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余命僅かの令嬢は婚約解消を望みます  作者: もも


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 魔法の練習

読んでくださりありがとうございます。

 体力は戻ったが流石に人並みにとはいかない。なのでフローラは机の上にあるペンに念を送ってみた。魔力で動かせないかなあというくらいの軽い気持ちだった。


「動け、動け、机の端まで」声に出して言ってみた。するとペンは意思を持ったように移動をした。ほんの5センチほどだけど。


「えっ?嘘、動いた?待って待って、もう一度」


もう一度声を出して念を送ると確かに動いた。


「はあ~動かせた。次はもっと離してみよう」


ペンは意思を持ったように机の上を移動するようになった。疲れた感じはない。


今度は浮かせてみることにした。


「ペンよゆっくり飛んで私の手のなかにおいで」


ペンはゆらゆらと飛んでフローラの近くまで飛んできて床に落ちた。


(あ〜あ、落ちてしまったわ。まあそんなに直ぐには上手くはいかないわよね。練習あるのみだわ。今に瞬間移動が使えるようになりたい。急に目の前にペンとかお花が現れたらお母様たち驚くわよね。ふふっ)


考えただけでフローラは楽しくなった。





繰り返し練習をしている内にペンが一瞬姿を消しソファーの上に現れるようになるまでになった。ノートでも出来るようになった。


出来るようになると面白くてたまらなくない。部屋の中にあるぬいぐるみやクッションでも繰り返し練習をした。







治癒(訓練とも言う)の日にお師匠様に見てもらった。


「ほう、自力で出来るようになったのか、素晴らしい。もっと練習すれば伸びる。魔力を出す時にもっと流れに集中するんだ」

お師匠様は冷たそうな見かけによらず案外褒めて伸ばすタイプらしい。

フローラは俄然やる気になった。


お師匠様は手を重ねながら魔力の出し方を教えてくれた。なるほど身体の中で魔力が流れていくのが感じられる。


「こうして魔力を放出するんだ。急に全部出してはいけない。危険だからね。少しずつ解放することを覚えなさい」


「はい、お師匠様」


少しずつだが魔力を出すと体調が良くなる。人目につかない裏庭で土を山にする練習も始めた。もちろん周りにはお嬢様を心配する侍女や護衛が控えている。


土がボコボコと小山になっていくのが面白い。段々ふかふかの土になっている。

そうだわ、ここを畑にして野菜を植えてもらおうかな。きっと採れたて野菜は美味しいはずだわ。


野菜を見に来るだけでも運動になると思う。


「ねえ、庭師に言ってここに野菜を植えてもらって」私は侍女に頼んだ。


「畏まりました。どのような物がよろしいでしょうか?」


「トマト、キュウリ、茄子、じゃが芋かしら」

私は知っている野菜の名前を言い、侍女はそれを庭師に伝えに行った。



こうして裏庭に畑が出来、邸の全員で食べても余るくらいの野菜を収穫することになったのだった。その上食べたお母様たちから


「フローラ、あなたの野菜を食べ始めてから、お肌の艶が良くなった気がするのよ。それに疲れにくくなった気がするのだけど」とか


「私も今までより体が楽になった」とお父様に言われたりした。


私は自覚がないので

「今まで随分心配をかけてしまったでしょう。心労がなくなったからではないかしら?」と言うに留めた。


病気の心配ばかりさせていた娘が健康になったのだ。全然気持ちが違うよね。


「確かにそれはあるのかもしれないね」と納得する両親だったが、使用人たちからも「お嬢様の野菜を食べると疲れにくくなった」という声が聞こえてくるようになった。


確かめていただこうとお師匠様にサラダをお出ししてみた。もちろんメインディッシュがステーキ付きのコース料理を。


お師匠様はなんでもなさそうに仰った。



「うん、美味しいよ。元気になるのは当たり前だ。この野菜にはフローラ嬢の魔力が含まれているからね」


「えっ!魔力入りの野菜ですか?薬のような効果があるのでしょうか?」

驚いたお父様が聞き返した。


「今はそこまでの効果はないがこの先は分からない。野菜に魔力が含まれているのは土が豊かになっているからだ。薬草を育てれば良い物が出来そうだ。だが知識のない者が作れば危険だ。むやみに手を出さない方がいい」


何か考えるようにお父様が頷いた。



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