第2集積所での出来事(前編)
「リザイア湿原との窓口が、
シクブツの町の裏社会の最大勢力の1つであるクゴ一家が営むギルドに未登録のゴワン商会ねぇ……
リザイア湿原は、元々、パールス帝国の町や村の中でも、ぶっちぎりに治安が良くない場所の1つと言われていて、
リザンア湿原の周辺の町や村に居る、瘴気の呪い風邪を治せる解術師達が、リザンア湿原で蔓延している瘴気の呪い風邪を治す仕事を引き受けるのに難色を示しているんですよね?
でっ。その仕事を、マズトモエ連邦での仕事をキャンセルし、わざわざ高い違約金を払ってまで僕達に回した。って事ですよね?
もし、仮に……
リザイア湿原の人達や、クゴゴ一家。窓口であるゴワン商会と揉めた場合……
僕達は自己責任で揉め事の処理をしないといけないのですか?
それとも、ゴワン商会を介して、ギルドが仲裁などに動いてくれるのですか?」
「私も、そこは確認を取らせて頂きました。
ギルド本部。もしくは、ギルドのトゥオルス支部まで報告が上がってくれば対処は可能。という回答をギルド本部から書面で頂いておりますので、お渡しします。」
タメルコさんは、そう言いながら申し訳なさそうな顔で書類を渡してきた。
「実質、揉め事は自己責任。ちゅう事やね。
ウチ達が反撃し過ぎた場合とかは、どうなるんや?」
「ご存知かとは思いますが、今回の件に関わらず、お客様への過剰な防衛や、言いがかり等につきましては処罰の対象になります。
ですから、そこに関しましては、イレギュラーな対応をされる必要は、ございません。
皆様の匙加減で問題無いかと思います。」
タメルコさんが、そう言いながら笑顔でレイヒちゃんの質問に答える。
「わたし達……新人さんなんです。
なので、わたし達の匙加減で問題無い。って言われても困るんですけど……」
「ならば、相手からクレームを上げられならなければオッケー。と、お考え下さい。」
タメルコさんが、そう言いながら笑顔で嫁の質問に答える。
「つまり……弱肉強食の理論かにゃ?
アタイの出番にゃね。」
「ヌッコさんや。
拳骨が欲しいのかしら?」
「盗賊と盗人以外には大人しくしとくにゃ。」
嫁の返答を聞いたシャーコが溜息をつきながら話す。
「でっ。どうします?
ギルドからの新しい依頼は受けますか?」
「ウチ達は、ウチ達の正義に従って行動させて貰う。
そのせいでクレームが来はっても知らん。
それで、ギルドが良え。ちゅうなら受けたっても良えんちゃう。」
ナシアタ君の質問にレイヒちゃんがドヤ顔で答える。
「おい。レイヒ。
気持ちは分からんでもないが、
ギルドはタンマリと金を積んでくれる。って言ってんだ。
だから、依頼を受けるのならば……
ギルドには、極力、迷惑をかけずにやり切るべきだと思うぞ。」
「お気遣い、有り難うございます。
ですが、その……確認してまいります。
少々、お待ち下さいませ。
ナアヨ。ヤドカリ商会の皆様に、お茶とお茶菓子を出して下さい。」
タメルコさんが、そう言うと執務室を出ていった。
◇◇◇
「おい! 新人ども!
王族やお貴族様のお気に入りだからって、調子に乗ってんじゃないわよ!
てか……訓練所にも通わず、コネで手に入れた、中ランクの肩書きでイキってるんじゃないわよ!
タメルコ様が戻って来たら、心を入れ替えて、
はい。と、畏まりました。以外の返事をするな!
じゃないと……
私の子飼いの高ランクの荒事が得意な者達に、お仕置きをさせるわよ!」
タメルコさんが居なくなると同時に、ナアヨと呼ばれていた彼女の秘書。って感じの女の人が凄んできた。
「無茶苦茶、言わはるわ。
皆が嫌がる仕事を、無理矢理、ウチ達に回そうとしてはるんは、そっちやろ。
てか……それでも、やろうとしてやってんや。
感謝されこそしても、文句を言われる筋合いなんて、あらへんのちゃうんか。」
「この娘の言う通り。
タメルコさんが戻ってきたらクレームを入れさせて貰うわ。」
レイヒちゃんと嫁が、そんなナアヨに文句を言う。
「クレーム?
私のような高貴な家の出で、ギルドでも成功し出世した者はね。
低・中ランクの者からクレームを出されな心得。ってものを用意してるの!
これは……警告よ!
タメルコ様に、私に対するクレームなんか出してみなさい。
私の子飼いの高ランクの荒事が得意な者達に、お仕置きをさせるわよ!」
ナアヨは、そう言いながら嫁とレヒイちゃんを睨み付けてくる。
「やれるものにゃら、やってみにゃ。」
「落ち着け。シャーコ。
のう。ナアヨとやら。
主が思う者に儂達に仕置きが出来るような実力を持つ者が居らぬ事ぐらいは理解出来たじゃろ?
さっさと前言撤回をして、儂達に詫びを入れた方が良いと思うぞ。」
ワンゾウは、シャーコを宥めながら、ナメヨを嗜める。
【ドサッ】
【ジョワ~・ブリブリ】
「ボクオ!シタコ!
何をボサッとしてるの!
あんたら、護衛でしょ! 用心棒でしょ!
この糞生意気な新人を教育しな!」
ナメヨが糞尿を垂らしながら絶叫する。
「無理っす。
俺っちレベルの人間が、100人で束になっても勝てないっす。」
「ギルドの依頼を受けるにあたって、確認や交渉をするのは登録者様の正当な権利。
そもそも、正当な業務を全うしていない貴女が悪い。
彼等のランクに関係なく、
貴女の無礼な振る舞いをタメルコ様に報告させて貰うつもりだったわ。
そんな貴女を庇うつもりはありませ~ん。
てか……そもそも論として、コネだけじゃなく、単純な武力でもアタイよりも遙かに格上の方々から、貴女を庇える力などありませ~ん。
てかさぁ……
アタイは、貴女の護衛ではありません。
タメルコ様の護衛でございまぁ~す。」
「この役立たず共が!
おい! 新人!
このままで済むと思うなよ!」
ボクオとシタコに見捨てられたナメヨが、僕達を睨む。
「困りましたねぇ……
ただでさえ、危険地帯での仕事だけでも、いっぱい、いっぱいなのに……
そうだ。
リザイア湿原での仕事を引き受ける条件に、
ギルドの依頼を受けるにあたって、確認や交渉をするという登録者の正当な権利を不当に侵害したナメヨさんの処理も条件に増やそう。
それと、レイヒちゃん。
回し車の共同開発者であり、共同で特許権を取得している、ネギハタ高原国の開発局や、キマベク村などの領主をされておられる、トメイ・ケイゴロウ様へ報告をして欲しい。
それと……
【バッタ偽装魔虫花】を原料にした【森の瘴気の呪い風邪草】が引き起こす瘴気の呪い風邪の特効薬をリザイア湿原でも使用して良いか、タメルコさんが戻ってきたら確認を取って欲しい。
そんでもって、その結果の報告を僕を治験医に任命してくれた、特効薬の開発者であるセキブンリ村のオヤクさんにも連絡をして欲しい。
その上で、今回のナメヨさんの件について、
ネギハタ高原国の開発局からもギルド本部へ対して、然るべく措置を取ってくれるよう、第2集積所に指示を出して貰えるように、お願いして欲しい。っていうメールを打って欲しい。」
「了解や。
ついでに、ウチ達の事を心配しはって、盾をくれはった、キテ・ウミシシ様へも情報を共有して貰うよう、ネギハタ高原国の開発局にお願いしとくわ。
ウミシシ様に、なんかして欲しい訳やあらへんけど……
ネギハタ高原国の開発局はグンフ殿下の管轄や。
せやから、ウチ達を一番、可愛がってくれはったウミシシ様を無視するような真似はしやん方が良え思うんや。」
レイヒちゃんが笑顔で快諾してくれるだけでなく、
より円滑に僕達の願いが聞き入れられそうな提案までしてくれる。
「パパも、レイヒちゃんを見習って、こういう配慮も覚えてよね。」
「頑張ります。」
ジト目で話す嫁に、僕は苦笑いしながら返答を返す。
「ボクオ! ここを頼む!
アタイは、今の出来事をタメルコ様に報告してくる!」
シタコさんは、そう言うと、真っ青な顔をしながら執務室を飛び出して行った。
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