第07話
進む、戦う、倒す、食べる。
進む、戦う、倒す、食べる。
曲がり角はあるが一本道の通路を進みながら出てくる敵を倒し、まずい肉を食ってダメージを回復し、また進む。
出てくる敵は邪妖ばかりだったが、何回か戦っていくうちに、戦うのも倒すのも平気になってきた。
戦ってるうちに効率よく、損害も少なく勝利することができるようになってきたことで俺の指示出しもちょっとずつ慣れてきたと思う、アオとアカとシロの連携も少しずつとれるようになってきたと思う。
「タタカウノ、シジガアッタラ、ハジメヨウ」
「マツ、ワカッタ。カカレ、ワカッタ」
アオとアカが「待て」と「掛かれ」が理解できるようになったのは収穫である。
肉体言語を含めた会話で無事教育が完了した訳だが。
「セイレイヨブ、タタカウ、シジニシタガウ、ワカッタ」
シロは口で説明して理解できるようだった。
マニュアルの紙を一枚ペラリと渡して
「読んで分からないことがあったら質問してね~」
とかで
「ワタシちゃんと教育しましたけど~?」
とか言えるんだったら楽なんだけどな。
俺が学生バイトしてた時にやられたことはあったが。
文字通りのケダモノ相手にそんな訳にもいかない。
戦闘以外で問題があるとするならば、ドロップする戦利品が相変わらず邪妖の肉ばかりなことである。
邪妖の肉はまず過ぎて食べるのがきつい、俺も最初は半分でギブアップしたが、今は、ちゃんと食えるようになったぞ。
お残しは許しません。
他の3体もまずそうにしながらも丸っと食ってる。
慣れるとはすごいことである。
戦利品の分配は今のところアオとアカが倒した分の肉はそれぞれに渡し、俺とシロは半分ずつ食っている。
アオとアカは素手攻撃で邪妖の粘液に相性が悪く、どうしても長期戦になる。
くらうダメージも多くなるため、自分たちが倒した分はせめて食わせないと完全回復させられないのだ。
俺はあんまりダメージをくらわないので回復分に多くの食料が必要ない。
もちろん成長分としても食わなくてはならないのだろうが、パーティーにダメージを蓄積させるわけにもいかない。
なので俺の必要分以上の食料はシロに回してやっている。
シロは攻撃スキルが精霊魔法しかないから
『直接戦っていた敵のドロップは最多ダメージを与えたやつが得る』
こういう蛮族ルールだと割を食うことになる。
戦闘ごとに召喚した精霊が魔法攻撃する訳なので、ゴーサインで敵に突撃するアオとアカよりも早く交戦することができない。
ポジション的に前に出れないしな。
長期戦になれば
精霊魔法による攻撃と回復でパーティーのキーになるとは思うけどな。
今はシロがあまり前に出るクセを付けないように俺が抑えている状態だ。
なのでシロは積極的に攻撃に参加させない分、与えるダメージ量が一番少ない。
石で殴っている俺が殲滅速度は一番だし、相手のHPが分かるならば止めを刺すのはたやすい。
シロには魔法による支援の分の回復とシロ自身の成長もさせなくてはいけないのでその分は食べさせなくてはいけない。
成長と回復、熟練で全体強化が今の目標である。
通路を進み戦闘をこなしていくうちに種族レベルがそれぞれいくつか上がり、ついに俺がスキルを覚えた。
それがこれだ。
<スキル01 片手武器Lv01>
どう思う?
率直に言ってあんまりレアなスキルの気がしない。
というかハズレスキルの気配がかなり濃厚に漂っている気がする。
行動からスキルが覚醒するのは情報として確かにあったわけだし、俺は石を握りこんで戦ってたからな。
確かに取ってきた行動からもその通りではある。
片手武器……片手武器な。
説明を確認すると
<片手武器
片手で持った物体を武器として使用することによって習熟していく>
なぁ、ハズレじゃね?
これハズレじゃね?
ハズレスキルを手に入れたことは神(笑)の設定した目的から外れているだろう。
あまりにも目標と外れた結果を出した場合どうなるのか。
先が思いやられる気がしてテンションが下がる。
とはいえ今できることはやっていると自分では思う。
この片手武器というスキルにしても手に入るものを利用して効率を上げた結果である。
その辺で拾った石をそのまま武器にしてスキルにまで覚醒してしまったのは失敗したかとも思えるがスキルを覚醒するタイミングが一切わからない状態ではやむを得ないと思う。
このスキルのメリットをあえて考えるのならば、だが。
片手武器スキルは使う武器を選ばないというのがあると思う。
さっきのスケルトンのおっちゃんの持っていた剣術スキルと比べて、汎用性が高そうな気はするということだ、逆に言えば専門性が低いともいうが。
ただ、専門性と汎用性、スキルとして有用なのはどっちだろう?
ちゃんとした武器を装備できるなら剣術等のそれぞれの武器に対応した専門的なスキルの方がいいんじゃないかと思える。
スキル自体のレア度もあると俺は予想している。
俺には識別できないが、強力だったり便利なスキルは存在するだろう。
必殺技とかぶっぱなしできればかなり強いんだろうと予想するけどな。
見ることで相手の情報が得られる能力があったとしても、そういった高位ユニットを確認できる環境になければ知ることなどできないのだ。
単に今まで俺の周りにそんな強力スキルを持った存在が出現していないだけだ。
スキルの有用性やレア度に関しては今の俺には判断つかない。
俺自身が経験しスキルの優劣を実感するか、このシステムもどきの能力の拡張があればその手の判断もできるようになるだろう。
実際の経験は戦闘スキルの場合戦いで確かめるという生命掛けの行為になるので、できるならば能力の拡張で安全に相手の実力が判るようになりたいが。
進行していくにあたっての条件が厳しいのかぬるいのか。
ゲームっぽいところとリアルが混じった感じにまだ納得いかない気しているせいだろう。
とりあえずスキル覚醒という成長をしたことは良いことだと思いなおし通路の先を目指す。
しばらくすると通路の空気が湿気を帯びていると感じる。
リザードマンは水の匂いに敏感なのかもしれない。
他の3体も鼻をヒクヒクさせて匂いを確認している。
水気が段々と強くなるのを感じながらしばらく進むと通路に植物が絡みついているのを発見した。
何らかの要因でダンジョンの壁の隙間に植物が生えたものらしい。
多分湿気が少し多い床や壁の隙間に砂やほこりが溜り、その中に混じっていた何かの種がそこに根を張るように芽を出したのだろう。
成長し、ついには岩盤を割るようにして根なのか茎なのか、完全に木になるまでに成長してしまっている。
そして
グレード トラッシュ
所属 None
名前 ??????
種族/Lv ダストプランターLv06(Target!)
職業/Lv 妖樹Lv02
HP/MaxHP 23/23
SP/MaxSP 4/4
スキル01 蓄水Lv02
スキル02 吸収Lv02
スキル03 触手Lv01
ターゲットモンスターである。
<ダストプランター
植物が成長する際ダンジョンのエネルギーを浴びたことによって異常成長したもの。
エネルギー経路の正常流通を阻害するため、ダンジョンユニットのコストパフォーマンス低下や故障を招く場合がある>
「行くぞ!」
「マカセルガヨイ!」
「コレクエナイオデイラナイ…」
「チ…イキマス…」
相手が弱そうだと強気なアオ。
食べられない相手だとずいぶんテンション低いアカ。
まだなついてない感じのシロ。
ちょっとずつ特徴もつかめてきた。
全員脳筋っぽいけど。
~Regular Battle~
~勝利条件:敵の殲滅
敗北条件:パーティー全員の戦闘不能
DMステータス:AUTO
BGM:Regular Battle02 モンスターウッド~
通常戦闘扱いだと細かい条件は変わらないようだ。
まぁ出てくる敵をどんどん倒して進んでいく展開にそんな変化がある訳でもない。
号令をかけ壁や天井の隙間に根を張っているダストプランターを引き剥がすようにして、バキバキと割っていく。
棘が生えている部分にさえ気をつければなんということもなく排除できた。
これは戦闘じゃなくて草刈りとかの駆除に近いものがあるだろう。
引っ剥がしたダストプランターの残骸はみんなの武器にするか、と考えてみたがあんまり使えなさそうだな、これは。
根だか幹だかわからない木の棒は密度が低く武器としては役に立たない。
ダメージにならない棒切れ持っていても荷物になるだけである。
鞄どころか何かを包む布とかもないから、荷物を運ぶ方法さえなかった。
今のままだと手に持った分と口に入れた分しか運べない。
さっき倒したダストプランターも幹とか根のモンスターだから葉もないのである。
洞窟内部みたいなこんな環境では仕方がない。
時間があれば、石で叩いてほぐして繊維にすれば縄くらい作れるのだろうが。
食料しか出てこない今ならばまぁ問題はないだろう、採集が目的でもないしな。
武器スキルはちゃんとした武器が手に入ってから覚えさせればいい。
ただ後衛のシロには小石を投げてダストプランターの残骸の棒で叩く練習をさせてみることにした。
最初は当たらないように石を投げて棒で打ち返す。
段々早くしたり体に当たる軌道で投げたりしてみた。
シロはこれがいたく気に入ったらしく投げられた石を棒に当てられるようになった。
「おぉやるなぁ」
と褒めてやったら、落ちている石を見つけると拾って俺に投げ返してくるようになった。
「キシャー!アタラナイ!」
もちろん俺は当たらないようによけている。
落ちている小石を見つけるたびに拾って、ひょいひょいスカコンと投げあったり打ったり避けたりしている様は遊んでるようにも見えるが、戦闘を有利になる布石になればと思う。
スキルの覚醒がだれかで実験ができないので自分が真っ先に覚醒したのはまぁしょうがないだろう。
その分何をどのように意識したり行動することによってスキルが覚醒するのかはまぁ理解できたと思う。
「ナニカイルゾ、イチニサン、イチダ…」
前を歩いていたアカが敵を見つけた。
なにか周りより温かそうな物が4つ通路の先の暗がりに居るのが判る。
なんだこれ?何だこの感覚?
温かそうなのが見えるってどういうことよ?
これもチートか?
「アタタカイ、イキテルノクエル、ナラバクウ!」
アオが勢い良く突っ込んでいく。
「オデ、イッパイタオス!イッパイクウ!」
アカも負けずに突撃していった。
数も3以上数えられるようになろうな…
グレード C
所属 None
名前 ??????
種族/Lv ケイブラットLv6(Target!)
職業/Lv 獣魔Lv03
HP/MaxHP 35/35
SP/MaxSP 6/6
スキル01 連携Lv01
スキル02 呼応Lv02
スキル03 貪食Lv03
スキル04 体術Lv03
~Regular Battle~
~勝利条件:敵の殲滅
敗北条件:パーティー全員の戦闘不能
DMステータス:AUTO
BGM:Regular Battle03 暗がりのケモノ~
<ケイブラット
大型のネズミ。
素早い動きで敵を翻弄し、齧りついて相手に攻撃する。
戦闘が長引くと呼応スキルで仲間を呼ぶ厄介な特性がある>




