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余命僅かの令嬢は婚約解消を望みます  作者: もも


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12/22

 領地で

いつも読んでいただきありがとうございます

 今日はお父様がこれ以上魔法を使うのは無理そうなので他の貯水池に行くのは明日以降になった。

取りあえず一番大きな貯水池が満水になったので安心だ。 


領地で1番大きいミトク山から流れて来る川の水の勢いも詰まっていた汚れを取り除いたので普通に戻った。


麓の水の心配はなくなった。一安心だ。




帰ってから伯爵家の畑に行ってみた。土に触れて「美味しい小麦になれ」と念を送った。どんな小麦になるのか楽しみだ。上手くいき病気に強く美味しい小麦が作れるようになるといいのだけれど。


溜まった魔力を放出することで私の体調も良くなっていった。









「あの林檎の木は野生ですか?」


親子3人で午後の散歩をしていると道沿いに生えている木が目についた。



「多分山に生えていた野生の林檎を鳥が食べて糞を落とし育ったのだろう。生の実は美味しくないぞ。林檎の木がどうかしたのか?」


「林檎の果樹園を作るのはどうかなと思ったの」


「姉様アップルパイが食べたいからでしょう」

クリスがひやかすように言う。


「それもあるけど、果樹園だと土に魔法が掛けやすくなって美味しいものが出来ると思うの。野生の木があるってことは林檎にとっていい環境なのよ」


「果樹園か、良いかもしれないね。林檎は生でも加工しても売れる。ジャムやシードル、ジュースも作れるぞ。冬の間の産業に良いな。まず我が家用に果樹園を作ろうか。話はそれからだな。専門家を雇うとしよう」


「父様は姉様に甘いね。薬草も育てるんだよね」


「そうだな、だがクリスにも甘いじゃないか。薬草を管理するのはいずれクリスの仕事になるだろう。ああ、こんな日が来るとは思ってもいなかったな。皆が元気でいるのが一番ありがたい」

お父様が感極まったように言った。


「それは言えてる。僕は将来病気の人を助けられるように頑張って勉強するよ」


「クリスって本当に良い子ね。姉様嬉しい」

私はクリスを抱きしめた。


「良い子ってなんだよ。良い子って。もう抱きつくのはやめてよ」

赤くなったクリスが腕の中から逃げ出して叫んだ。


「今までできなかったんですもの、いいじゃない」


身長はとっくに追い抜かれていて私が妹のようだ。お返しとばかりに抱きしめられた。

「姉様、もっと食べて大きくならないと、折れてしまいそうじゃないか」


「そうだなフローラは一日5食にしようか。少しずつ食べるようにすれば大きくなれるだろう」


「2人が付き合ってくれるのならいいわ」


お父様の顔が強張った。

「父様は仕事があるし、5食も食べて太るのは困る。クリス頼むよ」


「ええっ〜!5食は嫌だ。僕も太りたくない」


「一人で食べるのは寂しいわ。そうだクリスは見ててくれたらいいことにする。ね、それならいいでしょう?」


「仕方ないなあ、それこそ林檎でも食べて見ててあげるよ。早く大きくなってよね」


口を尖らせながらそれでも付き合ってくれると言う弟が愛しい。


1日5食計画は料理長の助けを借りて滋養の良いものになった。

運動も大切だとお父様から言われたので、散歩もすることにした。


私とクリス、侍女のミラと護衛が3人の合計6人が歩く。領民から声がかかるのでちょっとした名物の様になった。


前に護衛が1人、後ろに2人、ミラは私の日よけ傘を持ち後ろを歩いている。


「日焼けどめのクリームがあると良いわね」とミラを見ながらぼそっと私は呟いた。


私は貴族令嬢なので日焼けはありえない。こうして陽射しから守られている。


でもミラは陽に当たりっぱなしだ。色が黒くなるよね?心配だ。


クリスはちゃんとそれを聞いていて王都に帰ると薬師のルカに相談をした。


それは3年後商品となり、女性に受け入れられて我が家に大きな富をもたらすことになった。





私たちの散歩がすっかり名物になった頃、王都に帰ることになった。


「旦那様、お嬢様、坊ちゃま、又のお帰りをお待ちしております。今度は奥様にもお帰りいただきたいものです」

スミスが穏やかな顔で送る言葉を口にする。


「ああ、今回は先約があり帰れなかったのだ。次は連れて帰るから楽しみにしていてくれ」


「はい、お待ちしております」


こうして私たちは楽しかった日々を胸に、沢山のお土産を乗せて使用人達に見送られ領地を後にしたのだった。

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