表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤドカリ姫は異世界の扉をひっそりと開ける  作者: モパ
【第1章】小さな波紋
42/48

【サイドストーリー】複雑な感情

「タツニゴ叔父様達だけでなく、


タツニゴ叔父様の凡ミスのせいで、

執事のバスン達といった、主だった居残り組まで保養地に行く事になるとか……


母上のご実家に対して、こんな事を言いたくはありませんが……マキジコ家は、馬鹿と間抜けとお呑気者の集団なのでしょうかね。



侍女にしてやった従姉のタゼヨにしても、

タツニゴ叔父様から、娘の療養を兼ねて保養所に同行させて欲しいなんて言い出す始末だしさぁ……


まぁ……心の広い私は、タゼヨの療養の件も許して差し上げはしまたが……


タツニゴ叔父様は、母上にとっては可愛い弟だったからといって……

姪の私にまで甘えてくるのはどうしたものなのでしょうか?


私が天下を取った後の、マキジコ家への処遇については、考え直さないといけませんわね。」


グンヨ殿下がイラついた顔で話される。



グンヨ殿下もタゼヨ様をご心配なされてはおられるが……

それ以上に、彼女の中で一番、気が許せるタゼヨ様が、傍に居ない事が気に入らないらしい。



「そんな中……

祖母が危篤の為、殿下を城に送り届け次第、領地に戻ります事、お詫びします。」


「本当にねぇ……

ウユチのお婆様も……具合を悪くするタイミングは、空気を読んで頂きたいものですわ。」


グンヨ殿下がため息をつかれながら私を見る。



これは……

本音ではあるだろが、祖母に対して本気でイラついてられる訳でもない。



グンヨ殿下は……

素直な物言いが出来ないだけだ。


それを、周りが言葉通りに受け取ってしまうから、嫌なお方だと誤解してしまうのだ。



そんなグンヨ殿下を見ていると、罪悪感で胸が張り裂けそうになる。


99パーセント祖母は元気だ。


何故ならば、祖母が危篤だという一報は、タツニゴ様が作らせた偽造メールだからだ。



私の実家のデント辺境伯家は中央との馴れ合いを極体に嫌う家だ。


だから、憧れていたマキジコ・タゼヨ様に誘われて、グンヨ殿下の侍女になれた事を、父に報告した時に……


感動されるどころか、グンヨ殿下の侍女を勤め上げるまでは勘当だ。と言い渡されるとは思ってもみなかった。



因みに、この事を知っている者は、城中には結構な人数が居る。


その理由はというと、

ド田舎の貴族と中央の貴族は価値観が大きく違う。っていう事を、中央の官僚達に教える為の例題として、鉄板ネタの1つになっているかららしい。



なので、祖母が危篤の可能性が0ではないとは言い切れない。


何故なら、本当に祖母が危篤だとしても……

私には連絡すら来ない筈だからだ。



けど、まぁ……

結果論にはなるが、父が正しかった。


ご本人は、まだ、気がつかれていらっしゃらないようだが、十中八九、グンヨ殿下が天下を取られる日は来ない筈だ。


というよりも……

タゼヨ様なんかは、この馬鹿げた作戦の行き着く先は、

グンヨ殿下にとっての最高の結末が幽閉ではないか。なんて予想をされておられる始末だ。



私は、グンヨ殿下を城に送り届けたら、ピックアップトラックに乗り込み、ツアイ家の方々と合流し、マキジコ家の家臣の1人としてナヤクラース連邦へ亡命する事になっている。



「ねぇ……

手を繋いでくれないかしら?」


「はい。」


私は、グンヨ殿下が差し出された手を握る。



時刻は10時。


この不器用で、間抜けで、お馬鹿なトラブルメーカーだが、何処か憎めない愛らしいお姫様グンヨとの永遠のお別れは、刻一刻と迫っている。



今どなっては、どうする事も出来ないが、

グンヨ殿下が、チョカ家の者達が考えた、この成功しようがない馬鹿げた作戦を、

私やタゼヨ様に共有してくださる前に察して、お止めする事が出来なかった事は悔やんでも悔やみきれない。



『ごめんなさい。』


私はグンヨ殿下に心の中で謝罪した。



その謝罪は、

この成功しようがない馬鹿げた作戦を、お止めする事が出来なかった事への謝罪だけではない事は、自分自身が一番良く分かっている。


自分の命を守る為、実家の存続の為、色んな理由があるとはいえ、私は……

裏切る相手からさえ許されたいと願っている罪深くて傲慢な糞みたいな女だという事を生涯、忘れてはいけない。


そう心に刻みつつ、

第2の彼女を生み出してしまわない為に全力を尽くす事で、彼女の死に意味を持たす。


それが、グンフ殿下達とはプロセスが違えど、民の安念を第一に考えてられていた彼女へ、私が出来る唯一の手向けになる筈だから。



ーーーーーー



「お誕生日おめでとう。


今日、私は……

貴女の兄のレコマと、チョカ家の者達の協力を得て、バカな兄と二の姉を失脚させ、この国を正しい方向へ歩む計画を始動させたわ。


でっ。貴女への、お誕生日プレゼントなんだけど……

第2皇女の侍女から、未来の天下人の侍女に格上げさせてあげる事。



てか……計画を始動するに当たって、お小遣いを使いすぎたのよね……


だから、ごめん。

今年は約束手形しかあげられないの。」


グンヨ殿下が成功しようがない馬鹿げた作戦が決行された日が、私の24回目の誕生日だった。



言っている意味が分からなかったので詳しく聞くと、


ネギハタ高原国 第2近衛連隊の第20中隊と(レコマ)とメヨユ。

無実の罪をでっち上げられ無理矢理、馬鹿げた作戦に参加させられたトリース団に、

グンフ殿下達の調査団の真似事をさせる。という話だった。


これだけだならば……

陛下から寵愛を受けておられるグンヨ殿下ならば、ギリギリ許されただろう。


だが……調査団の真似事が上手くいかなかった場合、グンフ殿下達を始末して、彼等の調査報告書を奪え。って遠回しに指示したのは、流石にやり過ぎだ。


何故ならば、陛下はグンヨ様を寵愛されてはおられるものの、グンヒ殿下と同様、国政に関わらせるおつもりは無いからだ。


陛下の中では後継者は、グンミ殿下で、

そのグンミ殿下を支える形で国政に関わられる王族は、

グンフ殿下とウミシシ様とフミナリ様のみ。とお決めになられているからだ。



それなのに……しかもレコマまでも……



因みに、私が、作戦の決行日まで、この馬鹿げた作戦の存在に気がつけなかったのは、

この馬鹿げた作戦を私だけでなく、親友で同僚のウユチにまでひた隠しにされていたからだ。


そして、その事をグンヨ殿下に進言されただけでなく、色々と暗躍したのが、私の同僚の一人。チョカ・ルビョと、その取り巻きの連中だったらしい。



私は……24回目の誕生日の日に、生まれて初めて、未来への絶望から気絶をし、そのまま寝込んでしまった。



◇◇◇



私が寝込んだ日の翌日の朝。

代々、我がマキジコ家の執事をしてくれているツアイ家の娘、ズミネがお見舞いに来てくれた。


私は、表面上は他愛の無い話をしながら、念話で、今日、知った最悪の事態を彼女に伝えた。



因みに、彼女は、私が念話で話す前に、この馬鹿げた作戦の事を知っていたらしい。


その理由は(レコマ)だ。


(レコマ)は、ルビョから、今回の作戦にはマキジコ家も深く関わっていると聞いていたらしく、

それなのに、父上(タツニゴ)が、一切のコンタクトを取って来ない為、明日から、この馬鹿げた作戦に、どこまで関与しても良いのか。という質問しに、実家を訪れたかららしい。



既に作戦が止められない段階まで来ている事を悟った父上(タツニゴ)は……

その場でナヤクラース連邦への亡命を決意されたらしい。


ただ、この馬鹿げた作戦が失敗し、たとえ何の戦果を上げなくても、グンフ殿下達に手を出さず、

ネギハタ高原国 第2近衛連隊の第20中隊に甚大な被害も出さなければ、なんとか陛下を宥められるとも、お考えになられ、


(レコマ)に、それとなく、そうなるように仕向ける事と、

必ず生き残って、結果を速やかに報告する事を指示されたらしい。



因みに、ズミネが、私の元を訪れたのは、父上(タツニゴ)が、私を絶縁するとお決めになられた事を伝える為だったらしい。


そして、私の念話を聞いたズミネは、父上(タツニゴ)に絶縁の撤回を頼んでみる。と言って帰って行った。



◇◇◇



ズネミが帰った翌日、私はマキジコ家の保養所で療養する事をグンヨ様から命じられた。


どうやら、父上(タツニゴ)は、私を助ける事にしたらしい。


ウユチの事も頼もうとしたら、ズネミが既に、彼女の救出の約束も、父上タツニゴから取り付けてくれていた。


彼女を巻き込んでしまったのは私だから……

ズネミの気遣いが嬉しかったな。



【コンコン】



「はぁい。」



【ガチャ】



「お嬢様。


ズネミから、ウチユ様と合流が出来たという報告が入りました。


それと……暫く通信機器があるような場所へは立ち寄らないため、次の連絡はかなり遅くなる。との事です。」


「リメアー。

報告、有難う。」


私は、通信機器を使って報告を入れてくれた

ズネミの報告を知らせてくれた、メイドのリメアーにお礼を言った。



【ポタ・ポタ・ポタ】



この涙は、親友ウチユを救えた安堵の涙なのだろうか。それとも……

不器用で、間抜けで、お馬鹿なトラブルメーカーだが、何処か憎めない愛らしい従姉妹グンヨを見捨てざる得なくなった事への後悔と罪悪感なのだろうか。



少なくとも……

自分が助かりそうだ。という事への安堵ではない。


私は……そう信じたい。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ