【サイドストーリー】嵐の前
「ネギハタ高原国 第2近衛連隊の第20中隊の鎧を着込んだ悪霊や、少数のスケルトンやリッチなどのモンスターなどをゼンゾウとセンメが確認したそうだ。
奴等の事を、
ネギハタ高原国 開発局の護衛のクノヤ・ツネが、近々、ネギハタ高原国の第1王子のキテ・グンフに報告を入れるらしい。
それと……ヤドカリ商会と行動を共にしている分裂狼の妖が、
ネギハタ高原国 第2近衛連隊の第20中隊の鎧を着込んだ悪霊や、 少数のスケルトンやリッチなどのモンスターの半分を成仏させたらしい。
でっ。残りの半分だが……
ユゲミズが【空の目】を使って捜索してくれたところ、別の場所に現れ、そこでも撤退中のネギハタ高原国人に見られているようだ。」
リクルルさんが、オイラ以外の幹部連中に状況を説明してくれる。
「リンゴトマドにも情報を共有したんでしょ?
でっ。アタシ達は、何をすれば良いのかしら?」
「今回は、特にやる事はねぇ。
リンゴトマドとオピオタウロスの荷車とマキジコ・タツニゴの私兵が、
チョニチ傭兵団に捕まっているメスム・エハとバッ・ビンショを捕まえて、
ネギハタ高原国の宰相のオユー・リキモチに引き渡す。
そして、リキモチがギルドから【審議判定の魔道具】を借り、
彼女達に大湖の件との関係や、
何故、あそこに居たのかを王宮で主だった者達を集めて公開尋問する。
そんな流れで動く事になっている。」
ヤル気満々のイディさんを申し訳なさそうな顔で見ながらリクルルさんが話す。
「はぁ? 何それ。」
「そう剥れるな。
建前上は、
ミンボン山脈の樹海で最凶と呼ばれているチョニチ傭兵団のキュドンとウツメをギルドのミンボン連邦支店に所属している冒険者が見つけた。
そこで、タツニゴの私兵を雇い、
チョニチ傭兵団が、金目の物、欲しさに、ミンボン山脈の樹海の大湖に立ち入ってないかを尋問しようとした際に、
メスム・エハとバッ・ビンショが彼等と行動を共にしている事を知り、
マキジコ・タツニゴが、何故、彼等と行動を共にしていたのか。って言う聞き取りをして、グンヨの罪が明らかになった。
つう、ストーリーから、
ニンムシュの犬の大物の1人であるグンヨを潰す事になってんだよ。
でっ。戦争屋に偽装している俺達は、
ネギハタ高原国で内戦が起こるようにグンヨを焚き付ける係。つまり……グンヨ側の人間。つう設定になっている。
そんな俺達が、
敵対勢力となるグンフ達側に鞍替えし、ネギハタ高原国の内戦の目を摘むような事をするのは変だろ。」
リクルルさんが苦笑いしながらイディさんの説得に入る。
「イディさん。
アタシ達は、勇者や賢者と、その仲間達ではなく、
魔王と、その仲間達に偽装中なの。
この役割は、この世界が開けば、この世界から去るアタシ達にしか出来ない。
間違えても、この世界を開いた世界にした後、
アマトティ様やプスアー様を支える予定のリンゴトマドやオピオタウロスの荷車にはさせられない仕事なのよ。」
グルアさんが、膨らんでいるイディさんの頬っぺたをツンツンしながら話す。
「グルアの言う通りだ。
俺達は、俺達の仕事をしよう。
ベシアセ連邦の族長達は、タカシュンレイ・コンファンのバカな発言を知れば、それを理由にカクコシ連合国で略奪する事が出来ないだろうか?と考え始める筈だ。
クイメガ。グルア。
ベシアセ連邦の全ての部族の中に居る協力者達と連携をとりながら、タイミングを見計らって、拝金騎士団を売り込め。
そして、ベシアセ連邦をけしかけて、
ベシアセ連邦と共に、キトナガエ帝国の属国のカクコシ連合国を蹂躙し、ニンムシュが自由に使える戦力を削るぞ。」
「はい。」×2
リクルルさんの指示にグルアさんとクイメガさんが頷く。
「報われない役回りの憂さ晴らしをさせてくれる。って事ね。」
イディさんがニヤリと笑う。
「あぁ。そうだ。
クイメガまで借りて悪いが通常業務を頼むぞ。
ユゲミズ。グルアの代わりに俺の専属の秘書になってくれ。」
「了解。」×2
オイラとイディさんはリクルルさんの指示に頷いた。
ーーーーーーー
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
「はぁ……この女はダメですね。
スジノウ君には悪いですが……
ミンボン連邦の闇オークションにバッ・ビンショだけでなく、メスム・エハもセットで売らざるえませんね。」
「お頭。
メスム・エハを売るのは構いませんが……
バッ・ビンショは買い取ってくれねぇんじゃねぇですかい?」
「アタイもそう思う。」
精神が崩壊してしまったビンショを見ながら、
チョニチ傭兵団のリーダーで【祈祷師】のジョブ補正を受けいているエルフと狐系の獣人のミックスの小男のキュドンの言葉に、
【物情を繋ぐ者】のジョブ補正を受けている人族と猫系の獣人のミックスのウツメと、
【錬金術師】のジョブ補正を受けているドワーフと熊系の獣人のミックスの大男のスジノウ。
この2人の幹部が返答を返している。
日に日に状況が悪化する、この森(ミンボン山脈の樹海)の状況へのストレスに加えて、
スジノウの専属となっている私と違って、行軍の無い昼は、チョニチ団の男女問わず、性の捌け口となり、全く寝かして貰えていない状況だ。
しかも手足の潰された彼女は1人では何も出来ない。
寧ろ、この状況で、良くここまで頑張れたものだ。
その根性を、もっと早く。別の形で見せていたならば……こんな事に巻き込まれていなかったのかもしれないわね。
そう思うと、なんだか……可哀想になってきたわ。
私達、第2近衛連隊の第20中隊は、
グンフ殿下の調査団から外された事に堪え、
グンヨ殿下にお願いをして、自分達を鍛え直す為にクビタゴ盆地へ演習をしに行った事になっている。
なのに、実際のところは……
ニンムシュ様派。反ニンムシュ様派。中立派。に問わず、
各々な理由で、この情報を欲する人達は、沢山、居るだろう。
そして、ミンボン連邦の闇オークションで、何処の勢力に買われてたとしても……
明るい未来など無いだろう。
願わくば……
サクッと一瞬で殺して欲しい。
それが無理であれば、せめて……
痛い事だけは止めて欲しい。
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
ビンショは楽しそうにわらっている。
閉ざした精神の夢の中で……
彼女は、どんな生活をしているのだろうか。
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
「こいつ。うっせぇな。
殺すか。」
スジノウが殺気をビンショに放つ。
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
「ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。ケタ。」
ビンショは、笑い続けている。
現実世界の出来事を彼女が認識する事は無いのであろうか。
「スジノウ。落ち着いて下さい。
ミンボン連邦の闇オークションへ、バッ・ビンショメスム・エハを売りに行くのは、ボクとウツメのみ。
他の者は、スジノウと一緒にクビタゴ盆地へ向かって下さい。
では。ボク達は一足先に出ます。
待ち合わせ場所はタコビク盆地を抜けた先にあるモトツウの町。
宜しくお願いしますね。」
「おう。
エハ。すまんな。
タコビク盆地の中継所の守りが、今だけ手薄だ。つう情報を貰うだけ貰って、捨ててちまう事になったんだからな。」
私との約束など無かったかのように振る舞うキュドンに対して、スジノウはキッチリと謝罪をしてくれる。
まぁ……どちらにせよ、私の運命は変わらない。
ここでキュドンへ対して、不義理を責め立てるつもりもなければ、スジノウの決断を許すつもりもない。
それでも……
モヤモヤしたり、スッキリしたりするのだから、人の心とは不思議なものだ。
評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。
頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。
宜しくお願いします。




