新たな旅の始まり
『出るわよ。』
イココ団の狼系の獣人で【無能者】のナツムちゃんの声が頭の中に響き渡る。
ナツムちゃんは、
ギルドの教官でエルフのゼンゾウさんのサポートを受けながら寒冷地仕様のクアッドで先導をしてくれる事になっている。
その後ろを、
新たにイココ団の副リーダーになった【騎士】のジョブ補正を受けてるペンアツ・シキカカちゃんの乗るピックアップトラックが続く。
同乗しているのは、イココ団の元副リーダーで【魔術師】のジョブ補正を受けているトンタカ君。
彼は夜番を担当する事になっている。
そんな2人をネギハタ高原国 開発局の護衛で【武聖】のジョブ補正を受けているクノヤ・ツネさんがサポートしてくれる事になっている。
その後ろを、サンスジ商会の2台のトラックが続く。
1台目のトラックには、
オワトボ村の村長の娘でドワーフのモクドウ・スジミちゃんが運転し、
【使役師テイマー】のジョブ補正を受けている人族と犬系の獣人のミックスのカゾウ君と、雷豹のアラレゾウが索敵のサポートと夜番として同乗し、
2台目のトラックには、
ギルドのテチス山脈支店の副ギルドマスターの息子でエルフのキンニチ・サンエモン君が運転し、
【使役師テイマー】のジョブ補正を受けている人族と犬系の獣人のミックスのマイヨちゃんと、雷豹のオカキコがサポートと夜番として同乗している。
その次に、カーゴ トレーラーを牽引する、僕達のキャンピングカーが続く、
カーゴ トレーラーには、
【戦闘工兵】のジョブ補正を受けているシュウゼさんと、【騎士】のジョブ補正を受けているフクコさんが乗り込んでいる。
2人は旅の間は夜番を担当してくれる事になっている。
その後ろを、ホンイ団の2台のトラックが続く。
1台目のトラックには、
【使役師テイマー】のジョブ補正を受けているホンミちゃんが運転し、
【戦闘工兵】のジョブ補正を受けているカンレツ君とシルバーウルフのオギンがサポートと夜番として同乗し、
2台目のトラックには、
【物情を繋ぐ者】のジョブ補正を受けているホンイちゃんが運転し、
【武聖】のジョブ補正を受けている人族と熊系の獣人のハーフのキヤリキ君とシルバーウルフのギンマルが、サポートと夜番として同乗している。
そして殿は、
【行商人】のジョブ補正を受けいるナカコウ・イココちゃんが運転し、
熊系の獣人で【無能者】のキンバカ君がサポートに入り、
夜番として【薬師】のジョブ補正を受けているキュチョロウ君が乗り込む、
練習用のカーゴトレーラーを牽引しているピックアップ トラックが続く。
そんな3人をギルドの教官でドワーフのセンメさんと、ネギハタ高原国軍の司令部所属の料理人で【料理人】のジョブ補正を受けているフヤさんがサポートしてくれる事になっている。
僕達は、オワトブ村に着くまでは、
この2台のクアッドと2台のピックアップトラックと4台のトラックと1台のキャンピングカーで構成されたキャラバン隊の一員として行動する事になっている。
因みに、この世界での人外地の移動は、基本、
日が昇っている間に移動し、夜は夜番を除いてゆっくりと休むらしい。
この世界に来てからのほとんどの時間を日が暮れてから移動時間に当てていたのは、僕達が思っていた以上に、逼迫していた状況に陥っていたかららしい。
『状況次第では、モンスターや悪霊などが本格的に動き出す、日が暮れた時間帯を移動時間に変更する可能性がある。
だから、急いではいるが、余力を残せるようなスピードで移動するぞ。』
『了解。』×6
ゼンゾウさんからの念話で送られた指示に、
乗り物を運転するドライバー達とレイヒちゃんが念話で短い返答を返す。
■■■
「綺麗じゃのう。」
「ガードレールぐらい付けて欲しいわ。」
キャンピングカーが走り出してたから、1時間ぐらいが経過した。
進行方向の左側の窓に相対するように正座して椅子に座り、窓の外をうっとりと見つめるムンナちゃんとは対照的に、
逆側に座っている、高い場所が苦手な嫁は眉をひそめながら話す。
進行方向の右側は平原が広がり、
進行方向の平原の端となる左側は、2日前まで僕達が居た森(ミンボン山脈の樹海)を一望する事が出来る。
進行方向の左側は、所々、切り立った崖になっていて、
2台のトラックがギリギリ、スレ違える程度の道端だ。
高い場所が苦手な嫁が怖がるのは無理もない。
「そう思うのならば、妾の隣に座るが良い。
そしたら、平原が広がる長閑な車窓を見れるぞ。」
「崖から少しでも離れていたいのよ。」
嫁が眉をひそめながら呟くようにムンナちゃんに返答を返す。
「【空の目】の映像を見ると、
森(ミンボン山脈の樹海)の中央部の黒いモヤが光っているように見えるんだけど……」
「黒いモヤは瘴気の塊で、
光っておるのは積もっておる雪が太陽の光で反射しておるからじゃろう。」
ムンナちゃんが僕の疑問に私見を話してくれる。
「瘴気の塊?
モンスター氾濫が起こると思う?」
「あの森の中心にあるのは瘴気を適正な量に抑え込む装置であり、瘴気を減らしたり吸収するような物ではない。
瘴気は時間が経てば消える物ではあるが……
それまで、この状況にモンスターや動物達が我慢する事が出きるかどうかじゃな。」
嫁の質問にムンナちゃんが私見を話してくれる。
◇◇◇
『後、10分ぐらい走ったら、右側に広場が見えてくる筈よ。
今日は、そこでお昼を取るわ。
フヤさん。お昼は、どうします?』
ナツムちゃんの声が頭の中に響き渡る。
『30分程度で出来る、簡単な麺入りのスープと麺無しのスープを作ります。
出来ましたら、お呼びしますので、私がお呼びしましたら、全員、飯盒を持って集まって下さいませ。
お昼は麺入りのスープを食べて下さい。
夜は硬パンを配りますので、麺無しのスープを温め直した物と一緒に食べて下さいませ。』
フヤさんが念話で返答を返す。
『今が12時前なので、休憩後の行軍は14時ぐらいからのスタートね。』
『了解。』×6
ナツムちゃんからの念話で送られた指示に、
乗り物を運転するドライバー達とレイヒちゃんが念話で短い返答を返す。
■■■
「肉と野菜がたっぷり入った、フヤさんのスープ。
滅茶苦茶、美味しかったね。」
「せやね。
この世界の飯も悪いもんや無かったな。」
時刻は13時。
嫁とレイヒちゃんが嬉しそうに話している。
フヤさんは、ワンゾウ達にも塩抜きした干し肉を茹でた物を作ってくれた。
細やかな配慮にも感謝だな。
「そろそろ、回し車を出してはくれぬか?」
ワンゾウがモジモジしながら話しかけてくる。
「ワォォォーン」×2
キャンピングカーの外からオギンとギンマルの声が聞こえてくる。
「了解。」
僕は、そう言いながら、ダイネットに設置されている椅子から立ち上がる。
◇◇◇
「平和だねぇ……」
「そうだね。」
嫁の言葉に僕は頷く。
僕達は、全員、揃ってキャンピングカーの外に出た。
【ガラ・ガラ・ガラ・ガラ】
今日は、レディースデイなのか、オギンが一番最初に回し車を回している。
その様子を見ながら、レイヒちゃんとナシアタ君は、ホンイちゃん達と談笑している。
「瘴気の量が減ってにゃいにゃ。
あのバカ(ニンムシュ)は、何をしてるにゃかね。」
僕達が違法に召喚された辺りを見つめながら、シャーコが小さな声で呟いている。
「エンクルさん。ナブサモさん。
少しだけ、宜しいでしょうか。」
思い詰めた顔をしたツネさんが、そう言いながら、僕達の横に座る。
一緒に来たフヤさんも……緊張した顔をしていた。
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