【サイドストーリー】モンスター氾濫④
【カン・カン・カン】・【カン・カン・カン】
【カン・カン・カン】・【カン・カン・カン】
【カン・カン・カン】・【カン・カン・カン】
【カン・カン・カン】・【カン・カン・カン】
【カン・カン・カン】・【カン・カン・カン】
【カン・カン・カン】・【カン・カン・カン】
【カン・カン・カン】・【カン・カン・カン】
【カン・カン・カン】・【カン・カン・カン】
【カン・カン・カン】・【カン・カン・カン】
ムゴベ村に非常事態に鳴らされる鐘の音が響き渡る。
この村を含めた、西都と傘下の村々で定期的に行われる避難訓練以外で、この鐘の音を聞いたのは……生まれて初めての経験だ。
【パァァァーン】・【パァァァーン】
【パァァァーン】・【パァァァーン】
【パァァァーン】・【パァァァーン】
【パァァァーン】・【パァァァーン】
【パァァァーン】・【パァァァーン】
【パァァァーン】・【パァァァーン】
【パァァァーン】・【パァァァーン】
【パァァァーン】・【パァァァーン】
【パァァァーン】・【パァァァーン】
モンスター氾濫が起こった時に上げる色の信号弾が、大量に空へと打ち上げられた。
これも……避難訓練以外では見たことの無い光景だ。
「貴方……」
俺の隣のベッドで5歳の娘のエキムと寝ていた妻が俺を見る。
因みに、エキムは妻にしがみ付いて震えている。
ムコベ村の村長からは、
オビ家と、その傘下の領主様以外の領主様が治められている領地に拠点を持つ者は、モンスター氾濫への対応に協力するか否かは自由だと言われている。
そして、俺達が拠点とするタンウツ男爵領の領都を治められているタンウツ男爵様は、オビ家の傘下のお貴族様ではない。
しかも、俺達は小さな子供を連れている。
なので、ここで逃げても文句を言われる事はないだろうが……
この村の連中が、俺達に対して、心情的なしこりを残す可能は十分に考えられる。
それに……既にモンスター氾濫が起こっているのであれば、村の外に出るのも、それはそれでリスクがある。
何故ならば、モンスターの群れと遭遇する可能性が無いとは言えないからだ。
「移動ルートの指示をくれたら、親父が寝ている間は、俺が運転をしてやるぞ。」
話かけて来たのは俺が寝ている二段ベッドの上の階で寝ていた成人したばかり(15歳になったばかり)の息子のエキタツだ。
本格的な仕事を仕込むのは、成人(15歳)した後にするつもりであったのだが……
本人の希望もあって、トラックの運転は13歳の頃から教え始めていた。
その甲斐があったのか、
事前に目的地やルートを決めてやりさえすれば、
夜間も含めて、1人で運転を任せる事が出来るレベルにまで仕込めている。
妻は【魔術師】のジョブ補正を受けているAランクの冒険者。
俺はBランクの【行商人】のジョブ補正を受けて、運転だけでなくルートの選定にも自信がある。
妻が使役している魔犬のポチオと魔猫のオタマは、一般的な魔犬や魔猫よりも索敵能力に優れているアタリの個体。
そして、息子のエキタツは、成人した時に冒険者系の最高のジョブ補正である【踏破者】のジョブ補正を受けられる事になった。
本人は、商人系のジョブ補正が良かったらしいのだが……こればかりは、どうしようもない。
一応、本人には、
一族の掟に縛られず、冒険者になっても良し、
商人系のジョブ補正を受けている女を嫁に貰い、その娘を商会長とし、自身はオーナー 兼 商会長付きの護衛になるのも良し。とは言っているのだが……
って……いかん。いかん。
この戦力で、俺達の拠点に戻れそうか?っていうシミュレーションをしようとしていた筈なのに……
頭の中が、とっちらかってきたわ。
【コン・コン・コン】
部屋をノックする音が聞こえる。
■■■
「タツム。エキメ。
頼んだぞ。」
「おう。」・「お任せくださいな。」
俺と妻は村長の息子のイチゾウに返答を返する。
宿屋で、俺達の泊まる部屋を訪れたのは、俺と同じ年で、独身時代からの悪友の1人でもあるイチゾウだった。
彼が訪れた理由は、
この村の妊婦2名と、生まれ立ての子を持つ母と子供の6名。産婆2名と、
亡くなった親友の忘れ形見で、2年前から、この村のギルドで職員をしているジュコ。
計11名を避難所が儲けられているというソヒラキ村まで移送するという依頼だった。
因みに、この村の老人と子供達は、村長を代表にした数名の大人達と共にソヒラキ村に儲けられているという避難所へ向けて既に出発しているらしい。
そして、乳幼児やその母親。妊婦が避難していなかったのは、極力、長旅をさせたくなかったかららしい。
なので、実際にモンスター氾濫が起こるまでは村の中に残す事にしていたらしいのだが……
イチゾウは、判断ミスだったと頭を掻いていた。
ーーーーーー
「なぁ……
お前もコンテナの中に入っとけよ。」
「えぇー。嫌。
タツムさん。エキメさんだけでなく、エキムちゃんからも許可を貰ってる。」
ジュコが頬を膨らませながら返答を返してくる。
「何でオヤジ達はオッケーを出したんだよ。
危ないし……昼間とはいえクソ寒いのに……」
俺はため息を付く。
俺ん家のトラックは、
6名が乗れるキャビンと野営用の道具や食料品。簡単な修理道具や衣服や私物等が積まれた6メートルの住居区間。
トレーラーが積まれた3メートルのコンテナが積まれた荷室。
そして、屋根も壁も無い、1メートルのフリースペース。となっている。
普段、ここに居るのは専用の犬小屋に入った魔犬のポチオだが、今は、ドライバーのオヤジを手伝う為にキャビンに居る。
オフクロと妹と魔猫のオタマはコンテナの中で妊婦さん達の護衛と補助だ。
まぁ……妹に関しては建前上で、
実際は護衛されながらお世話をされている側なんだけどな。
でっ。俺の隣には、
オヤジとオフクロから、後方の見張りを仰せつかった俺のサポートを申し出たジュコが居る。
防水仕様の毛布は1枚しかない為、ジュコと一緒に包まっている状況だ。
ギルドの受付嬢は、容姿端麗だと言われている。
その例に漏れず、俺の隣に居る6歳、年上のギルドの受付嬢様も……
認めるのは悔しいが、見た目だけは美女である。
しかも……ムカつく事に、甘くて良い匂いまでさせてやがる。
こんなの……拷問以外の何物でもないだろ。
「ねぇ。あんたさぁ……
恋人とか許嫁とか嫁とか居る?」
「どれも居ねぇよ。」
「そっ。
アタシも……2年前に、エキヤク貿易商会の本店を辞めて、こっちに来てからというもの、ず~と日照りが続いてるよ。
てな訳でさぁ……
お互い気を使う相手もいない同士だみたいだし、もちっとだけ、くっつかせて貰うぞ。
寒くてたまらないんだよ。」
そう言いながらジュコが俺の肩に首を乗せて来た。
更に俺の集中力が……
「おやおや。
アタシなんかで興奮するなんて……困った子だね。
よしよし。今から賢者様にしてやろう。」
「はう。」
「シー。静かに。
って……あんた……サイズといい、固さといい、滅茶苦茶、アタシ好みの物を持ってんじゃん。
あんたをスキッリさせた後、アタシも……オ○○しよ。」
思わず声が出た俺の耳元でジュコが囁くように話す。
■■■
「ゴメンよ。
結局、アタシの方が我慢が出来ずに、服を着たまま、対面座位で食べちゃったわ。
まぁ……責任を取れ。とか言わないから安心して。」
ジュコが、そう言いながら妖艶な笑みを浮かべている。
「いやいやいや。
寧ろ……責任を取らせてくれ。」
「あらま。
行き遅れに両足を突っ込みかけている女を口説くとか……
勢いに任せた事を言うんじゃないよ。」
俺の返答を聞いたジュコが、そう言いながらカラカラと大笑いしている。
「勢いで言ってるんじゃねぇよ。
商人の一族の者として落伍者の俺が、一族の者の1人として生きていく為に、優秀な商人を嫁に貰うという打算もあるぞ。」
「ブフッ。
プロポーズ的な言葉としては不適切、極まりない内容だけど……まぁ……良いわ。
でっ。打算も。って事だけど……打算以外にも何かあるのかな?」
ジュコがニヤニヤしながら俺を見る。
「あらまぁ……顔が真っ赤だぞ。
まだまだ、休憩時間までには時間があるし……
2回戦を始めますかね。」
ジュコが、そう言いながら俺の口の中に舌をねじ込んでくる。
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