虫対策と霊道がパンクした理由の調査報告
「おはようさん。」
時刻は4時。
レイヒちゃんが、バンクベッドから降りて来た。
因みに、ダイネットはベッドモードにはしていない。
バンクベッドに居る3人と比べるのはおこがましが、僕と嫁。シャーコも元気いっぱい。って訳では無いので、夜番の途中で寝てしまう恐れがあったからだ。
「まだ、朝日は昇ってないよ。
もう少し寝てたほうが良いんじゃない?」
「大丈夫や。
グスッリ寝かせて貰うたさかい元気いっぱいや。」
レイヒちゃんは、そう言いながら、嫁の隣の席に座ると、ノートパソコンを弄り始めた。
「もう仕事を始めるの?」
携帯電話で、僕達の世界のYou○uberや、Ti○ ○okを見ながら時間を潰していた嫁が、目を丸くしながら話す。
まぁ……時間の潰し方としては、僕も人の事は言えない。
レイヒちゃんが、携帯電話にダウンロードしてくれたゲームを、ずっとしていただけだから。
「この辺りの霊道が、なんでパンクしてはるんかが気になってしゃあないからな。」
レイヒちゃんは、そう言いながらノートパソコンのきーほを叩き始めた。
■■■
「おはようございます。」
時刻は5時。
ナシアタ君も、バンクベッドから降りて来た。
「おはよう。
まだ、寝てても良いんだよ。」
「大丈夫です。
たっぷりと寝かして貰いましたから。」
ナシアタ君が笑顔で嫁に返答を返す。
「てか、お前、もう起きてたのか?」
「この辺りの霊道が、なんでパンクしてはるんか気になって、気になって……気がついたら4時に目が覚めてたわ。」
「そっか。
寝れてたんなら良いや。」
ナシアタ君が、冷蔵庫の中を漁りながら、ぶっきらぼうに答える。
これが……噂に聞くツンデレ。ってやつなんだろうか。
窓の外を見ると、まだ、焚き火の火があちこちで見える。
夜明け前だというのに、全く、油断は無いようだ。
「アタイは、仮眠を取るにゃ。」
シャーコが、そう言うとバンクベッドに上がる。
同じ空間とはいえ、一人でバンクベッドで眠る、ムンナちゃんが気になるのだろう。
「問題は無かったですか?」
「うん。
平和な夜だったよ。」
僕は、隣の席に腰掛けながら話しかけてきたナシアタ君に返答を返す。
◇◇◇
「そう言えばさぁ……
レイヒちゃんや、ナシアタ君の家には電撃殺虫ラケットはあったりした?」
「薮から棒に、どないしはったんや?」
レイヒちゃんが、ノートパソコンのキーボードを叩く手を止めて小首を傾げながら聞いてきた。
「アズマトモエの大森林地帯は、ここと違って、それなりに温かいんでしょう?
ならば……それなりの数の虫が居ると思うんだよね……
でっ。虫が怖くて、
攻撃的な異能や魔法。魔術なんかが使えない、ナブサモちゃんに、遠距離攻撃用に殺虫剤を持たすだけだと不十分な気がしてきたんだよね。
それで虫と近接戦が出来る電撃殺虫ラケットを持たせてあげたい。って思ったんだよ。」
「父方と母方の実家を再現した異空間ハウスを展開して貰えれば、5~6個、手に入るんじゃないですかね。
俺も欲しいですし……
どうせなら根こそぎ持って来ましょうか。」
「『異空間ハウス 展開』×3
ナシアタ君のお爺さん達の家の異空間ハウスを展開した。
直ぐに宜しく。
わたしのお母さんの家も異空間ハウスで再現したから、蚊取り線香を取ってくる。
今の話を聞く限り……殺虫剤や電池式の虫除けだけでは不十分そうだから……」
僕とナシアタ君のやり取りを聞いていた嫁が真剣な顔で話す。
「虫対策は、皆に任せるわ。
ウチは、引き続き、霊道がパンクした理由を調べとくわ。」
「任された。」
レイヒちゃんと嫁が拳を合わせている。
■■■
「すまぬ。寝過ごした。」
時刻は7時。
ムンナちゃんが恐縮した顔をしながらキャンピングカーの扉を開いて、外に出てきた。
【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】
【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】
【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】
【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】
【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】
【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】
【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】
【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】
【ガラ・ガラ・ガラ】・【ガラ・ガラ・ガラ】
ワンゾウが、木製の巨大な回し車の中を軽快に走り続けている。
「まだ、出発する訳でもないし、全然、問題無いよ。」
「ですね。
そうだ、これをあげよう。」
左手にガソリン携行缶を持ち、右手に電撃殺虫ラケットを持った、ナシアタ君が笑顔で会話に加わってくる。
「それは……なんじゃ?」
「ここのスイッチを押すと、この網の部分に電流……微弱な雷みたいなのが流れるんだよ。
でっ、その状態でアブやハチなどの虫を叩けば、簡単に殺す事が出来る道具なんだよ。」
「虫?
この寒空に居ないと思うがのう……」
ムンナちゃんが小首を傾げながらナシアタ君に質問をする。
「アズマトモエの大森林地帯に入れば出てくるだろ?
それまでに慣れておいた方が良いだろ。」
「成るほどのう……
結界の魔術で囲って潰すよりも遙かに楽が出来そうじゃ。
感謝するぞ。」
ムンナちゃんが満面の笑みを浮かべながら、電撃殺虫ラケットをナシアタ君から受け取った。
■■■
『出ますよ。』
時刻は7時30分。
ナシアタ君の声が携帯電話から聞こえてくると同時にキャンピングカーが、ゆっくりと動き始めた。
『せや。
木こりさん達の通信機器に入ってたメールを盗み見したら、霊道がパンクした理由が分かったわ。
カクコシ連合人のタカシュンレイ・コンファンっていう偉そうな女がおったやろ?
でっ。その女の発言をウミシシさん達が問題視して捕まえはったやん。
でな。
彼女の問題発言が発端で、
彼女のご実家が治めてはる領地を、ニンムシュの命令でキトナガエ帝国軍や、カクコシ連合の他の貴族達の私兵達が攻め入って、
彼女のご実家の領地に住んではる人達を虐殺しまくってはるんが原因みたいやね。
特に酷かった。って言われてはるんが、
ニンムシュがキトナガエ帝国の帝都や東都などとワームホールを繋ぎはって、直々に攻め込みはった、タカシュンレイ家の領都と呼ばれてはる町でな。
なんと、その町の町民が皆殺しにされはったらしいわ。』
レイヒちゃんの淡々と話す声が携帯電話から聞こえてくる。
「やりすぎじゃね?」
嫁が眉をひそめながら話す。
『ウチも、そう思うわ。
因みに、皆殺しされはった住民達の財産は、全てニンムシュの元に集められてはるらしいわ。
そんでもって、ニンムシュは、その金を、キトナガエ帝国の西部で起こってはったモンスター氾濫の被害の復興の為の資金として利用しはる。って、堂々と宣言してはるらしいわ。
でな。
もし、ギルドのテチス山脈支店に所属してはる、木こりさんや、護衛の冒険者。伐採しはった木材を運びはる運び屋さん達に、この件について、ギルドのネギハタ高原国支店の見解を聞かれたら、
この件について、やりすぎや。ちゅう声明を出すか否かについて、ネギハタ高原国政府と打ち合わせ中や。って、答えろ。ちゅう指示が出てはったわ。』
レイヒちゃんの淡々とした口調で話す声が携帯電話から聞こえてくる。
評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。
頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。
宜しくお願いします。




