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ヤドカリ姫は異世界の扉をひっそりと開ける  作者: モパ
【第2章】モンスター氾濫と紛争
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【サイドストーリー】最悪の状況の一歩前(後編)

「急に呼び出して悪かったな。


グンフの調査団から外された事に堪えた第2近衛連隊の第20中隊の連中が、

グンヨにお願いをして、自分達を鍛え直す為にクビタゴ盆地へ演習をしに行った事になっておるのにも関わらず、

第2近衛連隊の第20中隊の鎧を着込んだ悪霊や、少数だがスケルトンやリッチなどのモンスターなどが、

ミンボン山脈の樹海の周辺の村々から、瘴気の靄もやの向こう側に居るのを見た。という報告が上がっておると宰相から聞いた。



そして、ギルドからの報告ではキツカン男爵が、ギルドの通信機器を使って、

第2近衛連隊の第20中隊の隊長のチョカ・ズクダニが自分の領地を通り、秘密裏にミンボン山脈の樹海へ行った事を内務局にリークしてきたとも聞いた。


因みに、キツカン男爵が言うには、

彼等を通してしまった理由は、ゼニシツ貿易商会とアンガイ商会と一緒に来たズグニダから、

自分達の行軍を見て見ぬフリをしなければ、キツカン男爵への融資を止める。って脅されたかららしい。



尚、この件について、別件で【ギルドの執行人】が、ゼニシツ貿易商会の商会長のゼニシツを捕まえておったようなので、この件についても尋問して貰う為に、【王家の暗器】のイラに尋問官の派遣を要請するとともに、アンガイ商会の商会長の捕縛を命じた。



それと……

この件について聞き取りをする為に、チョカ家の当主のビョファへ、召喚状を送る事が、先程、決定した。



以上だ。」


「あの……お父様(ネギハタ高原国王)……」


「以上だ。」


お父様(ネギハタ高原国王)は、氷のような冷たい目で私を見られておられる。



◇◇◇



【バタン】



お父様(ネギハタ高原国王)の執務室の扉が乱暴に開かれた。



「陛下!


大変でございます!


マキジコ・タツニゴが!って……失礼しました。」


「ノックぐらいしろ。

このバカたれが。」


大慌てで、お父様(ネギハタ高原国王)の執務室に駆け込んで来た、我が国の宰相。オユー・リキモチが、私を見ると言葉を飲み込んだ。



「良い。

このまま話せ。」


「ですが……」


「話せ。」


お父様(ネギハタ高原国王)は、私を見ながら話すのを躊躇するリキモチに対して、尚も話をされるように促される。



「仰せのままに。」


リキモチが溜息をつきながら、私を見ている。



◇◇◇



「マキジコ・タツニゴ殿は、

家族と、主だった従者と、従者のご家族様を連れてナヤクラース連邦に亡命を、ご希望なされておられるようなのです。


そして、ミンボン連邦政府と、

ミンボン山脈の樹海で最凶と呼ばれているチョニチ傭兵団の捕縛を手伝う事で、ナヤクラース連邦への亡命の手続きを行ういう密約も結んだらしいのです。


でっ。その約定により、チョニチ傭兵団の捕縛を手伝った際に、メスム・エハを見つけて、何故、チョニチ傭兵団と行動を共にしているか。という聞き取りをした際に、

第2近衛連隊の第20中隊が、グンフ殿下の調査団よりも優れた調査をミンボン山脈の樹海で行って鼻を明かす。


そして……

それが不可能な場合、グンフ殿下の調査団を殲滅して調査結果を奪い、彼等の功績にする為に、

秘密裏にミンボン山脈の樹海に向かったらしいのですが、その……


第2近衛連隊の第20中隊は、悪霊の襲撃にあって壊滅し、

メスム・エハ自身は、なんとか逃げ延びたらしいのですが、チョニチ傭兵団に捕まり、彼等の奴隷にされたらしいのです。



そして、マキジコ・タツニゴ殿から、

自分達に手を出さない事を条件に、彼女の身柄を引き渡すという交渉を持ちかけられました。


私は、陛下のご判断を仰がずに独断でマキジコ・タツニゴ殿の提案を受け入れ、メスム・エハの身柄をマキジコ・タツニゴ殿から貰い受ける事で話を進めさせて頂きました。


ですから、どうか、

私とマキジコ・タツニゴ殿との密約を、陛下に追認して頂きたいとお願いしたい次第でございます。」


「分かった。

お前と、マキジコ・タツニゴの密約を了承しよう。」


「有り難うございます。」


リキモチが、ホッとした顔をしながら、お父様(ネギハタ高原国王)に頭を下げる。



◇◇◇



「して、その後の対応は、どう考えておるんだ?」


「ギルドから【審議判定の魔道具】を借り受けられるように動いております。


メスム・エハの身柄をマキジコ・タツニゴ殿から引き渡して頂きましたら、


ギルドから借り受けた【審議判定の魔道具】を使って、

ミンボン山脈の樹海の中心部の大湖には立ち入って居ない事や、

グンヨ殿下が、必要とあらば、グンフ殿下の調査団の殺害計画を暗に指示したと誤解を受けるような事をされた事や、

陛下や、主立った王族。大臣や長官達などといった我が国(ネギハタ高原国)の重鎮達が集まる前で証言させるつもりです。」


「何故、メスム・エハに、ミンボン山脈の樹海の中心部の大湖には立ち入って居ない事を話させるのだ?


というか……

第2近衛連隊の第20中隊の連中が、ミンボン山脈の樹海の中心部の大湖には立ち入って居いない事が前提になっておるようだが、問題は無いのか?」


お父様(ネギハタ高原国王)が不思議そうな顔をされながら、リキモチに質問をされておられる。



◇◇◇



「ニンムシュ様やギルド本部は、

今回、ミンボン山脈の樹海で起こっている異常事態は、

ニンムシュ様がミンボン山脈の樹海の大湖を取り囲むように張られていた結界を、何者かが破り、ミンボン山脈の樹海の大湖の中に侵入したことが原因だと考えられておられるようです。


ただ、不思議な事に、

ミンボン山脈の樹海の大湖の中心にある小島に拠点を置き、

ニンムシュ様の命により、ミンボン山脈の樹海の大湖を守護しておられるキトナガエ帝国軍ミンボンの大湖の守備隊の者は、誰一人、侵入者を目撃しておりません。


その為、ニンムシュ様とギルド本部の重鎮の方々は調査チームを立ち上げる事にされたらしいのですが……


その一環として、ミンボン山脈の樹海の深淵部に居た。もしくは居た可能性のあるギルドの登録者には、ミンボン山脈の樹海の大湖に不法侵入をしていなかについて、【審議判定の魔道具】を使った、聞き取り調査を行っておられるらしいのです。



また、グンフ殿下の調査団。並びに、途中から彼等と同行された方々は、タカシュンレイ家からの言いがかりに備えて、

ミンボン山脈の樹海の大湖に不法侵入をしていない事を【審議判定の魔道具】を使って証明されております。


ですから、念の為、メスム・エハにも、

ミンボン山脈の樹海の大湖に不法侵入をしていない事を【審議判定の魔道具】を使って証明さようかと考えております。



因みに、第2近衛連隊の第20中隊の連中が、ミンボン山脈の樹海の大湖には立ち入って居いない事を前提に話を進めているのは、

マキジコ・タツニゴ殿が事前に、第2近衛連隊の第20中隊の連中と行動を共にされていた、マキジコ・レコマ殿から、彼等がミンボン山脈の樹海の大湖には立ち入って居ないという情報を得ているからです。」


お父様(ネギハタ高原国王)の質問に、リキモチが淡々と答える。



「そうか。

ならば、お前の思う通りにやれ。」


リキモチの話を聞かれた、お父様(ネギハタ高原国王)が笑顔で頷かれる。



◇◇◇



「して、グンヨ。

お前には、自室での待機を命ずる。


また、お前の使用人達にも、自宅待機を命ずる故、お前の身の回りの世話などについては、第1近衛連隊に所属する女騎士を交代で出すさせる」


「分かりました。」


私は、氷のような冷たい目で、私を見ながら話される、お父様(ネギハタ高原国王)に返答を返す。



どうやら、私とチョカ家が、お兄様(グンフ)達に悪事を働こうとした事がバレかけたようだが、

私は、お父様(ネギハタ高原国王)が、チョカ家の当主のビョファへ召喚状を送る前に、我々に不利益な情報を隠滅するようにビョファへ指示を出せている。


チョカ家は、ズクダニの事があるから、無傷とはいかないまでも、家が取り潰しに合う事はないだろう。



そして、私の予想通り、実行犯の第2近衛連隊の第20中隊は全滅したようだ。


これも問題無い。死人に口無しだからね。


寧ろ……メスム・エハが生き残り、リキモチに身柄を押さえられそうな事が不確定要素だ。


私の意に添えない結果しか出せなかった癖に、無駄に生き残ってるんじゃないわよ。



そんでもって、叔父様(マキジコ・タツニゴ)達は、そんな私達を見限ってナヤクラース連邦に亡命する。


これは……完全に想定外の出来事だ。


きっと、叔父様(マキジコ・タツニゴ)は、従姉妹のタゼヨ様や、彼女の妹分のデント・ウユチから、私の立場をマズくするような話を色々と聞いている筈だ。


この事について、考えるのはよそう。

頭が痛くて眠れなくなってしまうわ。



私は頭の中で素早く状況を纏めていく。


まだ、最悪の状況だとは言えないが……

お父様(ネギハタ高原国王)から、部屋に隔離されたのは痛い。


しかも、侍女やメイドの代わりをするのが、無能が多い第2近衛連隊の女騎士ではなく、優秀な第1近衛連隊の女騎士だというのも辛いところだ。


私の実力では、第1近衛連隊の女騎士の目を盗んで裏で動くのは難しいだろうからね。



数時間前は、いつか殺してやろう。と思うぐらい腹が立ったが……

夜明け前に私を叩き起こしてくれた、侍女のイレナの機転と行動力には感謝だわ。


彼女が、私を起こしてくれていなかったら……

我々に不利益な情報を隠滅するようにビョファへ指示を出せていなかったもんね。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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