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むぅむぅダンジョン!事故調査団★★★ すきあらば突撃しちゃう先輩がまじヤバいっす◎  作者: にしのくみすた
プロローグ

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プロローグ:わたしたちの悪い癖(その2)

「むぅぅぅぅーーーーーーーーっ!!!」


 唐突な叫び声とともに、先輩が岩陰から飛び出した!

 ダンジョンに謎の叫びを響かせながら、敵に突っ込んでいく。


 突然の奇声に、さすがの軍隊アリたちも一瞬かたまっていた。

 だが、すぐに先輩の姿を捕らえ、迎撃姿勢をとる。


「はあー。やれやれっす」


 私はため息をつきながら、メガネをくいっと持ち上げ、水色のショートヘアをカッコよくかき上げる。

 冷静に、わずかなズレもないよう杖の照準を合わせ続けた。

 これくらいは想定内だ。



 先輩の悪癖(あくへき)――。

 それは、すきあらば突撃すること。


 待てって言ってもマジで聞かない。


 突撃したらマズい状況のときほど、突っ込みたくなるらしい。

 敵が強いほど気持ちがよく、数が多いほど脳汁が出るとか。


 ヤバい変態さんですね。



「むーっ!」


 先輩が叫ぶと、その身体が赤いオーラに包まれた。

 直後、手に持った杖から光が放たれる。


 1発、2発、3発。

 さらにもう1発。

 ひと呼吸する時間にも満たないうちに、2匹の軍隊アリが光の弾を浴びた。


 べきょ、という鈍い音とともに、弾をくらったアリの頭がつぶれる。

 怯んだ残りのアリたちの動きが一瞬とまったのを、先輩は見逃さない。


「むーっ!」


 続けて至近距離から、2匹のアリの急所に連射を叩き込む。

 おかしな姿勢のまま、次々と崩れ落ちていくアリたち。

 えぐ。



 と、そこで何を思ったか。

 先輩が、どや。と得意顔で私のほうをチラ見した。


 こら、戦闘中にわき見するんじゃない。

 その一瞬を、今度はアリたちのほうが見逃さなかった。


 残る4匹のアリが四方から先輩を囲み、同時にしかける。

 大きなアゴを開き、一斉に先輩へ襲いかかった。


 小さな先輩の身体が、アリの巨体で隠れて見えなくなる。


 ――マズい!

 私は構えていた杖に魔力を込めようとした。


 そのとき。



 ぴく、と4匹のアリが同時に震えた。

 まるで大声で叱られて、ぴんと背筋を伸ばすみたいに。


「むーーぅりゃぁぁ!」


 叫び声とともに、両手に杖を持った先輩があらわれた。

 2本の杖から放たれる大量の弾が、暗いダンジョンを光で満たしていく。


 避ける余地などない。

 猛烈な弾の連射を浴びたアリたちは、変な踊りをしながら粉々に溶けていくみたいに見えた。


 空中に飛び散り、降り注ぐ、大量のアリたちの死骸。

 敵だったものが空中を舞うなか、先輩は、にかっとドヤ顔をした。


 見ようによってはめっちゃサイコパスなんだけど。

 かわいいがすぎる。



「ふう、終わったっすか……あ」


 杖の照準を解こうとしたとき、ふと気づく。

 大きな死骸のかけらが、先輩の頭上に。


 あぶない――!


 ふッと息を吸い、杖に魔力を流す。

 ばすん、と放たれる光の弾。


 ぱぁんという破裂音とともに、先輩の上にあった死骸が弾け飛ぶ。

 あまりの衝撃に、その大きな物体は形をとどめることができず、霧のように散っていった。



 ふう、と今度こそひと息ついて、杖の照準を解く。

 すると先輩の声が聞こえた。


「ナイスショット! 星みっつあげる!」


 ふたたびドヤ顔でサムズアップをキメた先輩は、颯爽(さっそう)と歩き出す。

 1歩、2歩、3歩。

 私のほうに近づいてくる。


 そして4歩目。

 アリの死骸につまづいてコケた。


 その拍子に、床にあったスイッチが押された。



<その3へつづく>

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