2話 むっつり♡
—いけそうだ
確かな手応えを感じる。
と、そこで俺はふとあることに気が付いた。
「そう言えば、どういう理屈で熱を放出しているんだ?」
本来、俺の属性は雷であり、炎ではないにも拘らず、似た真似をできている。
原理を考えてみても、魔力から直接熱を生み出しているわけではない。と、そこまで考えた所で、思い当たることがあった。
――赤外線か
体を温める際に赤外線を用いたヒーターがあった。もしかすると同じような原理で熱を生み出しているのかもしれない。
「——であれば。もしかすると――」
・・・いや、やめておこう
あることが思い浮かんだが、それは、場合によっては、非常に残酷な魔力の使い方になるおそれがある。そんな魔法は本当にどうしようもない敵が出たときに考えればよいのだ。
とにかく、今は弱い電撃を自在に扱うことができることの方が優先される。
コンコンッ
ふいにドアがノックされた。
女性陣は風呂に入るという話だったが、皆風呂から出たのだろうか?
「イシュバーン様、皆で氷飴を食べようということになったのですが、御一緒にいかがですか?」
扉を開けると、そこには風呂上がりのソフィアの姿があった。
「そういえば氷飴はまだ残りがあったな? 俺も食うぞ。」
そう言いつつ、俺の視線は自然とソフィアの胸に
—小ぶりだが、これはこれで
風呂上がりの女性はどうして皆こう、色っぽいのだろうか???
「・・・え、えっちなのです。」
すると、ソフィアは顔を少ししかめて、くるりと後ろに向いてしまった。
「—もう、先に食べちゃいますからね?」
こちらにちらりと振りむいて、そう言い、さっさと一階に戻って行くソフィア。
「——しまった、これではあのドスケベ猫と変わらんではないか・・・。」
だが、あの猫の気持ちはとてもよく分かる。
さて、俺も氷飴を食いたい。さっさと台所に向かおう。
台所に行くと、風呂上りの女性陣三人がちょうど氷飴を準備しているところだった。
皆、風呂上り直後で、とても艶っぽいのである。
—嗚呼、生きるとは、かくも素晴らしい
やはり俺もデイジーと同類なのかもしれない。
「あ、えっちなイシュバーンが来た。」
レティがにゅふふ、と笑いながらそんなことを言う。
「—やっぱり私、上着を取って来ますね?」
そう言うと、ソフィアがパタパタと二階に登っていく。
「—はあ。しょうがないわね。」
ラズリーはそう言うと、少しあきれ顔である。
「——待て、誤解だ。」
「イシュバーン、それは何か思い当たることがある人が言うセリフよ?」
—ぐっ!
確かに、ラズリーの言うことは正しいかもしれない。
「罰として、キミにはデイジーとお風呂に入ってもらおうかな?」
そう言うと、レティがびよーんと縦に長く伸びた一匹の猫を渡してくる。
「にゃーん・・・。」
悲しそうな鳴き声を上げるデイジー。
「いや、何で?」
素で返事をしてしまった。
「ちゃんと洗ってあげてね? はい。」
そう言うと、ぱちっとウィンクをするレティ。
「にゃーん・・・。」
「・・・いや、氷飴を食べに来たんだが?」
何で猫を手渡されなければならんのだ?
「えっちなキミが悪いんだよ?」
「にゃーん・・・。」
「イシュバーンが悪いわよ?ソフィーに色目を使うなんて。」
ラズリーも冷たい視線を向けてくる。
—それはそうと
「なんでこいつはこんなにも悲しそうなんだ?」
先ほどからにゃーん、にゃーんと悲しそうな声を上げるデイジーである。
「—ああ。この子ね、お風呂がとても嫌いなんだよ。引っかかれないように注意してね?」
と、何やらフラグを立てるレティ。
「にゃーん・・・。」
——まったく、こっちがにゃーんと言いたいわ!
そういうわけで、俺は猫を持って着替えを取りに、台所の扉を開けて外い出ようとすると、
「—あ。」
上着を着たソフィアが少し警戒する様子で、扉の外にいた。どうやら俺が台所から出て行くのを待っていたようだ。
「はいはい、安心しろ、取って食ったりしないさ。」
そう言って俺は自分の部屋に戻るのだった。
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