表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むぅむぅダンジョン!事故調査団★★★ すきあらば突撃しちゃう先輩がまじヤバいっす◎  作者: にしのくみすた
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/24

春ウサギ美味し夏の山(その2)

「え、アオィちゃん……なにそれ?」


 先輩が、まるで変なものを見たかのように尋ねてきた。


「ところてんっすけど」

「むぅ、地味!」


 私の前には、いつもの定番セット――

 ところてん、豚串2本、レモンサワーがばっちり揃っていた。


「いやいや美味いっすよ、ところてん。つるつるで。私の大好物っす」

「そっか! アオィちゃんが好きなら、私も好き!」


 え、なにそれ。先輩かわゆ。


「私も食べたい! ちょっとだけちょうだい!」

「いいすよ。こっち側はからしが付いてないっすから」


 先輩にところてんを分けてあげることにする。


 ところてんを食べた先輩は、お酢でむせて盛大にせき込んでいた。

 食べ慣れてないと、なるよね。



 レモンサワーを飲み干しかけた頃、ウサ耳メイドの店員さんが話しかけてきた。


「アオィさんが他の人を連れてくるなんて、初めてっしょ?」

「そうすね。仕事の先輩っす」

「あー、事故調査の?」


 話題に出された先輩が、ピースサインをしながら自己紹介を始めた。


「アオィちゃんの大先輩、アムゥシェルでぇす! むぅって呼んでね。よろしくぅ!」

「大先輩のむぅさん! よろしくぅ!」


 先輩と店員さんは妙に波長が合うのか、すぐに意気投合して盛り上がっていた。

 盛り上がりついでに、アリの事故について、何か情報がないか探ってみる。


「うーん、みんな軍隊アリの件を心配してるって話は聞くけど、特にめぼしい情報はないかなー」

「そうっすか。穴ぼこについては?」

「穴? あー。そう言えば最近『発破(はっぱ)のスクロール』を何店舗も回って買い占めた、変な冒険者がいるって聞いたなー」

「発破のスクロールを? それは妙っすね」


 発破のスクロールは、硬い岩に穴をあけたりするために使うものだ。

 普通は崩落なんかで閉じ込められたときの、緊急脱出用に使われる。

 そんな大量に持ち歩くものではない。


 8階層の穴ぼこが、大量の発破のスクロールであけられたものだとすれば、あれだけ雑な穴だったことにも説明がつく。

 でも、誰が、何のために?


「良い情報に感謝っす。今度なにか、お礼しないとっすね」


 私がそう言うと、店員さんはうさ耳をぴこっと動かして、ニヤリと妖しい笑みを浮かべた。

 すすす、とすぐ横まで近づいてきたかと思うと、私の耳元で吐息まじりにささやく。


「アオィさんカッコいいから、特別メニューを頼んでくれたら、はつじょー期にひと晩お相手してあげ……」


 ばちこん。


 突然の大きな音とともに、店員さんが悲鳴をあげる。


「こら、ペ。下品」

「いたぁー! ちぃたん、本気で叩いたっしょ!?」


 声がした方を見ると、もうひとり、別の店員さんが立っていた。

 こちらの店員さんもウサ耳メイド服だ。

 ただ、赤いメガネをかけているのと、ウサ耳が白い垂れ耳なところが違っている。


「ぺっちゃんが大変ご迷惑をおかけしました。ほら謝れ」

「いや、これは私がお礼をしてもらうって話で……」

「またお盆で殴られたいようだな」


 そのあとばちこん、ばちこん、と叩かれたぺっちゃんという名の店員さんは、ペコペコと謝りながらお店の奥の方へ引きずられていった。


 落ち着いたところで、先輩が口を開く。


「うーん、変な店! でも美味しい!」

「そうっすね。良い情報も手に入りますし」

「なんかさ、本物のウサギの匂いする。ほんとにウサギなんじゃない?」

「いやいや、ウサ耳が生えた人間なんて居ないっすよ。ファンタジーじゃないんすから」


 それから私と先輩は、匂いとウサ耳の関係についてあーだこーだ議論したあと、食事を終えて店を後にした。

 店を出ても、先輩はまだ匂いについて思うことがあるようで、ぶつぶつ言っている。


「今日は色んな匂いを嗅いだから、最後に()めが必要ね」

「飲んだあとの、締めのラーメン的なやつすか?」

「そう! 締めの匂い!」


 先輩はそう言うと、突然走り出した。

 すこし先で立ち止まると、くるりと私のほうを振り返る。


 そして、にかっと笑って言った。


「アオィちゃんの匂い、嗅ぐべし!」



<その3へつづく>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ