【サイドストーリー】滅び(後編)
「確かに、ギルド本部から出された、
『女性の発言を軽くみるという、女性蔑視な発言を堂々とする、タカシュンレイ家とは、 『性別・年齢・種族・身分を問わず、 平等に権利を与え、平等に責任を求める。』 という理念を掲げる我々(ギルド)とは共存が出来ない事が分かった。
タカシュンレイ家の領内にある、全ての支店・営業所・出張所を引き上げる。
また、タカシュンレイ家と共に、カクコシ連合国の盟主であるバクワタ家・アタラアミ家が、この決定に異を唱えるのであれば、
カクコシ連合国の領内にある、全ての支店・営業所・出張所を引きげる。』
という内容の声明に対して、ニンムシュ様が間に入ってくれるだろうと考え、
我が領都(タカシュンレイ家の領都)のキトナガエ大使館長のイワツギの諫言を無視して放置していた事は認める。
だが……
ニンムシュ様が出された、
『タカシュンレイ・コンファンの問題発言に対するタカシュンレイ家の対応は、
この地域を統べる自分が、女である事が気に食わない、タカシュンレイ家が、自分の名声を地に落とそうと考えた結果であると断定し、
この地域の盟主であるキトナガエ帝国と共にタカシュンレイ家へ報復する。
更に、バクワタ家・アタラアミ家が、この決定に異を唱えるのであれば、カクコシ連合国に対して報復をする。』
という内容の声明は、出されてから1時間も経ってない。
しかも……声明を出されたのは、こちらの時間で真夜中だ。
それに……
バクワタ家もアタラアミ家も、これらの声明への返答を返してない。
そんな中で、このような仕打ち……」
旦那は、最後まで話をせずに固まってしまった。
ギルドのタカシュンレイ領の領都の営業所の副ギルドマスターが鬼のような形相で、旦那を睨みつけたからだ。
「おい。
親父への無礼は許さんぞ。」
執事のザツと護衛のウオと共に、
私達の後ろに控えてくれていた、長男のホロボウが、タカシュンレイ領の領都の営業所の副ギルドマスターを睨み返す。
◇◇◇
【メキ・メキ・ゴキ・ゴキ・バキ】
【メキ・メキ・ゴキ・ゴキ・バキ】
【メキ・メキ・ゴキ・ゴキ・バキ】
「『痛覚麻痺』×5
失礼。
副ギルドマスター(デコイゾウ)に気を取られすぎです。
ここで議論をしていても始まらないので、黙らせて貰いました。」
タカシュンレイ領の領都の営業所のギルドマスターが笑顔で話す。
手と膝が念力で潰され、顎と肩の関節が念力で外された。
痛みこそ無いが……
話す事も、動く事も出来ない。
【コンコンコン】
【ガチャン】
「職員の家族を含めて退避の準備が整いました!
後は、我々が地下闘技場に到着次第、
オピオタウロスの荷車のトラポ様がシオスの港町のギルドの営業所の広場に繋がるワームホールを繫いで下さるとの事です。」
タカシュンレイ領の領都の営業所の受付嬢の一人がノックへの返答も聞かずに執務室の扉を開くと、それだけを言い残して、走り去っていった。
「我々は、ギルド本部の指示により、この町から出て行かせて頂きます。
では、ご機嫌よう。」
タカシュンレイ領の領都の営業所のギルドマスターが立ち上がって笑顔で会釈すると、副ギルドマスターと共に、私達を執務室に残して去って行く。
今にして思えば、
ニンムシュ様と距離を置こうと言った、バツカク家の現当主で、かつては親友でもあった、メマの判断は正しかった気がする。
そして、今は、
バツカク家の追放を決定した、旦那の反対を押しきって、婚約者だったメマの息子のソサカの元に嫁ぎ、
我が家(タカシュンレイ家)から、ギルドを通して絶縁宣言を出されている、
長女のザンルにまで、今回の騒動の悪影響が出ない事を祈るばかりだ。
【ツゥゥゥー】
太股に生暖かい感触がする。
どうやら私は、無意識の内に失禁してしまっていたらしい。
ーーーーーーー
「やはり、ニンムシュは糞だな。
まさか……ここまでするとは思ってもなかった。」
タカシュンレイ領の領都の営業所のギルドマスターからの報告書を読んだ旦那が呟いた。
「親友のチョヤンは別として……
ナキコクやホロボウが自分達の失敗を認め、民と共に滅ぶ事を受け入れて、
ギルドのタカシュンレイ領の領都の営業所に自らの意思で残ったとか……
あり得ない気がするんだけどねぇ……」
「おい。母さん。」
お義母様の言葉を聞いた、旦那が、お義母様を睨み付ける。
「あんたも、心の中では、そう思ってるんじゃないのかい?
アタシの中で、ザンルは、ナキコクとチョヤンの娘ではない。アタシの娘なんだよ。
だから、遠慮も配慮もするつもりはないよ。」
お義母様が、そう言いながら、カラカラと笑う。
「それにしても……
ベシアセ連邦が表の庇護者で、【拝金騎士団】とナヤクラース連邦が裏の庇護者。そんでもって【ギルド本部】が陰の庇護者となるから、シオスの港町にバツカツ公国を建国してくれ。
って、リクルル様に言われた時は、彼の正気を疑ってしまったけど……
こうなる事も折り込み済みだったのかしらねぇ……」
お義母様が、そう言いながら苦笑いされている。
「かもな。
彼等の情報網は我々とは比べ物にならないもんな。」
旦那が、お義母様の言葉に頷く。
「よし。
ソサカ。良い機会だ。家督を譲ろう。
アタシは上王として、ザンルと共に、あんたを支えるよ。」
「分かった。
でっ。シオスの港町以外のタカシュンレイ家の領土を切り取るべきだと思うか?」
家督を継いだ端から、旦那は、お義母様にアドバイスを求める。
「リクルル様の意向を確認する必要はあると思うが……
アタシとしては、民が求めるのならば領民に加える。というスタンスで良いと思う。
建国した先から、不必要にニンムシュが敵と見なした地域に干渉する必要もないからね。」
お義母様は、淡々とした口調で話す。
「リクルル様の意向ねぇ……
一国一城の主には程遠い考えだな。」
「仕方がないだろ。
身の程を弁えなきゃ、生きて行けない時代なんだよ。」
旦那の言葉を聞いた、お義母様が苦笑いされながら話す。
「それは、そうなんだが……
タカシュンレイ家はザンルの実家だ。
慰霊碑ぐらいは建ててやりたいし、生き残ってる民が居れば庇護下に置いてやりたいだろ。」
「私は、身も心もバツカク家の人間。
だから、バツカク家の安全を最優先に考えて。」
私は、旦那の言葉に嘘偽りの無い返答を返す。
お母様は、まだ、まっしではあったが……
他の実家の家族とは、全くと言って良い程、反りが合わなかった。
そんな私にとって、真に家族と言えるのはバツカク家だ。
だから、私はバツカク家の安全を最優先に考えたい。
「分かった。」
旦那が静かに頷く。
私の言葉に嘘偽りが無い事を察してくれたのだろう。
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