第06話
さて、成長の度合いを確認しよう。
<種族/Lv
リザードマン・オブシディアンLv02>
になってる。
そして俺のHPが
<HP 24/24→32/32>
に上がっている。
SPは
<SP 3/3→4/4>
あんまり上がらないが、
こっちは今のところ何かに使えるわけじゃないからまぁいいだろう。
SPは成長して技とか使えるようになったとき必要らしいから伸びてくれた方がいいんだろうけどな。
俺以外も種族Lvは全員上がっているので確認する。
HPは
<アオ
HP 21/21→28/28>
<アカ
HP 28/28→37/37>
<シロ
HP 18/18→22/22>
SPはアオ、アカが1ずつ。
<シロ
SP 5/5→8/8>
に上がっている。
さすが魔法職、SPの上りは俺たちのHP並みのポイントが上がっている。
だが、これでやっと戦闘で使えるくらいのSPになったんだろうか。
職業Lv、スキルLvは別のタイミングで上がるのだろう。
想像としては、生物として成長すると種族Lvが上がり、経験を積むことで職業Lvが上がる。
スキルLvは対応する行動の熟練度を指す。
といったところだろうか。
後方支援ユニットを育てて行かないとあとで困るのはゲームの常道だよな。
しかし全体的に上がり方がしょっぱい気がする。
コモンの世界は世知辛いね。
「ダンジョン施設の点検って何するんです?」
とスケルトンのおじさんに聞いたところ
「だんじょんノ侵入者ガ入レナイヨウニ、普段ハ隠蔽サレテイル通路ダ。
だんじょん施設ノ見回リガシヤスイヨウニナッテイル。
今オマエタチニハ任務デ見エルヨウニナッテイル」
「侵入者イナイカラ敵モ強クナイ。
タダ虫トカ、えねるぎーかすガ実体化シテイタリスルカラキレイニ退治シテオケ」
中にいる敵についての情報が貰えた、ありがたい。
~Regular Mission~
~ダンジョン点検口を巡回しよう
ダンジョン点検口から点検通路を巡回して
ダンジョンに異常がないか確認しよう
勝利条件:出現する敵性モンスターの殲滅
敗北条件:パーティー全員の戦闘不能
DMステータス:AUTO
BGM:Cave02 ここからが本番、ナメプは禁止だよ?~
新しいミッションが表示される、チュートリアル終了でこれからはレギュラーミッションらしい。
差が分からないが、これからは命の危機があるミッションということだろうか。
点検口の中に入るとまた通路が続いていたが、先ほどエネルギー変換炉に向かうために歩いていた洞窟通路より、幅がだいぶ狭くなっている。
5~6人で歩けるくらいの幅はあるだろう。
隊列はさっきと同じでアカ、アオ、俺、シロで並んで歩く。
「後ろから何か来たら知らせろ」
「チ…ワカッタ」
シロに一応指示は出しておいたが、一本道なら後ろから攻撃される可能性はあまり高くないと考える。
まぁ今のところはそう警戒しなくてもいいだろう。
歩いているとアカが立ち止まった。
「ナニカイルゾ、キモチワルイノ、イチニサン」
何だ?と思って見てみると確かになにかいる。
数は3か。
黒灰色の不定形の生物?物体?
高さは俺の胸より少し低め。
意識を向けて情報を表示させる。
グレード トラッシュ
所属 None
名前 ??????
種族/Lv 邪妖Lv05(Target!)
職業/Lv 半実体怪魔Lv02
HP/MaxHP 17/17
SP/MaxSP 2/2
スキル01 分裂Lv02
スキル02 貪食Lv02
スキル03 体術Lv01
<トラッシュ
ユニットとしてカウントされない。
コストを微量に消費するので見かけ次第排除が推奨される>
ターゲット発見だ。
説明がひどい気がする。
文字通りのゴミ扱いなのか。
<邪妖
魔力などエネルギーの残滓に微弱な意思が宿った半生物。
周りからエネルギーを集めることしかできないが、エネルギー経路の正常流通を阻害するため、ダンジョンユニットのコストパフォーマンス低下や、故障を招く場合がある>
見た感じは全体的に黒灰色の固まりだが中にうっすらと器官状のなにかが見える。
それがビクンビクン拍動している様は一言でいうとグロい。
そしてなんか見た感じヌチョヌチョしてる気がする。
倒すのかあれ、エンガチョっぽくて嫌な感じだ。
例えるならば、お店のトイレがひどく汚れているのに自分で掃除しなきゃならない状態になった時のようなやらなきゃいけないのにひどく気が進まない感じがする。
そうはいっても俺たちPtの初めての戦闘だ、さてどうするか。
「ギョギャー」
「ギャシュシ!」
と思ったらアカとアオめ、雄たけびを上げながら突進しやがった!
なしくずしに戦闘開始である。
~Regular Battle~
~勝利条件:敵の殲滅
敗北条件:パーティー全員の戦闘不能
BGM:Regular Battle01 経験値と熟練度とお宝と~
いや、本能アタックとか予想通りだけどな。
2体とも絶対やると思ったわ。
敵認定したら『襲う』しかコマンドないんですかねこいつら。
あとでしつけしないとダメだなこれ。
せめて『待て』は覚えさせよう。
初戦闘だし、勝手に先走られたので、ちょっと様子を見てみる。
脳筋コンビの攻撃が邪妖に当ると1ダメージ、アカがたまに2ダメージ出してる。
対する邪妖は、のしかかったり体を伸ばして締め付たりしてダメージを与えようとしている。
アオとアカの肉体を覆う鱗が邪妖の攻撃を無効化しているようで、これならばそうそう2体ともやられることはないだろう。
時間をかければ負けることはないだろうな。
気を付けるとすれば、口がどこにあるか判らないのに貪食を持っている邪妖が何らかの手段で俺たちを飲み込んでしまうことくらいだろう。
「お前は精霊に戦わせることができるか?」
「チ…ヤリマスヨ…」
同じく様子を見てるようだったシロを促すと精霊を呼び出す詠唱を始めた。
召喚のために掛かる時間やら、精霊魔法の攻撃手段など色々確認したいので1発撃たせて威力を見せてもらおう。
シロの詠唱が終わると、さっき怪我を治した時の白い光球ではなく、今度は赤い光球が現れた。
グレード コモン
所属 ??????
名前 ??????
種族/Lv スプライトLv01
職業/Lv 火の精霊(召喚術Lv01)
HP/MaxHP 6/6
SP/MaxSP 18/18
スキル01 火魔術Lv01
<火魔術
魔力を火の力に変換して利用する魔術>
<火魔術Lv01
火球>
今度は火の精霊を呼び出したらしい。
火の玉が邪妖に向かって飛んでいく。
赤い光球が火の玉がを出すと分裂したように見えるな。
召喚対象に魔法を使わせるというのはこういうことか。
<スプライト
SP 16/18>
1発当たりの気力は2消費。
まだ確認はできないが、精霊魔法は普通の魔法使いの使う魔法よりは、コストパフォーマンスに優れているのかもしれない。
飛んで行ったピンポン玉くらいの火の玉が邪妖に当たってそいつのHPが4減る。
こいつ1体倒すのに5~6発当てるのか。
アカとアオが素手で殴ってるよりは早く倒せるだろうけど。
まだまだ魔法火力は頼りになるレベルではないと感じる。
シロにあまり魔法を使わせて消耗させて回復に時間を取られるのは避けたい。
ちょうど、火の玉攻撃された邪妖がシロに攻撃を仕掛けに行った。
「チ…コッチクルナ!」
シロは後方担当させるためにも危険があれば俺が間に入って守られている意識を付けてやった方が良いだろう。
では、情報収集はここまでにしてそろそろ俺も戦闘に参加しよう。
まずはシロを攻撃しようとしてるやつからだ。
魔法でダメージを食らってHPも減ってるしな。
横からその邪妖をブン殴る!
くらえ!ストーンアタック!
心の声で何となく言ってみたかっただけだ。
実際には声は出していない、だからセーフ。
厨二病じゃないぞ。
心は中年、体は少年!
俺の実際年齢は生まれたて!
愛用の手ごろな石を振りかぶり、頭を狙って思いっきり振り下ろす。
不定形モンスターの頭ってどこかは知らないぞ。
なんか上の方にあるんじゃないか?
ゼリーがパンパンに詰まったゴム風船を殴りつけたような感触で、打撃が通った感触はそんなにしない。
そして大問題。
こいつの表面は粘液まみれだった。
つまり思い切り殴るとしぶきが上がる。
そしてこいつの全身は生臭い匂いがする。
つまりしぶいた粘液は超臭い。
うぇぇぇ…
石で殴ればHP3くらいのダメージが与えられる。
臭いしぶきを浴びながら邪妖を殴りつけていく。
殴れば倒せる。
ならば殴るのみである。
殴った時に体液がしぶいて顔に掛かって不快だが毒は持っていないらしい。
目に入って視界がふさがれないように注意して倒す。
1体倒してアカとアオの様子を見る。
ずっと素手で殴る脳筋連中は粘液でテッカテカになりながら殴ったり蹴ったりしてる。
お前らヌチョヌチョになりすぎて攻撃が無効になってきてないか?
「ヌギョォォ」
「ケ…ケ…」
「ヌルヌルデ、ワレノコウゲキ、キイテナイ」
実はこいつらと長期戦闘は不利だということか。
攻撃を無効化されて中に取り込まれて貪食で食われるってのが負けパターンなのかもしれない。
シロは魔力温存のため見てるだけである。
今はわからないが、良い方に解釈したいところである。
まず俺がアカと戦っているところに加勢に入り何発か殴って倒す。
次はアオのところに行って3対1でタコ殴りにして戦闘終了である。
「ケ…」
~Regular Battle~
~Clear!
経験値獲得!
邪妖の肉×3~
初戦の印象、ぐろい、くさい、きたない、ぬちょぬちょの精神ダメージが高い戦いの結果だった。
邪妖は見た目からしてモンスターだったので、生命を奪うことの忌避感を覚えるような外見じゃなかったが、それでも戦うことの精神状態は異様な興奮を俺にもたらした。
これは身体に全力を出させることの高揚感なのだろうか。
戦闘の結果として、全員ダメージは負ったが大したことはない。
敵を倒し、経験値は入ったようだがレベルは上がらなかったようだ。
戦利品は邪妖の肉とやらが3つ手に入った。
この黒い蒸気が出てるぐちゃっとした物体がドロップアイテムな訳か。
死体が残る訳ではなくアイテムが貰える形か。
あのぐろい、くさい、きたない、ぬちょぬちょの邪妖の肉だって…
<邪妖の肉
邪妖を倒すと取得できるアイテム。
食用>
食用だって…食料が手に入ったのなら確かめなければならないことがある。
俺は意を決して邪妖の肉を口に入れると思い切って半分に食いちぎってみた。
「ウィィィリィィィィイ!」
くっそまーずーいーぞー!!
危うく発光するところだった。
いや、何言ってんだ。
まぁ、実際に発光はせず、スキルが発動した訳だが。
冗談はさておき。
食事をすることによってHPが回復するスキルはシロの精霊魔法節約のためにも、ダメージの回復の方法としてメインに考えるべきだろう。
<貪食発動!
HP回復 32/32>
端的に言って肉味のゼリーである。
塩味のしない血の匂いあふれる生肉味のゼリー、なんだかわからない苦みというかエグみが口いっぱいに広がる。
HPの回復と成長のために吐き出す訳にはいかない。
戦闘でダメージを負ったHPを回復しなければ次の戦闘が不利になるという理由もあるが。
種族Lvは先ほど説明を読んだ限り成長することによって上がるらしい。
成長には栄養が大事。
早く成長し、生き残るための強さを手に入れたかったら
食えるものは何でも食うことで成長していくしかない。
俺は食べて成長して強くならなくてはならないのだ。
でも今は半分で勘弁してほしい、HPは全快したし。
次は頑張ってちゃんと食べるようにするから。
アオとアカに1つずつ渡す。
アオとアカは一口で丸呑みか、トカゲだしな。
クワっと目を見開いてのどを抑えて悶えている。
「オデコレクイタクナイ!」
「マズイニク!トレタエモノノ、ワケマエカ!」
そうかそうかまずいか。
これに関しては味覚が共通で一安心だわ。
俺だけこれをまずいと感じる訳じゃなくてよかったとか思ってないぞ。
俺を睨んだってしょうがないだろうに。
これがまずいのは俺のせいじゃない。
俺の食いかけの半分をシロにやる。
目を見開いてこっちを見た後手元の肉を見、再度こっちを見た。
「オイシクナサソウ…」
そんな悲壮な様子を見せるな。
毒もないぞ?
ただものすごくまずいだけだ。(トカゲスマイル)
シロは決心したように丸呑みする。
まずそう、まぁそりゃそうだ。
まずいもの押し付けたわけだしな。
「…!…!」
だから俺を睨むな。
しっぽでぺしぺししないの!
涙目のトカゲとか誰得だよ。
食い物がまずかろうが何だろうが俺たちは食って生き延びるしかない。
邪妖相手は楽勝かもしれないが、今後もそういうわけにはいかないだろう。
全員が食事をしたことによってHPが回復した。
次の戦いの準備はできた訳だ。
さぁ進もう。
そして戦い勝利し成長し強くなろう。




