5話 なんと扉が開いてしまった!
「この辺りには貴族が住まう別荘が多いのか?」
「そうだね、別荘として使う人たちは多いと思うよ?でも他の場所は空き家みたいになっていても、魔道具が作動していたりして、こんな風に中に入ることはできないんだけどね?」
—なるほど
いかにもな雰囲気のある場所で、間近でその外観を見ることができて、かつある程度安全そうな場所としてこの場所を選んだ、と。
確かに、内部の様子をすぐ近くで窓から観察できて、しかもめったに他の者が来ない場所であれば、ちょっとした肝試し感覚で行くのに丁度良いかもしれない。
俺たちは洋館の外周をぐるりと一周することにする。
「いくつか扉があるけど、鍵がかけられているみたいなんだ。」
そう言うと、レティはちょうど近くにあった、おそらくは洋館の使用人用の扉であると思われる扉に手をかける。
「こんな感じに、——あれえ??」
すると、キィっと音を立てて扉がすんなりと開いた。
「・・・開きましたね。」
ソフィアの言葉が木霊する。
「「「・・・・・・」」」
俺、ラズリー、レティは皆、無言である。おそらく考えることは同じだろう。
「——どうされました??」
そんな俺たちの様子を不思議がったソフィアがきょとんとした顔をするが、
「・・・開いちゃった、ね。」
「・・・ええ。」
「これは・・・。誘ってやがるな?」
うっかり中に入った日にはどうなるか分かったものではない。あの船はラスティアだったから俺たちは皆生きているのだ。ここの洋館の持ち主が彼女のように友好的??な存在である保証はどこにもないのである。
—ッ
俺は魔眼を発動させる。
しかし、俺の目に写るモノは内部の調度品などの無機物のみであり、少なくとも人の姿をした何者かがここにいることは、今はないようだった。
「・・・どうする?・・・中に入って、みる?」
レティがそんなことを言う。
「待て、さすがにそれは不味いだろう?」
「そうね、きっと何かいなくても、もしかするとこの館の所有者がいるかもしれないわ?見つかると不味いんじゃないかしら。」
俺は何か変わったところはないかと眼を凝らしていると、廊下の奥にぼんやりと光輝くモノが見えた。形状から、何かの絵だろうか?ぼんやり光り輝いてみえるのは魔力が込められているからかもしれない。
—もう少し詳細を知ることはできないか?
最近、魔力操作をすることで自分の使う魔法の出力を操作することができるようになっている。同様に、魔力操作を使用することで、魔眼の精度を向上させることができるかもしれない。
意識を対象に集中すると、少しずつ、その輪郭がくっきりと見えてくる。果たしてそれはやはり絵である。中に描かれているのは、妙齢の女性だろうか?赤い瞳に、特徴的な銀髪の女性である。
その表情はどこか物憂げで――
「・・・フラン?」
何故かは知らないが、絵の女性の名前が浮かぶ。
絵の中の彼女が俺たちに向かって、ずっと長い間皆を待っていたよ、と。そんな風に穏やかに微笑んだ気がした。
「あれ???」
目をごしごしと擦る。
「どうしなの??何か見えた?」
レティが訊ねてくる。
「・・・いや、何でもない。この先にはどうやら女性の肖像画か何かがあるらしい。」
しかし、いつの間にか女性の姿は見えなくなっている。
「肖像画か何か??」
「ああ。だが、俺の魔法では実際にそこまで行ってみないと、詳しくは分からん。」
——フランって誰だ???
「そういえばね、ちょっと怖い話があってね・・・。その昔、もう随分と前のことなんだけどね、セルペタに腕利きの錬金術師がいたらしいんだ。どうやら冒険者をしていたみたいなんだけど、その途中で行方知れずになってそれっきりだとか。」
「・・・ここがその錬金術師の住処であったかもしれない、ということか。」
「ねえ、イシュバーン。フランって誰?」
ラズリーが不思議そうに言う。
「いや・・・。昔、そんな名前の知り合いがいた・・・気がする。」
もっとも、本当はそんな名前の知り合いなどいないはず——
「昔の知り合い・・・??」
ただ、どうしてかは知らないが、そんな名前がふと頭に浮かんだ。
「・・・。ね、少し入ってみないかな?ちょっとだけ!」
お願いのポーズをするレティ。
どうする?
ラズリーの方を見ると、
「ソフィー、罠はありそう?」
「承知しました。少々お待ちください。風の神エアリイよ。其方と我らに害なす邪なるものを教えたまえ。サーチ。」
—探知の魔法か
薄々、ソフィアも魔法を使用することができるのではないかと思っていたが、やはりそのようであるらしい。
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