表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むぅむぅダンジョン!事故調査団★★★ すきあらば突撃しちゃう先輩がまじヤバいっす◎  作者: にしのくみすた
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/24

なむなむ穴ぼこ池ぷりん♪(その5)

「あ、お腹すいたっすか?」


 私がそう尋ねると、先輩は3秒ほど黙ってほっぺを膨らませたあと、


「……すいた! おやつしよ!」


 とお腹をべちべち叩きながら言った。

 私はポーチを探って、今日のおやつを取り出す。


「今日のおやつは『固形ぷりんバー』っす」

「むぅぅ。あのまずいやつぅ?」

「火で(あぶ)ればうまいっすよ」


 私はポーチから魔導ライターを取り出し、火を着ける。


 ――チャッカリン、ぼっ。


 小気味よい音を立てて、ライターが着火した。

 その小さな火で、ぷりんバーを炙っていく。


「あ、いい匂いしてきた!」

「このくらい炙ればいいと思うっす。先輩、どうぞ」


 私は炙りたてのぷりんバーを半分に割って、先輩に手渡す。

 先輩はそれをモソモソと食べ始めた。


 固形ぷりんバーは細長いクッキーのような形をしていて、そのまま食べると固くて全然おいしくない。

 冒険者向けの携帯用保存食なので、仕方のないところだ。


 だが炙ってみると、餅のように柔らかくなって美味しくなる。

 冒険者たちのあいだで伝わる、裏ワザみたいなものだった。


「えっ! うま! とろける!」

「焦げ目もついてうまいっすね」

「むむむーん! これは、星ひとつあげちゃう!」


 もちもちでとろける食感に、疲れた身体に沁みる甘いぷりんの味。

 焦げた部分がちょうどカラメルのような風味で、甘みを引き立ててくれる。

 保存食とは思えないほど美味しい。


 先輩はご満悦のようだ。

 ごきげんも直ってよかった。


 おやつを食べ終わった先輩が、上機嫌で口を開く。


「それにしてもさっきのアリ、すごい量だったわね! もうこれで今回は解決じゃない?」

「いや、そうもいかないっす」


 私は今回報告された、事故の内容を思い出す。


「今回の被害者はみな、アリの大群から逃げて岩陰に隠れたそうっす」

「ふんふん、それで?」

「岩陰で軍隊アリが通り過ぎるまで、3日間、隠れ続けたと」

「ほえー。お腹ぺこぺこになりそう」


 た、たしかに。

 でも問題はそこじゃない。


 全然ピンときてない先輩に、分かるように伝える。


「つまり……3日間に渡って行列が続くほど、超大量の軍隊アリがいたってことっす」

「ぐぇぇ。それは嫌すぎる!」


 この地下8階層には、もともと500匹ほどのアリが生息している。

 さっき倒した群れは30匹くらいで、1つの群れにしては少し多いが、異常というほどではない。


「3日も続く行列となると、少なくとも1万匹はいるはずっす」

「1万!? そんなにいたら、この階がアリで埋まりそう! どこに隠れてんの?」

「それを探るのが、私たちのお仕事っす」


 アリ自体には異常が無いことは、さっき調べて分かった。

 初動調査としては、こんなとこだろう。


「いったん地上に戻って、情報を集めに行くっす」

「情報? どこに?」

「被害者の回復を待って、聞き込みっすね」


 私たちは立ち上がって、マナの泉を後にする。


 地上へ戻る前に、先輩は軍隊アリの残骸の山の前で、なむなむしていた。

 私も横に並んで、一緒に手を合わせておく。



 なむなむが終わって私が歩き始めると、ダンジョンに響きわたる、楽しげな声が聞こえてきた。


 先輩が、るんるんで歌い出したのだ。

 どうやら、今日のできごとを、適当な歌詞にしているっぽい。


 ご機嫌で歌う先輩、いとかわゆし。


 私はその歌を聴きながら、穴ぼこだらけの通路を地上へ向かって歩いていく。

 先輩のへんてこな歌は、暗く湿ったダンジョンを、明るく照らすように響いていた。



<ep1:なむなむ穴ぼこ池ぷりん♪ 了>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ