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余命僅かの令嬢は婚約解消を望みます  作者: もも


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9/22

 デート

読んでいただきありがとうございます

 アレン様からデートに誘われた。初めての街歩きだ。昨日からメイド達が張り切って準備をしている。


「裕福な平民風が良いのではないでしょうか?貴族令嬢と分かれば面倒事に巻き込まれる可能性が大きくなります」


「お嬢様は何を着ても可愛らしいですものね。この水色のワンピースなんてどうでしょう?襟に白いレースが付いていて清楚さが半端ないです」


私が口を挟む隙がないくらいにメイド達が盛り上がっている。されるがままに身を任せた。

その方がきっと早く済む。外出できなかった私は流行に疎い。


「お嬢様とてもお綺麗です。きっとサンダース子爵令息様がデレデレになられますよ」


「ありがとう、みんなのおかげだわ」(こんなに子どもっぽいのに?)と口に出さずお礼を言った私はえらい。


メイドたちは満足そうだ。





 馬車の音がしたので窓から覗いてみる。サンダース家の馬車だ。階下に降りると、アレン様が玄関から入って来たところだった。


今日の装いは白いシャツと黒いパンツだが背が高く足が長いせいかとても良く似合っている。私はゆっくりと階段を下りた。それに気づいたアレン様がこっちを見た。


「フローラ、とても可愛らしいね。水の妖精のようだ。出かけるのが心配になるくらいだよ」

アレン様の目には恋愛フィルターがかかっているのかな。私はちんちくりんだと思うのだけど。


「アレン様も格好いいです。侍女のミラもいますし護衛が5人もいますので心配ありませんわ」


「そうじゃなくて、君を見せたくないなと思っただけだよ」


やっぱり恋愛フィルターのせいだわ。


もっと女性らしく成長したいな。アレン様に相応しくなれるように。


辺りの空気が甘かったようだ。お母様が「こほん」と咳払いをされた。



「こんにちは夫人、今日一日お嬢様をお借りします。夕方までにはきちんと送り届けますのでご安心ください」


「ごきげんよう。任せたわよ、娘をお願いね」


「はい、何かあれば身を呈してお守りいたします。お任せください」とアレン様が騎士のように返した。




「初めてのお出かけでしょう?楽しみで早く目が覚めてしまったわ」


「僕も昨日から楽しみ過ぎて中々眠れなかった。今日はカフェに行ったりしよう。疲れないプランを組んでいるから安心して」


今日もアレン様の過保護が全開だ。流石ぶれない。馬車はカフェの前で私たちを降ろし夕方までに迎えに来ると言って一旦帰って行った。


カフェは個室の予約が入れてあった。まだ胃が小さいので少ししか食べられない。メニューには色々なケーキが載っている。


「ガトーショコラも美味しそうね、でもカシスケーキも良いかも。どっちにしよう迷うわ」


「両方頼めば良いよ。食べられなければ僕が食べてあげるから」


「良いの?アレン様は何が好きなの?」


「僕の好きなのはフローラだよ」


「もうそうじゃなくてケーキの話よ、分かってるくせに意地悪だわ」

私は頬を膨らませ口を尖らせる。


アレン様は再婚約をしてから甘い言葉を遠慮しなくなった。


うかうかしていると逃げられそうだからだそうだ。


あれは幸せを願って身を引いたと説明しても納得をしてもらえない。

よほど心に傷を負わせてしまったのだと甘んじて甘い言葉を受け止めるようにしているけど、慣れなくて恥ずかしい。


「赤くなって可愛い。で、ケーキだけど苺の乗っていてるやつにしようかな。それとコーヒーにする」


「えっ?コーヒーが飲めるようになったの?」


「うん、砂糖とミルクを入れてね。眠いけど勉強をしないといけない時に目が覚める」


「私も飲んでみたい」


「フローラは僕のを味見させてあげるから紅茶にしておくといいよ。苦かったら困るだろう?」


「うん、分かったじゃあひと口ちょうだいね」


「うん、じゃあ注文するね」


ベルを鳴らして合図をすると店員さんが入って来て注文を受けて出ていった。



注文したケーキはどれも美味しかった。私は3分の1ずつ頂いた。なんか得した気分だ。でも普通の人はこれが全部食べられるのね。先は長そうだ。


コーヒーはお砂糖とミルクを入れても苦くて飲めなかった。やはり紅茶の方が美味しい。彼が大人に見えた。




店を出る時に偶然アレン様の 同級生にあった。



「あら、サンダース様ではありませんか。こんな所で会えるなんて嬉しいですわ。昨日は分からないところを丁寧に教えていただきありがとうございました」


女性らしい体つきの綺麗な方が話かけてきた。

視線はアレン様だけにいっている。私には目もくれない。感じが悪い。


そのねっとりとした口調にもやもやとしたものを感じアレン様の服を掴んだ。あれっ?アレン様の顔から表情が抜け落ちた。イケメンはすんとした顔も素敵だ。


「今日は婚約者と念願のデートなんだ。2人っきりの時間を楽しんでいる。邪魔をしないで貰いたい」


「あら、そちらが婚約者の方ですの?妹さんかと思いましたわ」

上から目線だ。何様?それに話を聞いていない。


「私の婚約者だ。失礼なことを言うのはやめていただきたい。ではこれで。

行こうかフローラ、2人の貴重な時間が減ったね」


さっきと違い私に顔を向けるとアレン様が蕩けるような笑顔になった。


女性は相手にされなくて気分を害したのか、取り巻きらしい女性を連れて派手な足音を立てて出て行った。


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