【サイドストーリー】最悪の状況の一歩前(中編)
「こんにちは。」
ミンボン連邦の闇オークションの事務所の中に若い女の人が入って来た。
その後ろを真っ青な顔をしたマキジコ・タツニゴ様と彼の私兵が続く。
「誰ですか?」
ミンボン連邦の闇オークションの支配人が小首を傾げながら、若い女の人に質問をする。
「メスム・エハの身柄を貰い受けに来た者よ。」
「そうですか。
お引き取り下さい。」
ミンボン連邦の闇オークションの支配人が笑いながら話す。
彼の4人の護衛達とキュドンとウツメが、一斉にナイフを構える。
「『結界』×2・『誘電加熱』・×2」
【パン・パン・パン】・【パン・パン・パン】
【パン・パン・パン】・【パン・パン・パン】
【パン・パン・パン】・【パン・パン・パン】
ミンボン連邦の闇オークションの事務所の中に入って来た若い女の人が呪文のような物を唱えると、
キュドンとウツメの身体のあちこちの肉が内部から破裂した。
ただ、彼等の血や肉は周りに飛散しない。
どうやら、彼等の身体の周りを箱型の結界が覆っているようだ。
「異世界から来た最強の傭兵団の団長さんは、良い事を教えてくれたものよね。
アタシの異能【雷の操作】を使った攻撃方法に、こんなやり方があるなんて思ってもみなかったわ。」
ミンボン連邦の闇オークションの事務所の中に入って来た若い女の人が笑いながら話す。
「ねぇ。
出品者も亡くなられた事ですし、メスム・エハの身柄をくれないかしら。
あっ。心配しなくても、もうすぐ、アタシの仲間が、メスム・エハのご主人様も殺して差し上げ。って……終わったみたいね。」
ミンボン連邦の闇オークションの事務所の中に入って来た若い女の人が笑いながら話す。
彼女が言うようにアタシの左手に刻まれた奴隷紋が消えている。
スジノウが死んだのは嘘ではないようだ。
「ここに来る間に会った連中も皆殺しにされたのですか?」
ミンボン連邦の闇オークションの支配人が淡々とした口調で質問をする。
◇◇◇
「殺してはいないわ。
電気……雷を軽く当てて気絶させた者と、
アタシの、もう一つの異能。【物マ反射】で、死んだり、大怪我を負わない程度に攻撃を跳ね返した事で、動けなくなっている者が居るだけよ。
貴方達を皆殺しにすると、そちら側の本当のボス。じゃなかった。マイ ロードさんが、後処理が面倒臭くなるから止めて欲しい。って、アタシのボスへ連絡が来たてるから対応するように。って、口を酸っぱく言われているから、対応させて貰ったわ。
しかも……
アタシのボスからは、後ろに居る雑魚達のお守りまで仰せつかっててさ。
面倒臭い事、ありゃしないわよ。」
ミンボン連邦の闇オークションの事務所の中に入って来た若い女の人が溜息をつきながら話す。
「マイ ロードさんですか……
分かりました。
メスム・エハは、そちらに引き渡します。
テロコさん。サスオさん。
彼女達を店の外までエスコートしてください。
それと……
ルコシさん。メテコさん。
従業員達に報復を禁ずるように言っておいてください。
ご納得を頂け無い方への説得は不要です。
ご納得を頂け無い方については、マイ ロードへの反逆者として殺して差し上げて下さい。」
「はっ。」×4
ミンボン連邦の闇オークションの支配人の言葉に、彼の護衛達が短い返答を返す。
◇◇◇
「まっ。まっ。待って下さいまし!
私も連れて行って下さいませ!」
精神が崩壊していた筈のバッ・ビンショが、ミンボン連邦の闇オークションの事務所の中に入って来た若い女の人に土下座を始めた。
「良いタイミングで売り込んできましたね。
でも……残念。
貴女が精神を病んでいるフリをしていただけだ。って事に気がつける人は、それなりに居るのよ。
でね。
そこの人達が仕えてる、マイ ロードさんから、良いタイミングで売り込んで来たら、貴女を保護して引き渡すように依頼されてるの。
だから、まぁ……
保護はしてあげるけど……その内、彼に引き渡す事は了承しておいてね。
因みに、彼の部下の中には、
アタシとタメを張れる強さの女が2人居る。
彼女達は、リクル……じゃなかった。
マイ ロードさんと、その片腕の男の女でもあるの。
だから……
マイ ロードさんと、その片腕の男には、絶対にハニトラを仕掛けない事をお勧めするわ。
だって……彼女達を怒らせたら、普通の殺し方はしないから。
貴女が本気で殺して欲しい。と願ってから、どれだけ長い時間、苛め抜けるかを目標にしちゃうような人達なのよ。
因みに、アタシも同じ系統よ。
だから、彼等に引き渡すまでは逃げないでね。
じゃないと……
貴女の事を本気で苛めちゃわないといけなくなるからね。」
ミンボン連邦の闇オークションの事務所の中に入って来た若い女の人が笑顔で話す。
「畏まりました。」
バッ・ビンショが真っ青な顔をしながら短い返答を返す。
■■■
「いや~。
【オピオタウロスの荷車】の実力は噂以上ですな。
チョニチ傭兵団の本隊の捕縛に向かわれたミンボン連邦支店のギルドマスターや職員。登録者は、
【拝金騎士団】の命令に従って、邪魔をしないように着いて行く事だけしないと宣言したようなアテにならないようなグズばかりでしたし……
実質、イテヨ殿以外の【オピオタウロスの荷車】のメンバーと、リンゴトマド殿で殲滅なされたのでしょうかからね。」
ミンボン連邦の闇オークションの近くにある宿屋の3階のロビーに着くと、
マキジコ・タツニゴ様がミンボン連邦の闇オークションの事務所でキュドンとウツメを惨殺した女の人に笑いながら話かける。
話の流れから察するに彼女は、【オピオタウロスの荷車】という組織に属するイテヨという人らしい。
てか……
【オピオタウロスの荷車】。リンゴトマドって……
何処かで聞いた事がある名前だな。
「チョニチ傭兵団の本隊レベルならば、やり方次第では、あの3人で余裕で殺れるわ。
今回、わざわざ、アタシ達が出張ったのは、
特異点のアサグのリンゴトマド。
超越点のアサグのトラポ。
龍系の獣人の先祖返りの【無能者】の妖人のツキアト。
それに、【物マ反射】と【雷の操作】の異能を持つ、変異点のアサグのアタシ(イテヨ)が、
ミンボン連邦を表や裏から取り仕切ってる連中に、
彼等がマイ ロードと崇める【拝金騎士団】のボス。リクルルや、3人の幹部達と同列の存在だという事を知らしめる為でもあったのよ。」
イテヨが淡々とした口調で話す。
「メスム・エハ。
あんたは、今後、マキジコ・タツニゴの指示に従って行動してね。
じゃないと……これ以上、言わなくても分かるわよね?」
「畏まりました。」
私は、イテヨに短い返答を返す。
「タツニゴ。
後は任せたよ。
リンゴトマドが戻って来たら、アタシの部屋に来るように言ってね。
それと……
バッ・ビンショは【拝金騎士団】に売り払う商品。
部下に味見をさせるのは構わないけど……逃がしたら殺すからね。
バッ・ビンショ。
貴女も【拝金騎士団】の連中が来るまでは、余計な事を考えず、タツニゴの指示に従って行動してね。」
「畏まりました。」×2
マキジコ・タツニゴ様とバッ・ビンショが短い返答を返すと、イテヨはロビーの椅子から立ち上がった。
◇◇◇
「メスム・エハ。
君の身柄は宰相のリキモチ殿に引き渡す。
リキモチ殿に引き渡された後、君には、
君達、第2近衛連隊の第20中隊が、
グンフ殿下の調査団よりも優れた調査をミンボン山脈の樹海で行って鼻を明かす。
そして、それが不可能な場合、グンフ殿下の調査団を殲滅して調査結果を奪い、彼等の功績にする為に、
グンヨ殿下にお願いをした、自分達を鍛え直す為にクビタゴ盆地へ演習には行かず、キツカン男爵領を通り、秘密裏にミンボン山脈の樹海に向かった事や、
ミンボン山脈の樹海の中心部の大湖には立ち入って居ない事を証言して貰う。」
「正気ですか?
そんな事をすれば……
国(ネギハタ高原国)での貴方達のお立場がなくなるかもしれませんよ?」
私は、彼の真意を測る為に、敢えて、核心を突くような質問をしてみた。
「マキジコ家は、主だった家臣とともに、ナヤクラース連邦へ亡命する。
君の身柄をリキモチ殿に引き渡すのは、
我々がナヤクラース連邦へ亡命する事をネギハタ高原国に邪魔をさせない為の捧げ物なのだよ。」
マキジコ・タツニゴ様が淡々とした口調で、
私の将来が絶望的だ。というような恐ろしい話をサラリとされる。
「エハお姉様も大変な事になりましたわね。
【拝金騎士団】に売り渡される、私の境遇の方が、まだ、マッシな気がしてきましたわ。」
バッ・ビンショが、言葉とは裏腹にニヤニヤした顔で私を見ている。
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