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むぅむぅダンジョン!事故調査団★★★ すきあらば突撃しちゃう先輩がまじヤバいっす◎  作者: にしのくみすた
第1章

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なむなむ穴ぼこ池ぷりん♪(その3)

 そのとき先輩は――。

 天井にぴったり貼りついていた!


 貼りついたまま、片手で杖を取り出す。

 そこから一気に光の弾を掃射した。


「むーっ!」


 杖から放たれた大量の光が、暗いダンジョンをまぶしさで包む。


 上からの攻撃で不意をつかれたアリたちは、全身で浴びるように攻撃を受け、ばらばらになっていった。

 まるで突然の雨に晒された泥団子が、なすすべなく崩れていくように。


「むぅぅぅぅーっ!」


 ふたたび叫んだ先輩が、残ったアリの中に飛び込んだ。

 密集するアリたちの中心をめがけて、天井から急降下していく。


 そんなところでアリに捕まれば、先輩は粘液で味付けされたあと、おいしく食べられてしまうだろう。

 アリたちの手が、先輩の身体を掴もうとした。


 そのとき。


 先輩の身体が、空中でピタリと静止した。

 アリたちの手が、ギリ届かない位置で。


 アリの攻撃は、またも一斉に空振りする。


「むぅっ!」


 空中で静止したまま、目の前のアリたちに弾を乱射する先輩。

 容赦ない攻撃の嵐に、アリたちは反撃する間もなく、順番に沈黙していった。



「本当に先輩は、びよよん(ふだ)の扱いが上手いっすね」


 びよよん札なんてものは、本来は無い。

 私と先輩が勝手にそう呼んでいるだけだ。


 先輩が手に持っている、お(ふだ)のようなもの。

 この札には、魔法が封じ込められている。


 本来は「蜘蛛糸(くもいと)のスクロール」と呼ばれるアイテムだ。

 むかしは本当に巻物(スクロール)の形だったが、いまは技術の進歩で小型化している。


 札に魔力を流すと発動し、魔法の糸が放たれる。

 それが、蜘蛛の糸のように天井にくっつき、伸び縮みする。 

 使えるのは1回のみの使い捨てだが、うまく使いこなせば、さっきの先輩みたいなアクロバティックな動きも可能だ。


「こちらも『1号』で援護するっす」


 私は短い杖を取り出し、メガネをくいっと持ち上げ、カッコよく髪をかき上げた。

 杖を構えたまま、一気にアリとの距離を詰める。


 ばすん。ばすん。ばすん。


 アリへ近づきながら、抱えた杖から弾を発射する。

 先輩が撃ち漏らしたアリを中心に、1匹ずつ、確実に仕留めていく。


 私の弾をくらったアリたちは、ぱぁんという音とともに砕け散った。

 そこにアリが居たことすらも分からないくらい、(ちり)となって消える。


「あとは先輩だけで、大丈夫そうっすね」


 数分後には、アリは残り数匹となっていた。


 先輩は魔法の糸をびよんびよんと伸び縮みさせ、アリたちを翻弄しながら撃ち倒していく。


 空中を舞う先輩のかわいいピンク色のスカートが、ひらひらと素敵に揺れていた。

 下から見ると、ちらちらと。


「……ふむ。撃ちやすい位置に移動するっすか……」


 私はしっかりと対象を観察しながら、最も()()の良い位置に移動した。

 ひらり。ひらり。ちらり。


 うむ、絶景かな。


 ひら、ひら。ちら。

 ばすん。


 邪魔なアリを確実に撃ち抜きながらも、絶景は決して見逃さない。

 私、プロなので。



 いよいよアリは最後の1匹になった。


 最後のアリは、敗北を悟ったようで、先輩に一矢だけでも報いようとしていた。

 こういう瞬間の敵は怖い。


 天井に貼りついた先輩が、最後の敵に杖の照準を合わせる。

 これで決まりだ。


 と、そこで何を思ったか。

 突然、先輩は「あっ!」と声をあげ、アリから目を離し、あらぬ方向を向いた。


 決死のアリは、その隙を待っていた。

 全てを絞り出すように身体をひねり、尻の先端を先輩に向ける。


「――させるかッ!」


 私は瞬時に魔力を込め、弾を放つ。

 粉となって砕け散るアリ。


 だが、アリの命を賭けた一撃のほうが、ほんの一瞬だけ早かった。

 アリの尻から毒針が放たれる。


「むぎゃ!」


 天井から先輩の悲鳴が聞こえた。

 その直後。



 先輩が天井から落ちてきた。



<その4へつづく>

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