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ヤドカリ姫は異世界の扉をひっそりと開ける  作者: モパ
【第2章】モンスター氾濫と紛争
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避難 / 新たな動き(前編)

【ギギギギギギ】


【バタン】



殿(しんがり)を努めていた、僕達のキャンピングカーが第2集積所の関所の門を通り抜けると、関所の門が、ゆっくりと閉まっていった。


そして、関所を抜けると同時に、キャンピングカーがゆっくりとスピードを落として止まる。



【カラン・カラン・カラン】・【カラン・カラン・カラン】

【カラン・カラン・カラン】・【カラン・カラン・カラン】

【カラン・カラン・カラン】・【カラン・カラン・カラン】


【カラン・カラン・カラン】・【カラン・カラン・カラン】

【カラン・カラン・カラン】・【カラン・カラン・カラン】

【カラン・カラン・カラン】・【カラン・カラン・カラン】


【カラン・カラン・カラン】・【カラン・カラン・カラン】

【カラン・カラン・カラン】・【カラン・カラン・カラン】

【カラン・カラン・カラン】・【カラン・カラン・カラン】



時刻は21時。

第2集積所に小気味良い音が響き渡る。



【空の目】の映像を見ると、トラックに積まれていた木材が降ろされている光景が映し出されていた。



「骨身に滲みるような寒さが大幅に軽減されたのう…

どうやら、ここは浄化された空間のようじゃな。」


ムンナちゃんがホッとした顔をする。



『ヤドカリ商会の皆様。移動をお願いします。

付いて来て下さいませ。』


女の人の声が頭の中に響き渡る。


『了解や。』


レイヒちゃんが、念話で返答を返してくれる。



■■■



「おやすみ。」×7


僕達は、声をかけあって全員で寝る事にした。


第2集積場には、沢山の夜間の警備兵が居て、あちこちに篝火なども焚かれている事もあり、彼等に夜番を任せて全員で寝る事にしたのだ。



バンクベッドには、嫁・レイヒちゃん・ムンナちゃん・シャーコが陣取り、

僕とナシアタ君が、ダイネットをベッドモードにして横になり、

ワンゾウが運転席横の補助席に置かれたドライブボックスの中で睡眠を取る事になった。



「俺達が居た場所以外にも、犯罪奴隷を様子見で何人か残しているらしいですよね……


今後、化けて出てこない事を祈るのみですよ。」


ナシアタ君が苦笑いしながら話しかけてくる。



「だよね……

化けて出るなら、せめて判断を下した人達の所に出て欲しいよね。」


「ですよね……」


僕の言葉にナシアタ君が力強く頷く。



■■■



「パパ。起きて。」


「何かあった?」


嫁が僕の身体をゆさぶりながら起こしてくる。

窓の外は漆黒の闇に包まれている。



「もう。昨晩、早めに出発する。って決めたじゃん。

ワンゾウの為に、回し車を外に出してあげて。」


「うん。」


タメ息をつきながら話す嫁に僕は苦笑いしながら頷く。



【ガチャ】



「さぶ。」


僕は思わず声をあげた。

着込んでいるのにも関わらず冷たい。というよりも痛いと感じるぐらい外は冷えている。


携帯電話で時刻を確認すると、もうすぐ4時になる。



「『解放(リリース)』」


僕は回し車を外に出す。



「何時も済まぬのう。

今日は時間をかけぬよう、全力でダッシュする。」


何処からともなく現れたワンゾウが回し車に飛び乗る。



【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】

【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】

【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】


【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】

【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】

【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】


【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】

【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】

【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】



ワンゾウが小気味良い音を鳴らしながら、木製の巨大な回し車を高速で回す。



【カラ・カラ・カラ】



僕の前にナシアタ君が薪になりそうな小枝をぶちまけると、ガソリン携行缶の中に残っていたガソリンを垂らす。



【バシュ】・【ボッ】



ナシアタ君がガソリンが垂らされた薪に火の着いたマッチを投げ入れると薪がいきよいよく燃え始める。



「俺は、こいつをなおして来ます。

爆発でもしたら大変ですからね。」


「うん。有り難う。」


ガソリン携行缶を軽く叩きながら話すナシアタ君に僕は笑顔でお礼を言う。



■■■



「朝飯は、オジヤらしいですよ。」


ナシアタ君が、そう言いながら、僕の横に座る。



「胃に優しくて食べやすく、腹持ちも良いのは有り難いね。」


「ですね。

オマケに旨い。言う事なしですよ。」


ナシアタ君が笑いながら話す。



「この状況……今後も暫く続くと思います?」


「ニンムシュが、タカシュンレイ家の領地の中のシオスの港町を優遇している以上、


地政学的な観点から言えば、

バクワタ家とアタラアミ家は、タカシュンレイ家と共にカクコシ連合を率いていた盟主として、徹底的にタカシュンレイ家の領地を蹂躙せざるを得ないだろうね。


何故なら、半島国家であるカクコシ連合の大陸側の玄関口がタカシュンレイ家の領地であり、

ニンムシュを諌める為の交渉材料にしたい、海路を押さえている優位性も、

タカシュンレイ家の領地の中で唯一、海路での大きな貿易が出来るシオスの港町だけは無傷で残されているので意味を成さない。


そんな状況で、ニンムシュを怒らせて、バクワタ家とアタラアミ家の持っている大規模な海上貿易が可能な港町をタカシュンレイ家の領都のように破壊されれば外界から孤立する事になる。


そうなれば、ニンムシュが直接、手を下さなくても、バクワタ家とアタラアミ家の力は徐々に落ち、

その内、国家を担えるような力を失い、よくて地方領主。下手をすれば、それ以下になるだろうね。


その後、ニンムシュによって息の根を止められるのか、力を失った事で民達に反旗を翻されて息の根を止められるかは分からないけど……


そうならない為には、繰り返しにはなるけれど、

バクワタ家とアタラアミ家は、タカシュンレイ家と共にカクコシ連合を率いていた盟主として、徹底的にタカシュンレイ家の領地を蹂躙せざるを得ないだろうね。


それは、つまり……

この状況が悪化する事はあっても、直ぐさま鎮静化する事は無い。って事だよ。



まぁ……これは、あくまで僕の予想だから、実際のところ、どうなるかは分からないけどね。」


僕はナシアタ君に私見を話す。



「成る程。


実際のところ、どうなるかは分かりませんが話の筋は通ってますね。


エンクルさんが、この騒動を止めたい立場ならば……どうされます?」


「そうだねぇ……


キトナガエ帝国のウミシシさんやフミナリさんのご実家なんかは、反ニンムシュ派と呼ばれているらしいけど、ニンムシュは手を出す事を控えているらしいじゃん。


そんな感じで、ニンムシュが手を出す事を控えざる得ない反ニンムシュ派の人物で、

かつ、国境や領境を交えているベシアセ連邦や、ネギハタ高原国。バクワタ家やアタラアミ家。ギルドのテチス山脈支店や、アマズトモエ連邦。キトナガエ帝国内の反ニンムシュ派などと太いパイプを持っている。


そんでもって、ニンムシュがタカシュンレイ家の領地を蹂躙する事に否定的で、

更に、シオスの港町の領主に就任した場合、ニンムシュが異を唱え辛らそう人物を必死で探すかな。


何故なら、その人物は、キトナガエ帝国の親ニンムシュ派を周辺諸国との貿易網から外せるだけの力を持つ者だからだ。


だから、ニンムシュも、その人物の意向を汲んで、タカシュンレイ家の領地からキトナガエ帝国軍を早期に引き上げさせざる得なくなると思うんだ。」



「成る程な。

色々と不思議やった事がスッキリしたわ。」


レイヒちゃんが話しかけてくる。



「何がスッキリしたんだ?」


「朝御飯を食べながら話すわ。」


「そうか。」


レイヒちゃんの言葉にナシアタ君が頷く。



「ワンゾウ。朝ご飯が出来たで。

運動は、そろそろ終わりに出来はるか?」


「うむ。」


ワンゾウはレイヒちゃんに短い返答を返すと、回し車から降りてきた。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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