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余命僅かの令嬢は婚約解消を望みます  作者: もも


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14/22

14  兄妹

読んでいただきありがとうございます

 領地から甘く育った林檎と魔力を込めた小麦が送られてきた。

テーブルの上にきれいに盛られた林檎には蜜がたっぷり含まれている。


「旦那様、お嬢様の林檎がとても甘いです。それと送られてきた小麦で焼いたパンですが今までにない出来だとシェフが自慢しております」


お父様がパンを口に入れた。


「ほう、これは、今までの物と風味が違うな。美味い」


次に林檎に手を伸ばした。


「うん甘い。しかも瑞々しい。汁が滴っている。元が野生とは思えない。

フローラが土に魔力を注いだからか?これなら特産品として売りに出せる。生の物でも充分売れるだろう。最初は領内で流通させよう。向こうに連絡をしておいてくれ」


「畏まりました」


家族が食べて感動に浸った後、それらは使用人達にも分け与えられた。


食べたことの無い美味しさに皆悶絶していた。




★☆★





 領地で私は魔力を土に放出した。出せば出すほど体調が良くなる。

帰るころにはほぼ魔力は領土に行き渡った気がする。

お陰で領民に畑の好きなお嬢様だと思われるようになった。


魔力を放出しぼうっとして木の下でひと休みしていると、酷く痩せた男の子供が目の前を通り過ぎた。その時その子のお腹が「ぐう〜」と鳴ったのが聞こえた。

私は思わず声をかけてしまった。


「お腹が空いているの?良かったら一緒に食べない?」


休憩に食べようと思って持ってきていた魔力入りの林檎を差し出していた。

男の子の目は一瞬林檎に釘付けになり私を見て迷ったようだった。

誘拐されると怪しんだ?怖がらせてはいけないと思い


「私はフローラ、怪しい者ではないわ。君お腹が空いているのでしょう?だからどうぞ」

しつこいと思ったけど2度言った。



私は麦わら帽子を被り弟の服を着ていたので領主の娘だとは分からないはずだ。


「貰って帰ってもいいか?妹にも食べさせてやりたい。野生の林檎と違っていい匂いがしてる」こわごわ近付いて来た。


「うん、いいよ。君の家は近いの?」


「その先のボロ屋が家だ」見れば今にも崩れそうな家が建っていた。


「お邪魔しても良い?妹さんは家でお留守番?」


「妹は病気で寝てる」


病気なのね。お腹が空きすぎたのか警戒心が何処かへ行きかけている。あまりにも無防備で心配になる。


こう見えても私は貴族令嬢。見えないところに護衛が数人隠れて付いている。

この子の家に行っても大丈夫なはず。何かあったら助けにはいるでしょう。


一緒に家に入ると何もない家の中で痩せ細った女の子が木のベッドで寝ていた。まるで少し前の私のようだ。胸が痛くなった。


「ただいま、エラ、具合はどうだ?」


「お兄ちゃん、お帰り。何かいい匂いがする」


「このお姉さんに林檎を貰ったんだ。剥いてやるから食べろ」


「お姉さん、ありがとう」


「どういたしまして。具合が悪いの?」


「ちょっと熱が出ただけ。平気なのににお兄ちゃんが寝とけって煩いから寝てた」

無理をして笑ってみせるのが分かり切なくなった。


「お父さんかお母さんはいるのかな?ご挨拶をしたいな。お姉さんはフローラよ。君たちの名前は?」


兄妹は黙ってしまった。訳ありだね。エラちゃんは早く林檎が食べたいらしく目で林檎をくれと兄に合図を送っている。


「言いたくなければ言わなくていいけど、もしも2人だけで住んでいるなら林檎を食べてからお姉さんの家に来ない?

私もこの前まで病気で寝てばかりだったから心配でしょうがないの。お医者さんに診てもらえるよ。ご飯もあげる」


お兄ちゃんが警戒を強めたのに対してエラちゃんは私が病気だったという部分に食い付いた。


「お姉さん、病気だったの?」


「うん、病気だったけど治ったの。この通り出歩けるようになった。一緒に来るのは嫌かな?」


「お兄ちゃん、私お姉さんの家に行きたい」


エラちゃんの目が輝いた気がした。お兄ちゃんはまだ迷っている。


「考えてからでいいわ。それより林檎このまま食べてみて、美味しいし元気になるよ」



空腹の限界だったのか兄妹は洋服で林檎を擦って齧り付いた。


「…美味しい。こんな林檎初めてだ…」


「なんか元気が出た。ごちそうさまでした」


礼儀正しいな。

さっき2人が林檎を食べている時にこっそりエラちゃんに治癒魔法をかけた。


大分顔色が良くなったが一度では効果が薄い。急に具合が良くなるのも可怪しいので僅かに掛けただけだ。


体調が良くなった2人は喜んでいるが一緒に来てくれるだろうか。

お兄ちゃんはまだ疑っているようだ。


諦めて今日は一旦帰ることにした。念の為護衛を1人おいて置くことにした。

「お姉さん帰るけど、具合が悪くなったらこのお兄さんに言ってね。夕飯は届けてあげるから」


決死の覚悟をしたのだろう。強張った顔のお兄ちゃんが拳を握りしめながら言った。

「僕の名前はビリー10才、妹はエラ7才です。一緒に行きます。連れていってください。僕をお姉さんの所で働かせてください。掃除やお使いなら出来ます」と。



男の子の名前をミルにしていましたがメイドのミラと混同するといけないので、ビリーに変更しました。

何で似たような名前を付けた?私。m(_ _;)m

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