13話 ゴルダとユーディス
――夕飯か
俺もレティの後を追ってラズリーのクラスへ行こうかと思ったが、ここでは目立つのを避けたい。極力トラブルを回避し、何の問題もなくアルトリウスへ帰還することこそが重要だ。
もちろん、ここでは俺はぼっちであるというのもその理由の一つだが、あくまで俺の仕事は護衛である。勝手知ったるアルトリウスとは異なり、見知らぬ地で護衛が何か問題を起こしたのでは本末転倒なのだ。
「さて、と。」
俺はポテトパイを口に放り込み、水を飲み干す。
―この後は剣の実技だったか?
初日からハードであるが、アルトリウスから学院生が来るとはいえ、コルティスのカリキュラムがそれに合わせて変更になることなどないのだ。
幸い、剣の実技はルディと行ったことがある。あのときは、少しイレギュラーな手を使ってしまったが、今回は見知らぬ者が相手なのだ。さすがに初対面の者に対し、本気で相手をする者などいないだろう―
「おい!そこの!」
演習場に到着すると、誰かが大声で呼ぶのが聞こえた。
―誰だよ
周囲を見渡すが、その視線の先にいる者は俺一人である。
「お前だ!お、ま、え!」
大男が、大きな癖のある濁声で言う。
―誰だよ
当然、そんな大声で呼び止められる理由がない。
このまま無視して通り過ぎるかと思ったが、この手の連中は無視をすると更に喚き声を上げるというのがお約束かもしれない念のため、何か用が確認するべきだろう。
「・・・何か用か?」
「おうおう、お前、アルトリウスから来たんだってな?」
「―ああ。それがどうかしたか?」
「剣、見せてみろや。」
「―剣など持っていない。」
俺は両手を広げ、手ぶらであることを示す。当然だ、アルトリウスでは普段から武器を携帯したりはしない。アルトリウスで扱う武器は、実技場の模造剣だけだ。
「何言ってんだ?てめえ。剣っつったら、剣の腕だろうがよぉ。」
「・・・剣の腕?」
―はぁ?
こいつは何が言いたいのだろうか?それとも何か?アルトリウスの学院生は剣でできた腕を持つとでも事前に聞いていたのだろうか?
「―何だ、その顔はよぉ。喧嘩売ってんのか!?」
「・・・生憎、俺の腕は生身でな?」
ほれ、と自分の腕を見せる。
「ち、がーーーーう!!!剣の腕前だ!!!う、で、ま、え!!!」
男は顔を真っ赤にさせる。
―なるほど
もちろん、そのことには気が付いていた。何とかこの場をやり過ごすことはできないかと思った末の俺の行動である。
「―知らんのか?アルトリウスの学院生は剣など使わぬと。」
ふふん。あえて見せる強者のオーラ!
「馬鹿にしてんのか?・・・いいだろう。なら魔法を見せてみろや?」
――おっと
これは非常によくない流れになりそうだ。どうする??
「・・・そのナリで魔法が使えるのか?」
誰か止めに入ることを期待して、ここは話を長引かせる作戦に出るが―。
・・・周りに人だかりができているのに、誰も止めに入ろうとはしないな?
そう、演習室にはコルティスの学院生が集まってきているというのに、誰もこのイザコザを止めようとはしないのである。
「あったりめえよ!・・・と、言いたいところだが。俺は身体強化の魔法しか使えん。―おい!ユーディス!!!」
すると、大男は誰かしらの名を呼ぶ。
「・・・何だよ、ゴルダ。また諍いかよ。」
いつの間にかできていた人だかりから一人の男がこちらに出て来た。
「お前、魔法の模擬戦はイケるか?」
ゴルダと呼ばれた大男が静かな低い声で言う。
「イケるか、て・・・。そりゃイケるけど。」
ユーディスと呼ばれた男はやれやれといった感じで答える。
「いやいや、おかしいだろ。俺の意思は?」
模擬戦は相手あっての話である。生憎、実習以外で模擬戦をするつもりはない。
「んなもん関係ないに決まってんだろ?」
ゴルダが濁声を響かせる。
―チッ。どうするか?
と、そこへタイミングよくハーヴェルが演習場に入ってくるのが見えたのだ
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