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ヤドカリ姫は異世界の扉をひっそりと開ける  作者: モパ
【第2章】モンスター氾濫と紛争
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第2集積所での出来事(中編)

「シタコから話を聞きました。


この度は、リザイア湿原での仕事を引き受けて頂くにあたり、確認や交渉をされるという、登録者様の正当な権利を、私どもの部下が不当に侵害しようとした事について謝罪せて頂きます。


また、今回の件での皆様のご対応につきましてもギルド本部に報告をさせて頂いたところ、


皆様の正義に従って行動して頂いて問題はない。


また、それが発端で起こったクレームについては、ギルドの方で皆様に不利益が出ない形で処理させて頂く。


との回答を、口頭だけでなくメールでも頂きました故、今、書面を作成させて頂いております次第です。」


執務室に戻って来たタメルコさんは、そう言いながら深々と頭を下げてきた。



「また、【バッタ偽装魔虫花】を原料にして、【森の瘴気の呪い風邪草】が引き起こす瘴気の呪い風邪の特効薬に関しましては、

リザイア湿原でも使用して良いとのことでした。


ギルド本部からも、皆様の仕事先が、マズトモエ連邦から、リザイア湿原に変更になった旨を、

特効薬の開発者であり、エンクル様を治験医に認定したセキブンリ村のオヤク様や、ネギハタ高原国の開発局へ報告されると仰られておりました。


そして、エンクル様には、治験をする場所が変わりはするが、治験医としての役目を引き続き果たして頂きたい。とも仰られてました。


この内容につきましても、口頭だけでなく、メールでも頂いております故、今、書面を作成させて頂いております。」


タメルコさんが、泣きそうな顔のまま報告を続けてくれる。



「また、回し車の共同開発者であり、共同で特許権を取得さらておられる、ネギハタ高原国の開発局や、キマベク村などの領主をされておられるトメイ・ケイゴロウ様。

【バッタ偽装魔虫花】を原料にした【森の瘴気の呪い風邪草】が引き起こす瘴気の呪い風邪の特効薬の開発し、エンクル様を治験医に任命されたセキブンリ村のオヤク様。

皆様に友の証として盾を送られたキテ・ウミシシ様などといった、皆様の利害関係者様等に対して、ギルド本部からメールにて謝罪をされるとの回答を得ました。



それと……ナアヨに関しましては、ギルドの職員の雇用契約に基づき、本日付けで、ギルドが所持する犯罪奴隷に落とし、教育を施す事となりました。


また、ネギハタ高原国政府が犯罪者であるナアヨの引渡しや、国外追放等の措置を望まれる場合等があった際は、その指示に従え。という指示もギルド本部から出されております。



ナアヨに関しましては、これ以上、皆様に害を与える事が無いよう、徹底させて頂きます。

ですから、どうか、リザイア湿原での仕事を引き受けて貰えないでしょうか。」


タメルコさんは、そう言いながら深々と頭を下げてきた。



◇◇◇



「ちょっと待って下さい。


この新人。……ヤドカリ商会の皆様がギルドにとって、特別な存在だという事は理解しました。


ですが、その……この措置は、あんまりだと思います。


そう。これは……明らかな権力乱用です。」


ナアヨが真っ赤な顔で抗議をする。



「ナアヨさん。


ギルドの登録者様が、ギルドからの仕事を請け負うにあたって、確認や交渉をされるという正当な権利を侵害した場合、ギルドが所有する犯罪奴隷となる事は、ヤドカリ商会の皆様への御無礼とは別問題です。


何故ならば、彼女達を優遇した措置ではなく、ギルドが定める通常の雇用契約の内容に則った通常業務だからです。



また、ギルドは、駐在する職員が、駐在する国の皇族や政府。王侯貴族様などから犯罪者として引き渡しの依頼を受けた場合、

ギルドの専門チームが調査をし、引き渡しの依頼内容に問題が無い場合、速やかに身柄を引き渡す。という協定が結ばれておりますので、これも通常の業務の範囲内です。



勿論、この内容に不服であれば、【審議判定の魔道具】を使った再審議を申請する事は可能です。


ですが、その……

再審議を申請されたとしても、ギルドの登録者様へ、ギルドからの仕事を請け負うにあたって、確認や交渉をされるという正当な権利を侵害されたのであれば、この決定が覆る事は無いかと思いますよ。」


タメルコさんがナアヨに対して諭すように話す。



◇◇◇



「ヤドカリ商会の皆様。訴えを取り下げては頂けませんかね。


そうしてくれれば、実家から、それ相応の謝礼をさせますし、貴女達への報復もさせない事も、お約束しますわよ。」


ナアヨが猫撫で声で、僕達に話す。



「実家から報復行為をさせへん。ちゅうんは、どういう意味や?」


「私の実家は、身分を重んじるチョカ家の遠縁のルラレ子爵家です。


貴女達は王族であられるグンフ殿下やグンミ殿下と懇意にさせて頂いている事で調子に乗られてるようですけど……


チョカ家は、グンヨ殿下の庇護者でもあらせらる、貴族派の代表家の1つである、マキジコ家の派閥に属してるの。


そう。貴女達が懇意にしておられるグンフ殿下とグンミ殿下を推す者達が集まる王族派の最大の敵対勢力にね。


ここまで言えば……分かりますよね?



いくら貴女達がネギハタ高原国の開発局にとって大事なビジネス パートナーであったとしても……

キテ・ウミシシ様が、貴女達の事を私的なご友人だと思われていたとしても……


1台のキャンピングカーで常に人外地を移動し続けている貴女達を王族派が貴族派から守りきってくれる。

なんていう……夢(ファンタジー)を信じてはいないわよね?」


ナアヨが哀れむような目で僕達を見る。



「ナアヨさん。


私は、常日頃、ギルドからの通達には、全て目を通せ。と申しておりますが……守って頂けておりますか?


それと……ここ数日の間に、ご実家とは連絡を取られましたか?」



「何故、そのような事をお聞きになられるかは分かりませんが……


ここ10日ぐらい、忙しくてギルドからの通達に目を通せてませんでした。」


「そうですか。

そこにある、4日前の通達がファイリングされているファイルを見て下さい。」


「畏まりました。」


ナアヨが小首を傾げながらタメルコさんに返答を返した。



◇◇◇



【バサッ】



「ヤドカリ商会の皆様。

ならびにタメルコ様。ボクオ様。シタコ様。


数々の御無礼。お詫び致します。」


4日前のギルドの通達がファイリングされているファイルを落としたメナヨが、泣きながら土下座をしてきた。



「貴族派の残党の1人として、一矢報いてやる系じゃなくて……

普通に通達を読んでなかっただけだったんっすね。


てか……オイラやシタコにまで様付けとか……


なんなんっすか? その変わり身の早さ。

普通に気持ち悪いっす。てか、ドン引きっすよ。」


「まぁまぁ。ボクオ。


ナアヨ様は、一足先に心根だけ犯罪奴隷に適応されたのよ。


けど、まぁ……ご実家の権威を傘に威張り散らしてた彼女からしたら青天の霹靂だと思うわよ。


だって……

グンヨ殿下は無期限の謹慎。という名の幽閉。

マキジコ家は、主だった家臣達と共に、ナヤクラース連邦に亡命。

そんでもって、チョカ家は、お取り潰し。そして、主だった者は、全員、死罪ですものねぇ……



てか……ナアヨ様ぁ。


表面上は、今回の件で、お咎めがなかったルラレ子爵家ではございますが……

貴女が余計な事をしたせいでマズい事になってしまうんじゃないですかねぇ……


でっ。もし、そうなった場合……

アタイとしては、生者としてか……亡者としてかは、置いといて、

ルラレ子爵家が報復をする相手に選ぶのは、

ヤドカリ商会の方々ではなく、【あ・な・た】になると思うんだけど……


貴女は、どう思います?」


「その前に……

そもそも論てして、ルラレ子爵家、単体でヤドカリ商会の皆様は殺れるような人間を用意する事など出来ないんじゃないっすかね。


ナアヨ様。

ご実家が大切ならば、タメルコ様にお願いをして、

ご実家の方々が、ヤドカリ商会の方々に報復をしようとして返り討ちに合い。更に、立場を悪くしないよう説得をされるべきだと思うっすよ。」


シタコさんがニヤニヤと小馬鹿にした顔をしながら、

ボクオさんは心配そうな顔をしながら、

ナアヨに話しかける。



「シタコやボクオの言う通りですね。


第2集積所としては、これ以上の失点は出来ません。


ナアヨさんの先刻の発言をウミシシ様やグンフ殿下へ共有させて頂き、

ルラレ子爵家の方が、事態を悪化させる事をなされないよう先手を打って貰うように、お頼みをしてきます。」


タメルコさんは、そう言うと、執務室を出て行った。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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