領地へ行く
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魔力が安定してきたのでお父様に領地に誘われた。もうすぐ死んでしまうと思っていた時に行くと連絡して以来ご無沙汰をしている。みんなに心配をかけたままだった。会いに行って謝らなければ。
今回お母様はお友達の侯爵夫人との予定があり一緒にいけない。悔しがっていた。クリスと3人の親子旅行だ。
領地へは馬車で2日かかる。途中で食事を挟み高級宿に泊まり予定通り本邸に着いた。
使用人たちが玄関の前に頭を下げずらっと並んで待っていた。
「「「おかえりなさいませ。旦那様、お嬢様、お坊ちゃま」」」
本邸の家令スミスが進み出る。
「お嬢様、お元気になられて良かったです。どれほど心配いたしましたことか」ベテラン家令の目に涙が浮かんでいた。
「心配をかけてごめんなさい。私はこの通り元気になったわ。両親や弟、皆のお陰で」
「積もる話は邸の中でしようじゃないか、スミス。皆も頭を上げなさい。任せっぱなしで済まなかったね」
「旦那様何をおっしゃいますやら。ささ、中へお入りくださいませ。こんな所で立ち話をするなんて私としたことがとんだ粗相を。大変失礼いたしました」
その後私たちはそれぞれの部屋に案内をされた。湯を使い着替えると応接室でお茶を飲んでゆっくりすることになった。
目の前には焼きたての美味しそうなアップルパイと香り高い紅茶が置かれている。
「スミス心遣いに感謝する。フローラ、クリス食べなさい。お父様も頂こう」
アップルパイは林檎がたっぷり入っていてレーズンとシナモンがアクセントになっていてとても美味しい。
紅茶はダージリンだろう。渋みがなく美味しい。
「とても美味しいわ。あとで料理長にお礼を言うわね」
「お嬢様たちにお褒めいただくと奴が喜びますな。もっと腕を振るいたくなるでしょう」
厨房に顔を出した私たちは大歓迎を受けた。
食べ終わったお父様がスミスに命じた。
「後で執務室に帳簿を持ってきてくれ。今年の小麦の出来はどうだ?」
「畏まりました。帳簿は旦那様の執務室に取り揃えてあります。小麦は例年通りかと思います」
「そうか、何か困っていることはないか?足りないものでもいい」
「今年は雨が少ないので水が足りるかどうかが心配でございます」
「明日でも視察に行こう。子供たちも勉強の為に連れて行く。そうだ地図を見せてやってくれないか。何も分からず行くよりはいいからね」
「畏まりました。旦那様方が帰っていらっしゃると邸が息を吹き替えしたようで皆も張り切っておりますです」
「そうか、これからはちょくちょく帰るようにしよう」
10年くらい前まではお祖父様が頑張ってくださっていたそうだが、老衰のため亡くなられていた。
ここ数年はたまに帰るお父様を助ける為に使用人たちが頑張ってくれていたのだ。
地図を見たクリスは直ぐに頭に入れたようだ。
「もう理解したの?凄いわね。姉様は地道に覚えるわ」
「わからなかったら説明をしてあげるから大丈夫だよ。案内は付くと思うし姉様はのんびりしていればいいんだよ」
「クリスが頼もしいから姉様安心していられるわ。今日はもう休むわね。何だか疲れちゃった」
「長い時間を馬車に揺られていたからだよ。僕も早く寝るね。お休みなさい。姉様」
「お休みクリス」
私は夢も見ずにぐっすりと眠った。
翌日馬車で視察に回ると領民たちから温かな歓迎の声で迎えられた。
馬車が通るだけで「旦那様〜お嬢様〜坊ちゃま〜」という声があちこちから聞こえる。
「この声を覚えておきなさい。領民を守る為に私たちは生きなければいけないのだよ」
「「はい、お父様」」私たちは頷いた。
周りには一面の青い小麦畑が広がっている。道沿いに生えているのは昨日食べた林檎の木だ。
もっと山の方へ近づくと大きな貯水池があった。しかし水位が低い。このまま雨が降らなければ水が足りなくなる。
お父様が手を伸ばした途端に水位がぐんぐん上がっていた。
それに伴いお父様の顔色があっという間に悪くなった。
「お父様、大丈夫ですか?ちょっと目を瞑っていてくださいね」
私は治癒魔法を使った。お父様の顔色が良くなり元気になった。
「フローラ治癒魔法が使えるようになったのか。ありがとう助かった。いつもはこれくらい何ともないのだが疲れていたのかもしれないね。でもこのことは内緒にしておこう。攫われたら大変だからね」
「分かりました。家族だけの秘密ですね。もう少ししてクリスが大きくなれば水入れも協力して出来るようになりますわ。だってとても優秀なんですから」
「姉様はブラコンだよ」
と言いつつ心配で青ざめていたクリスの顔色も元に戻り親子3人は心から笑いあった。




