6話 超透視能力(仮)
「お嬢様、中には特にそれらしい罠は仕掛けられてはいないようです。」
「でも、本当にいいの?もし誰か他に館の持ち主がいればちょっと不味いわよ?」
ラズリーがレティの方を見て改めて確認する。
「ちょっとお邪魔するだけだって!」
「レティ様は錬金術に興味がおありなのですか?」
「・・・そういうわけじゃないケド・・・。」
「どうする?ラズリー。」
「引き返しましょうと言ったら、レティ一人で中に行かせることになりかねないわね・・・。」
確かに、レティの様子を見る限り。例えここで引き返したところで、扉が開いたことで、もしかすると一人でもここを訪れそうな雰囲気ではある。
「—行きましょう。レティ、今回は特別よ?」
そう言うと、ラズリーは軽くレティに向かってウィンクをする。
「ありがとう、ラズリー!」
「わわ!ちょっと、レティ!」
レティのハグでラズリーの丁度良いサイズのおっぱい、レティの大きいサイズのおっぱいが揺れる——
——見事だ
ふと視線を感じ、そちらの方を見ると、ソフィアがジト目でこちらを見ていた。
「・・・誤解だ。」
そう言うと、
「——イシュバーン様、それは何か思い当たることがある人が言うセリフです。」
「・・・お邪魔しまーす。わ、凄い絨毯!」
埃を被っているが、廊下には深紅の高級そうな絨毯が敷かれている。窓から見える部屋からでもこれは見えていたが、実際に踏みしめたときの感触からそれが明らかになった。
「これは・・・。ラズリーの家にある物にひけをとらないな?」
歩くその感覚はかなり柔らかく、高級品であることは間違いなさそうだ。
「—はい。やはりこの館の持ち主は位の高い方だったかもしれません。」
ソフィアがその趣のある様子に感心する。
ちなみに、ヘイム家の本邸にも別邸にも、廊下には、それは見事な絨毯が敷かれているが、実際に使われている材料は一般の絨毯とは変わらない。しかし、この絨毯は明らかにそれとは一線を画す。
この館の持ち主が侯爵より位が高かったかどうかは分からないが、ソフィアの言うことは正しいと思う。
誰からということもなく、館に入ると、ソフィア以外の三人は後ろを振り返る。
だが、扉は特に鍵がかかるといったこともなく、開いた状態であった。
「・・・一応、閉めておきましょう。」
ラズリーがその扉を閉めた。
深紅の絨毯を歩いて行くと、角を曲がった突き当りに果たして絵画は存在した。
だが、そこに描かれているのは、俺が見たものとは明らかに異なる。
俺が見えたのは、どこか物憂げな様子の美しい女性の姿であるが、今、そこには、肖像画ではなく、セルペタを上から見下ろした風景画が飾られていた。
——どういうことだ?
再び魔眼を使用してみるが、そこに女性の姿は映し出されてはいない。
「・・・イシュバーン様はどのようにしてこれを把握したのですか?」
「あ、それボクも気になる!」
確かに、普通ではこの絵は見えない位置にある。だが、俺のこれは自分が魔眼と言っているだけで、本当に魔眼かどうかは分からない。
「・・・魔眼って知っているか?」
「固有魔法の一つのはずよ?貴族の中にはそういった力を持つ者もいると聞いているわ?」
ラズリーが俺の目をじっと見つめる。
—なるほど
であれば、俺の魔眼はそのモドキか。
「俺のはそんな上等なものではない。が、それとよく似たモノであるかもしれない。ある程度、物を—」
透視することができる、と言おうとして、ちょっと、どこかの変態さんになりかねないことに気が付く。
「—ゴホン。少し遠くの方まで、存在する物の位置を把握することができるんだ。」
間違ってはいない。
「・・・なんだか微妙な魔法?だね?」
レティがそんなことを言った。
だが、
——微妙だなんてとんでもない!
これを使用することでダンジョンでは離れた魔物の位置を特定することができる他、それが周囲に擬態したとしても正確に把握することができる。また、障害物を貫通して透視することができるので、建物の中に敵が隠れていたとしてもその姿を捉え、先手を打つこともできる。それに何なら、適切に魔力を調節することで、女性のあられもない姿でさえ見ることが——
と、脳内でその利点を説明するが、
「・・・まあ、そういうことだ。」
そう言うより他なかった。
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