16話 ハーヴェルの奴め(`・ω・´)
――ハーヴェルの奴め、また腕を上げたな
もはや剣を使った勝負では、俺などでは相手にすらならないだろう。
しかし、
驚くべきはゴルダである。膂力、気合ともに充分であり、てっきり単なるチンピラとばかり思っていたが、あれは既に戦士である。俺もそこまで詳しいわけではないが、今すぐ冒険者や騎士になったところで通用するのではないか、と思う。
もちろん、あれほどの膂力を持つ戦士は、アルトリウスにはハーヴェルを除いて他に存在しないはずだ。
―俺の武器はあくまでも速さと機動力だしな?
そして、チンピラに見えたゴルダですらこの強さなのだ。もしかすると、コルティスにはまだ見ぬ強者が他にもその辺りにゴロゴロいるのかもしれない。
―やはり、無難にここでの生活をやり過ごすべきであるという俺の考えに間違いはないな
騎士学院ということもあって、血気盛んな奴が多そうだった。それに、俺が模擬戦を上手く回避したとき、周囲の反応は芳しいものではなかった。いわゆる騎士道精神というものがあり、もしかすると模擬戦をあえてスルーしたりするのは、それに反するのかもしれない。
そして、先ほどのゴルダとユーディスの会話から、やはりここ騎士学院では魔法を使用できる者もいるらしい。さすがにアルトリウスのように複数の属性を使ったり、あるいは特殊属性に適性があるような者がその辺りを歩いているということはないと思う。しかし、それでも戦闘技能を持つ者がその他に魔法も使えるということを考えると、コルティス騎士学院は、将来有望な才能を持つ者が集う場所といって良いだろう。
目の前で、失神したゴルダが担架で運ばれていった。
「・・・おい、あんた。」
すると、ちょうど横から誰かが俺を呼ぶ。
「あん?」
そちらを見ると、そこには先ほどのユーディスと呼ばれた男がいた。
「―ああ、さっきの。何か用か?」
「ああ。さっきはすまなかった。」
・・・何か謝罪されてしまった。
「―別に気にしちゃあいないさ。それより、ゴルダといったか?他人に言いがかりをつけるのはよせと言っておくべきだったな。良い薬になっただろう。」
もちろん、俺が直接ゴルダに何かしたというわけではないが、このような態度がとてもイシュバーンらしい、と思う。うん、とても思う。
「だが、こちらも言っておかねばならんことがある。」
そう言うと、何やら意味ありげな表情でこちらを見るユーディス。
「・・・何だ?」
「ここは騎士学院だ。ゴルダはもちろん、他にも喧嘩っ早い連中がいる。」
「――何が言いたい?」
「つまり、だ。そういった連中からさっきみたいに模擬戦を申し込まれたときには、できれば受けて立て。だが、お前たちは騎士学院の生徒ではないからな、それができない場合には、せめてきっぱりと断れ。」
―なるほどな?
つまり、俺がゴルダから売られた喧嘩を回避し、それどころか、上手くそれをハーヴェルに回したことを言っているのだろう。そういうことをするぐらいなら、きっぱりと断れと。
だが、
きっぱりと断ったところで、喧嘩を売られた方としてはどうにも気分が悪いではないか、と思う。要するに見くびられていることに変わりはないのだ。
俺にとって勝負の勝ち負けというのは模擬戦などの勝ち負けにあらず!
「―ふん。それは場合によるな?」
もちろん、ユーディスの言いたいことも分かるが、その忠告に素直に従うかどうかは、正直そのときになってみなければ分からない、というのが俺の本音である。
「はあ・・・。まあいい。俺は言っておくべきことは言ったからな?」
ユーディスはため息をつく。
「とりあえず感謝しておくとしよう。」
そう言うと、ニヤリと笑う。
パンパンッと手を叩く音が聞こえる。
「―それでは実技訓練を始める。」
ゴルダの一件ですっかり忘れていたが、これから剣の実技が始まるのだった。
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