豊穣祭
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あれから3年が過ぎ私は17才にアレンは19才になった。
彼は王宮に就職し文官の道を歩き出している。
私は魔術学院の3年生だ。侍女を連れて来て良いので心配症なお父様はミラを付けた。攻撃されたらやり返す力(火魔法)はあるが人には使えないので、物理的に強いミラが選ばれた。
「お嬢様と一緒に学生気分を味わえるなんて役得です」と言って喜んでいた。
魔法はかなりの力があったようで卒業したら王宮の魔術師団に就職が決まっている。
結婚はその2年後に決まった。伯爵家の敷地内に新居を建てて貰うことになっている。目の届く所で暮らして欲しいというのが両親の願いだ。あれだけ過保護なのだ、親孝行のために了承した。
土と火はかなりの実力になったが治癒はそれほど伸びなかった。小さい傷を治したり疲れを取るくらいだが、お父様達が喜んでくれるので良しとしている。
何と魔術学院ではお師匠様が客員教授だった。
お師匠様はロラン先生と呼ばれ生徒からの人気が高い。当然だ。王宮筆頭魔術師だもの。一見冷たそうに見える美麗な容姿が格好いいと騒ぐ女子生徒もまれにいる。
私は命の恩人のお師匠様をそれは尊敬している。足元にも及ばないが目指すはお師匠様なのだ。愛妻家なのも素敵だ。一途って良い。
エラとビリーも大きくなった。2人共身長がぐっと伸びてビリーには追いつかれてしまった。
エラは私の専属メイドにミラを専属侍女に格上げをした。
ミラの後を付いてまわって教えを請う様は雛鳥のようで微笑ましい。
それは邸の皆も同じようで周りから可愛がられている。
ビリーは侍従兼護衛として私の側に付けた。侍従としても優秀になったが、先輩護衛に付けて剣も学ばせた。
見捨てられたら後がないと思っている彼は上達が早かった。
剣筋がいいそうで、もう2年もすればかなりのものになりそうだ。
いずれ結婚したら付いてきて貰うつもりでいる。近いけどね。
「私の役目はお嬢様をお守りすることです。どこにでも付いて行きます。執務も剣の修行も頑張ります」と声変わりした低い声で言う。
この子達が成長するのが楽しみだ。姉のような気持ちでいる。
★☆★
ある日お父様が何気なく仰った。
「今度家族が健康で生きられている事と領地の豊作を記念して豊穣祭を開こうと思っているのだが」と。
「えっ?お祭りをするの?」
「ああ、フローラのお陰で高級な小麦や野菜、果実等が採れるようになった。
貴族相手に良く売れているし、薬も成果が出始めた。いずれ平民にも安い値段で売れるようになるだろう。
祭りをすれば皆が喜んでくれる。そこでお前たちの結婚も発表しようと思っている」
「結婚発表……きっとみんな喜んでくれるわ。ありがとう、お父様」
これまで祭りの話は聞いたことがなかった。
真面目に働いてくれる者に大きな気晴らしは喜ばれるだろう。
「お父様豊穣祭でやりたいことが出来たわ」
「聞いてもいいのかな?」
「その日のお楽しみよ」
笑って誤魔化した。
豊穣祭は両親が中心になって企画が行われた。動くのは領民達だ。
領地の大広場に領内の店舗から肉やお菓子の食べ物の屋台が沢山出店した。
エールや果実水の大垂数個は領主からの提供だ。
お父様の魔法で広場の中心に噴水を出すことにした。サラサラと流れる水は美しい。クリスも手伝えると知って喜んでいる。15才になり魔力は充分に備わっていた。
冬が近づく前の穏やかな秋の日に豊穣祭は開かれた。
今日だけは朝から休日になり、広場のあちこちで恋人たちや領民が浮かれている。噴水の周りで焼串の甘辛い肉を食べエールを飲み、アイスクリームや林檎の飴を食べて楽しそうに歌ったり踊ったりしている。
クリスは学院の友人達と一緒に出かけた。
フローラとアレンも平民風の服を着て出かけることにした。お祭りなんて初めてで嬉しい。人が多いので恋人のように手を繋ぎ歩いた。
アレンはにやけるのを止められない。フローラが隣で笑っている。
なんて可愛いんだ、愛しさが込み上げる。
牛肉の焼串を買い2人で食べる。柔らかくて美味しい。味が濃いので果実水で喉を潤す。野菜や果物入りのクレープも分け合って食べた。フローラが食べ切れない物はアレンが食べた。
小さなデージーの花束が差し出された。少女が恥ずかしそうに「お嬢様に」と言うので喜んで受け取った。
祭りの陽気な雰囲気に2人は顔を見合わせて笑いあった。
ひと通り回った後、邸に帰ってお湯を使いドレスに着替えた。
これから結婚発表をする。今日は遠くからでもはっきり見えるように銀糸が織り込んである明るい紫色のサテンのスレンダーなドレスだ。
2人で本邸の応接室でソファーに隣りに座って待っていた。
深緑色の正装のアレンが凛々しくて素敵だ。
祭りの時に続き部屋の中にはミラが扉の外にはビリーと本邸の護衛が立っている。
「とても綺麗だーーー可愛い、可愛い僕だけのフローラ。僕のなのに君を邪な目で見た奴が多かった。凍らせてやろうかと思ったよ」
「僕のって…、ふふっ。アレンをうっとりと見ている女の子もいたわ。そうしたら私は火でやらないといけないわね」
「フローラが手を汚すことはない。僕がやる」
そう言いながら髪をひと掬いしキスを落とす。
額に頬に手のひらにと甘いキスは続いた。
フローラは頬に熱が集まるのが分かり俯いてしまった。
胸の鼓動は収まりそうもなかった。
次回が最終回となります。よろしくお願いします。




