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むぅむぅダンジョン!事故調査団★★★ すきあらば突撃しちゃう先輩がまじヤバいっす◎  作者: にしのくみすた
第1章

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先輩ダンスダンスソリューション★(その1)

「アリが異常発生した原因が、分かったっす」

「なになにぃ!? 早く教えて!」


 先輩は鼻息ふんふんで、待ちきれない様子だ。

 私はそんな先輩を、なだめるように言う。


「その前に、いくつか確認が必要っすね」

「むぅ! アオィちゃんの焦らし上手ぅ!」


 まずは先に、モモタちゃんの状況から確認することにした。


「モモタちゃんは、どうしてアリに襲われたんすか?」

「最初はアオィさんの助言どおり、4階層で探索してたんですッ。ギルドで出会った強そうな戦士の方と、一緒に組んで潜りましたッ」

「なるほどっす。そこからなぜ8階層に?」

「その戦士の方に勧められたからですッ。その方は8階層も余裕の実力なので、戦い方を見学させてくれるって……」


 そういうことか。

 その話自体は、別に不自然ではない。


「8階層に、お手洗いが無くてビックリしましたッ!」

「初めてだと驚くっすよね」


 初心者クラスの階層であれば、各階にお手洗いが設置されている。

 しかし中級者クラスの階層になると、そんな親切なものはない。


「携帯トイレを持っていたので、ひとりで暗い岩場の陰に行ったんですッ」

「そのとき、魔導ライターを使ったっすか?」

「はいッ。戦士の方がライターを貸してくれたので、それでランプをつけました」


 その話を聞いて、仮説が確信に変わる。


「そしたら、アリに襲われたんすね?」

「お手洗いを済ませて立ち上がろうとしたら、いきなりアリと目が合いましたッ」

「むぅ。戦士の人はどうなったの? 食われた?」

「気づいたら居なくなってましたッ。無事に逃げていれば良いんですが……」


 私たちが着いたとき、アリに捕まっていたのはモモタちゃんだけだった。

 戦士に関しては実力もあるようだし、放っておいても問題ないだろう。

 モモタちゃんを助けずに逃げたのは気になるが。



「ではいよいよ、調査の仕上げっすね」


 私は先輩のほうを見て言う。


「先輩、出番っすよ」

「よしきたぁ!」


 とてとてと走り出した先輩が、アリの残骸が転がるダンジョンの、空いた空間に立つ。

 そしてポーチから何かを取り出し、杖の先端にくっつけた。


 それは、鈴が3段重ねになった、小さいモミの木みたいな形の道具だった。

 先輩によると、神楽鈴(かぐらすず)というものらしい。


「むぅっ、いきます!」


 先輩はそう言うと、ワンピースをぺちぺち叩いてほこりを払い、姿勢を整えた。

 杖を高く掲げ、大きくひと振りする。


 ――シャラン。


 清らかな鈴の音がダンジョンに響いた。


 すう、と息を吸った先輩が、ゆらりと動き出す。

 それは、(まい)と呼ばれるものだった。


「これはいったい、何をしてるんですかッ?」


 モモタちゃんが、不思議そうに私へ尋ねる。


「先輩の魔法で、事故の証拠を集めるっす」

「事故の……証拠ッ!?」


 私はそれ以上は何も言わず、先輩が踊る姿を見つめ続けた。

 先輩が最高にかわいいこの瞬間を、1秒たりとも見逃すわけにはいかないのだ。


 ――シャラン。


 ふたたび、鈴の音が響いた。

 先輩は踊り続ける。



 魔物と戦うときに、魔力を弾にして撃つことは、厳密には『魔法』とは呼ばない。

 魔力を固めて放つだけの、ただの技術だ。


 『魔法』とは、ひとりひとりが持っている、独自の能力のことを指す。

 似ている魔法や、同じ系統の魔法はあれど、完全に同じものをコピーして習得したりはできない。


 例えば、魔女の花形と言われる、空を飛ぶ魔法。

 空を飛ぶという結果は同じでも、全く同じ飛び方をする魔法は存在しない。

 それぞれの魔女が、違う原理によって空を飛ぶのだ。


 だから、魔法は基本的にすべてオンリーワンと言えるのだが、そのなかでも汎用的な能力と、希少な能力という差は存在する。


 そして。

 先輩の魔法は、圧倒的に後者だった。



 ――シャラン。


 3度目の鈴の音が響く。

 その直後。


 先輩の身体が大きな炎に包まれ、激しく燃え出した。



<その2へつづく>

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