別れと出会い(後編)
「イココ団を護衛として帯同させる。って聞いた時は、正直、正気を疑ったけどさぁ……
どうやら、僕達が間違えてたみたいだね。」
「えぇ。そうみたいね。」
耳の長い美少年の言葉に、真ん丸とした可愛らしい背の低い女の子が頷いている。
「だろ。」
そんな2人に何故かホンミちゃんがドヤ顔で頷いている。
「初めましてが居るので紹介するわね。」
そんなやり取りを見ながら、ホンイちゃんが笑顔で話す。
■■■
「宜しく。」
耳の長い美少年のサンエモン君が僕に握手を求めてくる。
ホンイちゃんが連れて来たのはサンスジ商会のメンバー達だった。
サンスジ商会のメンバーは、
オワトボ村の村長の娘でドワーフのモクドウ・スジミちゃん。
ギルドのテチス山脈支店の副ギルドマスターの息子でエルフのキンニチ・サンエモン君。
【使役師テイマー】のジョブ補正を受けている人族と犬系の獣人のミックスのマイヨちゃんとカゾウ君の兄妹。
マイヨちゃんとカゾウ君が使役する雷豹と呼ばれる、シルバーウルフと同格の上位モンスターのアラレゾウとオカキコ。
となる。
彼女達はホンイちゃんやイココちゃん達と同年代の若者で、ギルドからは商会としてBランクの評価を受けている、ギルドのテチス山脈支店が誇る若手のホープらしい。
「こちらこそ。」
僕はサンエモン君の差し出した手を握る。
「そういや、ヤドカリ商会は見聞を広げる為に諸国を巡ってるんだよね?
僕達の村を訪れた後、どうするつもりだい?」
「イランツ カバー帝国に行くつもりだったんだけど……
アマズトモエ連邦へ向かうか、逆側のウドゥイティ トスン高原国へ向かうかで迷ってる。」
僕は、これ幸いと情報収集に入る。
嫁・レイヒちゃん・ナシアタ君が、僕の隣にスッと移動してきた。
◇◇◇
「親父が言うには、
今回の事故が原因で、バクダブ連邦やミポメア連邦の沖合いで取れる、カンテラ イカやランタン クラゲの皮をウドゥイティ トスン高原国へ納品する仕事が滞っているらしいんだ。
その理由は、今回の事故の復旧活動をする為の支援物資の保管先となるシモナカトブ村へ支援物資を輸送する仕事が儲かるのが原因らしい。
因みに、僕達のように近隣の国から自分達の村へ食糧や調味料を集める仕事を引き受ける商会すら中々、見つからない。
それぐらい、シモナカトブ村へ支援物資を輸送する仕事は美味しい仕事らしいんだ。
でっ。もし可能であれば……
シモナカトブ村へ塩を持って行き、
その後、シモナカトブ村や、シモナカトブ村の近辺にあるアマズトモエ連邦の村々から、カンテラ イカやランタン クラゲの皮を買い取り、ウドゥイティ トスン高原国へ輸送する仕事を引き受けて貰えないだろうか?」
「わたしとしては問題無いけど……
皆はどう?」
嫁が僕とサンエモン君の会話に入ってくる。
「問題無しや。
勿論、シモナカトブ村へ運ぶ塩も支援物資になるんやろ?
一回とはいえ、儲かりはる。ちゅうシモナカトブ村へ支援物資の輸送にも一枚噛まして貰うんや。
オワトブ村へ足を向けて寝られへんようになるぐらいの厚待遇やわ。」
嫁の質問にレイヒちゃんがニヤニヤしながら答える。
僕とナシアタ君も、そんなレイヒちゃんの言葉に頷く事で肯定する。
「サンエモン。
もう一度、この砦にあるギルドの出張所に行って、叔父様やお父様への報告を宜しく。
私は、その間に皆さんと協力しながら出発の準備を進めとくわ。」
「おう。」
サンエモン君はスジミちゃんの言葉に頷くと、砦の中央の方向に向かって走りだした。
◇◇◇
「まずは、砦の皆様。
荷造りの手伝い、感謝申し上げます。
その前にホンイ。
あんたとこのトラックは荷物を後からだけじゃなく、横からも積み卸しが出来たわよね?」
「えぇ。
銀狼貿易商会のトラックは、全て、この形よ。
自分達の食料や水。弾薬や予備の武器なんかと商品をいっぺんに運べるように工夫してるの。」
スジミちゃんの質問にホンイちゃんがドヤ顔で答える。
「オッケー。オッケー。
取り敢えず、私達のトラックへの荷物の積み込みは終わってるわ。
ホンイ達のトラックに関しては、
1台は、オワトブ村へ卸す荷を積んで欲しい。
そして、もう1台は、私達の分を含めた、オワトブ村までの水や食料。
そんでもって、私達の分を含めた、ネギハタ高原国の南都まで戻るのに必要な水や食料と、
ヤドカリ商会の皆様がシモナカトブ村や、シモナカトブ村の近辺にあるアマズトモエ連邦の村々や、ウドゥイティ トスン高原国の東都まで行くのに必要な水や食料。
でっ。もし、スペースに余力があったら……
オワトブ村へ卸す荷を少しだけでも積んで欲しい。
後、イココが、カーゴ トレーラーを牽きながらピックアップ トラックを運転する練習をするとセンメさんから聞いたわ。
そこにも水や食料を積んで貰い、上手く運べたら追加で購入させて貰うつもり。
私からは以上よ。」
スジミちゃんが、そう言うとツネさんを見る。
◇◇◇
「ヤドカリ商会の皆様のカーゴ トレーラーに、この砦からカミナカドブ村の復旧作業を手伝う事になった、
【戦闘工兵】のジョブ補正を受けている1名の兵士と、【騎士】のジョブ補正を受けている1名の兵士を乗せて欲しいのです。
勿論、タダとは言いません。
報酬として白金額1枚(100万円の価値)を、お支払いします。」
ツネさんが淡々とした口調で話す。
「良えけど、帰りはどないしはるんつもりなんや?」
「ギルドのテチス山脈支店との国境沿いにある南の砦の者に迎えに行かせるつもりです。
その後は、この砦から南の砦に迎えを出し、この砦まで戻らせるつもりです。」
レイヒちゃんの質問にツネさんが淡々とした口調で話す。
「姉さん。
ウチは、この依頼を受けても良えと思うんやけど……
問題あらへんか?」
「うん。」
レイヒちゃんの質問に嫁が頷く。
「感謝します。
2人の名は、シュウゼとフクコと申します。
宜しくお願いします。」
ツネさんが淡々とした口調で話した後、ペコリと頭を下げてきた。
「シュウゼです。
宜しくお願いします。」
「フクコ。っす。
宜しくお願いしまぁ~っす。」
若い男女が、そう言うとペコリと頭を下げてきた。
「こちらこそ、宜しくね。」
嫁が、そう言いながらペコリと頭を下げた。
■■■
「ふう。
終わったわね。」
スジミちゃんが、そう言いながら汗を拭っている。
サンエモン君を除く、サンスジ商会のメンバーとホンイ団のメンバーが、荷物の積み込みを終わらせてくれた。
僕達は、その間に、小瓶に封印していたカーゴトレーラーを出し、シュウゼさんとフクコさんに中を見せた。
2人は窓がある事や、気密性に優れている事に喜んでいた。
2人は自分達の荷物や仕事道具。
簡易ベッドを兼ねたベンチシートを1台、カーゴ トレーラーの中に持ち込んだりしながら、快適に過ごせるように準備をしていた。
因みに、2人は、不測の事態に備えて、クアッドを封印した小瓶を持っているらしい。
彼等を見捨てるつもりは無いが、カーゴ トレーラーが壊れても、自力で動ける準備もしてくれているのは有難い話だ。
「親父達との連絡はついたぞ!
そっちはどうだ?」
「今、荷物の積み込みまで終わったとこよ。」
小走りで駆け寄って来るサンエモン君の質問にスジミちゃんが得意気な顔で返答を返す。
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