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むぅむぅダンジョン!事故調査団★★★ すきあらば突撃しちゃう先輩がまじヤバいっす◎  作者: にしのくみすた
第1章

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なむなむ穴ぼこ池ぷりん♪(その2)

「先輩! 隠れるっす!」


 私はすぐに先輩の手を引っぱって、ダンジョンの通路の影に隠れた。

 幸い、軍隊アリはまだこちらに気づいていない。


 すこしだけ通路から顔を出し、様子を伺う。


「間違いなく、軍隊アリのビバークっすね」

「すごい! アリが山盛り!」

「ずいぶん広い空間っす。最近、崩落があったのかも」


 そこはダンジョンの狭い通路とは違い、家が数軒まるごと入りそうなほど大きな空間だった。


 ここだけ天井も高く、地面には大小の岩が乱雑に転がっている。

 ダンジョン内で崩落が起きると、こういう空間が生まれるのだ。


 その広い空間に、人間とおなじ大きさのアリが、大量に重なり合いながらひしめいていた。

 それはもう山のように、こんもりと。


「うげ。アリがなにか食べてる」

「大きさから見て、獲物は人間ではないっすね。小動物とかだと思うっす」


 アリたちが群がっている粘液の下には、今日の獲物があるらしかった。


 大量のアリたちの関節がきしみあう、ギシギシという音。

 獲物を捕らえた粘液の、妙に甘い匂い。

 魔物は、厳密に言えば生物ではないが、それでもその存在は恐ろしく生々しい。


 これほど大群のアリに正面から突っ込んだら、次は自分があの不幸な獲物になるかもしれない。


 こんなの……。

 先輩が大っ好きなシチュエーションだ。


「先輩、これは本気(マジ)でダメっす。食われます」


 もう今にも突撃しそうになっている先輩を、仕方なく後ろからぎゅっと抱きしめて押さえておく。


 仕方なくだからしかたない。

 ついでにちょっと嗅ぐ。すんすん。


 先輩、すごくいいにおい◎


「全部で……30匹ってところっすね」


 一瞬、よき香りで桃源郷に行きかけたが、すぐにアリへと意識を戻した。

 私、プロなので。


 30匹なら、今回のアリ駆除のミッションにはちょうどいい数だ。

 ひと群れくらい倒しておくか。


「私が後方から援護射撃するっす。先輩、行けますか?」

「いける! 『びよよん(ふだ)』使ってもいい?」

「いいっすよ」


 腕の中で興奮してぷるぷると震える先輩を、いま一度、ぎゅうと強く抱きしめておく。

 名残惜しいが――。


 手を離した。

 先輩を放つ。


「先輩! ゴーっす!」

「むぅぅーーーーーーーーーーーーーっ!」


 謎の叫びとともに、先輩が全速力で突撃した。


 すぐに迎撃体勢を取るアリたち。

 だが先輩は、なぜか杖を手に持っていなかった。


 これでは攻撃できない。

 およそ自殺行為としか思えないその姿。


 丸腰で突っ込んでくる奇妙な獲物を見たアリたちは、ちょっと首をかしげているようにも見えた。

 しかし獰猛な前衛アリたちに遠慮などなく、鋭いアゴで一気に先輩へ飛びかかる。


 無防備な先輩は。

 抵抗するすべもなく襲われる。


 ――はずだった。


 だが次の瞬間。

 先輩の姿が、消えた。



 アリたちの攻撃が、一斉に空を切る。

 目の前で突然消えた先輩に、とまどうアリたち。


 そのとき先輩は――。



 天井にぴったり貼り付いていた!



<その3へつづく>

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