わらず、冒険者ギルドは広いわねぇ」

「うちのしょぼさと比べちゃダメっすよ」


 冒険者ギルドは、とてつもなく巨大な組織だ。

 全国に支部があり、各地の冒険者やダンジョンを、ほとんどすべて管理している。


 その運営には、王家や公爵家などの、最上級貴族たちが関わっていた。

 それほどまでに、冒険やダンジョンから得られる資源が、この国にとって重要という訳だ。


 一方、私たちの事故調査ギルドは、完全に私営で独立した組織なので、気楽でいい。

 まあ、3人しかいないし、建物はボロいけど。



「事故の被害者を探すために、まずは受付で聞いてみるっす」

「むぅ、よしきた! 人探しぃ!」


 冒険者ギルドの受付で問い合わせると、思いのほかすぐに被害者3人は見つかり、直接会うことが出来た。

 さっそくロビーにあったイスとテーブルを使って、1人ずつ交代で話を聞いていくことにする。


 その結果。


「むぅぅ……なんじゃぁこりゃあ!?」


 被害者たちの証言が――。

 ぜんぜん意味が分からない、ということが分かったのだった。



<その2へつづく>

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