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ヤドカリ姫は異世界の扉をひっそりと開ける  作者: モパ
【第2章】モンスター氾濫と紛争
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【サイドストーリー】滅びへの第一歩(前編)

「糞。糞。糞。


ネギハタ高原国のクズどもめ、

ギルドを通して我が(タカシュンレイ・コンファン)の恥を世間様に晒すような事をしなくてもよかろうに。


貴様達も……そう思うだろ?」


タカシュンレイ家のご当主様である、ナキコク様が顔を真っ赤にして話される。



俺は、今、

カクコシ連合国にある我が国(キトナガエ帝国)の3つある大使館の中の、タカシュンレイ家を担当する大使館に勤めている俺が、

上司でもある大使のイツワギ様とともに、

タカシュンレイ家のご当主様である、ナキコク様の館に呼び出され、

イワツギ様と共に、彼のやかたの執務室に通されたのだが……


あろう事か、彼は、

我が国(キトナガ帝国)に対して、ご息女様タカシュンレイ・コンファンの失言を詫びるのではなく、

ネギハタ高原国の至極真っ当な対応への愚痴をこぼし始めた。



「これは、その……あくまでも私の私見ですが……


ネギハタ高原国もミンボン山脈の樹海で木材の伐採等の目途が経たず、お金に困っているのでしょう。


それにも関わらず、

今後の付き合い考えて、街道の途中で崖崩れが起こったギルドのテチス山脈支店への食料援助を行なっているようです。


加えて、今後の付き合いを考えると……

モンスター氾濫が起こったキトナガエ帝国の西部への支援も行わざる得ないでしょう。



そこで、当事者の一人となってしまったオビ家は別として……


ネギハタ高原国が、このタイミングで、今回のご息女様タカシュンレイ・コンファンの、あり得ない失言を世間に広められたのは、

息女様タカシュンレイ・コンファンの失言に対する詫び料という名目で、金の無い者達と徒党を組んで、タカシュンレイ家へたかる事が出来るようにする為の下地を作られた。


そんな気がしなくもでもないですね。」


イツワギ様が淡々とした口調で話される。



「何故、そう思う?」


「今回、オビ家は、

オビ・ハリトブの婚約者の暴走を止められなかった事を踏まえ、

再発防止策として、オビ家 及び 西都で要職に就く者の家族を雑食道造り飛蝗が引き起こす蝗害で何らかの大きな被害をうけかねない、ネギハタ高原国・ミンボン連邦・ベシアセ連邦・ツクソノ山脈連邦・ギルドが納めるテチス山脈から人質を求められたら人質を差し出す。

また、全ての国々に人質が行き渡るよう、オビ家 及び 西都で要職に就く者とで調整すると共に、人質として出されている者の情報を、ギルドを通して、常に公開し続ける。


という声明を出しました。


これは……

息女様タカシュンレイ・コンファンが、その妄言を実行に移してしまった場合に被害が出るであろう地域を具体的に示された事を意味します。



そして、ネギハタ高原国は、

キトナガエ帝国の西都の領主の息子オビ・ハリトブは、婚約者であるカクコシ連合国人のタカシュンレイ・コンファン殿の身を案じ、周辺国の中で、モンスター氾濫が起こる可能性が低く、治安も良い、我が国(ネギタハ高原国)へ、ミンボン山脈の樹海の異変を伝えに行く為に派遣した、キトナガエ帝国軍ミンボンの大湖の守備隊の第2伝令部隊を同行させただけで、

自身はキトナガエ帝国軍ミンボンの大湖の守備隊の本隊と共に現地に残り、ニンムシュ様から与えれた役割を果たしていたという事実があった事や、


たった今、起こったというキトナガエ帝国の西部で起こったモンスター氾濫への対処。ならびに被害からの復興には、オビ家の力が必要不可欠だ。


それらの理由により、ネギハタ高原国は、今回のタカシュンレイ・コンファン殿の失言に対して、オビ家への責任を追及する事は無い。という声明を出されました。


状況が状況である為、オビ家は、この声明に対する返信は行っておりませんが、

ギルドのテチス山脈支店とミンボン連邦が、この声明を支持するという声明を出されました。


今後、ベシアセ連邦やツクソノ山脈連邦も、このネギハタ高原国の声明を支持するようであれば……

常々、我が国(キトナガエ帝国)と共に、自分を支えてくれている貴殿達に感謝している。仰られておられるニンムシュ様も、今回の失言の内容と現状を考えますと、

失言をされたご息女様タカシュンレイ・コンファンだけでなく、下手をしたらタカシュンレイ家自体も庇いきれなくなるでしょう。


ですから、タカシュンレイ家が助かる為には、

そうなる前にミンボン山脈の樹海の周辺の国々や、ギルドのテチス山脈支店への支援を無償で行う代わりに、ご息女様タカシュンレイ・コンファンの失言を許して欲しい。という声明を速やかに出し、その声明の内容を速やかに履行せざる得ない。


私には、そのように仕向けておられる気がします。」


前のめりで、ご質問をされるナキコク様に対して、イツワギ様が淡々とした口調で私見を述べられる。



「不適切な発言をした我が(タカシュンレイ・コンファン)に関しては、

ネギハタ高原国から我が(タカシュンレイ・コンファン)を引き渡して貰い次第、幽閉する。


その上で、今回は、具体的な被害が出ていない為、我が(タカシュンレイ・コンファン)の失言に対する賠償金は払わないが、

モンスター氾濫が起こったキトナガエ帝国の西部や、街道の途中で崖崩れが起こったギルドのテチス山脈支店等へは、幾ばくかの見舞金を送らせて貰う。という声明を出そう。


とはいえ……それだけでは腹の虫が収まらない。


無知な少女の戯れ言を真に受けるような発言をする、ネギタハ高原国や、その発言に対して大真面目に返答をするオビ家やギルドのテチス山脈支店に対して、理性的な判断を求める。という声明も併せて出すとするか。」


「最終的なご判断は、ナキコク様に委ねますが……


私としては、ご息女様(タカシュンレイ・コンファン)の失言に関しては平身低頭、謝罪をされた上で、


バクワタ家とアタラアミ家にも金を積み、

無知な少女の戯れ言を真に受けるような発言をする、ネギタハ高原国や、その発言に対して大真面目に返答をするオビ家やギルドのテチス山脈支店に対して、理性的な判断を求める。という声明に関しては、

ナキコク様からではなく、バクワタ家とアタラアミ家から出して頂いた方が良いかと思いますよ。


それに……私が先程、話させて頂いたお話は……あくまでも本音の推測。


確証は有りませんし、

相手方が、それを隠すような建前を持たれていた場合……


暗に金をたかる為にイチャモンを付けて来てるのだろ?

というような声明を出されるのは悪手だと思いますよ。」


ナキコク様の発言を聞かれた、イツワギ様が淡々とした口調で話される。



「ふん。


お前の推測が正しければ、

今回は、我が(タカシュンレイ・コンファン)をくれてやる予定のオビ家までもが、タカシュンレイ家へ(たか)ろうとしているんだよな?


そんな状況で、平身低頭、謝罪をした上で、バクワタ家やアタラアミ家から助け船を出して貰う?


そんな事をしたら、カクコシ連合国内でのタカシュンレイ家の格は地に落ちる。


下手をすれば、バクワタ家やアタラアミ家は、この一件を騒ぎ立て、3大盟主の座から引きずり降ろし、カクコシ連合国の数ある諸侯の1つに格下げしようとするだろう。


そんな事は、絶対にあってはならない事だ。」


「分かりました。


私としては、ナキコク殿のご決断に賛同しかねますが……


私は他国の人間。

これ以上の口出しは致しません。」


ナキコク様のお言葉を聞かれた、イツワギ様が淡々とした口調で答えられる。



■■■



「たった、今、ギルドのタカシュンレイ領 営業所から発信されたナキコク様の声明を受け取ったのですが……


ナキコク様が、先程の我々との会談で話されていた内容で声明を出されましたね。」


俺はイツワギ様に報告を入れる。



ナキコク様の館から、我が国(キトナガエ帝国)の大使館の執務室に戻ってから2時間ぐらいが経過しただろうか。


ナキコク様は、イツワギ様のお言葉を無視されたようだ。



「平時から、妻のハシュンガが気に食わない事があれば、子供達や配下の者達を連れて実家に帰省する我が儘な悪妻を演じてくれていた甲斐もあったという事ですね。」


「ですね。


今回のコンファン嬢の失言にはニンムシュ様も激怒されておられると聞いております。


ナキコク様は、こんな状況にも関わらず、ミンボン山脈の樹海周辺の国々の感情を逆撫でするようなご発言をされたのですから……

ニンムシュ様が、その事を理由にタカシュンレイ家を滅ぼす。と仰られられる可能性が高いかと思われます。


今回のナキコク様の行動を事前に予想し、

私の子供達まで、ハシュンガ様の祖国(キトナガエ帝国)への帰省という建前で、タカシュンレイ領の領都から連れて出して頂いた事には感謝してもしきれませんよ。」


俺はイツワギ様のお言葉に返答を返す。



今、この大使館に居るのは、


イツワギ様と、秘書の(ムアラタ)

Aランクのノミダ傭兵団の主計者の経歴を持つ、俺の妻で財務官補佐のオタツ。

護衛隊の中で一番の腕っぷしを持つトウザム。

キッチンメイドに偽装している我が国(キドナガエ帝国)の諜報部との連絡員のヘキコ。

ヘキコの部下で料理人に偽装しているモクオ。

この大使館で一番の手練れでもある元Aランクの冒険者である庭師のブモウ。

それと……戦闘メイドのオウキレとベニキレの姉妹。


たった、これだけの人数だ。


だが……

俺以外の8人は、どんな状況に陥っても、自分の身を自分で守れるであろう猛者ばかりだ。



「そう言って貰えると私と一緒に死地に残って貰った事への罪悪感が薄まりますね。


とはいえ……むざむざと死ぬつもりもありません。


祖国(キトナガエ帝国)からの撤退命令や、ニンムシュ様の出される声明を注意深く確認しながら、逃げ時を逃さないようにしないといけませんね。


君が使役している4匹の集合リスにも期待させて貰いますよ。」


「ご期待に添えるよう最善を尽くさせて頂きます。」


俺はイツワギ様のお言葉に頷く。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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