武器を持つ安心感
『こちらネク。
出ます。』
時刻は16時。
ネクさんの念話を合図に、キャンピングカーがゆっくりと動き始める。
先頭を走るのはフミナリさん達が乗るピックアップトラック。
その後ろをグンフさん達の乗るトラックが続く。
更に、その後ろを、訓練生のホンイ団の2台のトラックが続き、
教官達の2台のピックアップトラックが続く。
因みに、教官達の2台目のピックアップトラックの荷台には、ウミシシさんとハウシさんが、拘束しているタカシュンレイ・コンファンと一緒に乗っている。
その後ろを、訓練生のイココ団の2台のピックアップトラックが続く。
夜間移動が難しいと教官から判断されたイココ団の2台のピックアップトラックには、
クタゴタ達、キトナガエ帝国軍ミンボンの大湖の守備隊の第2伝令部隊の4名が、2名づつ分乗して乗り、 彼達が運転や周囲の索敵をする事になった。
そして、最後尾は、僕達のキャンピングカーになる。
◇◇◇
3丁の魔力弾の拳銃は、嫁とレイヒちゃんとムンナちゃんが装備し、
2丁の魔力弾のソードオフ・ショットガンは、僕とナシアタ君が装備し、
アンダーバレルに銃剣が付いた魔力弾のライフルと魔力弾の狙撃銃は、ナシアタ君が装備する事となった。
非戦闘員の嫁とムンナちゃんも最低限の身を守る為の装備を手に入れ、
ナシアタ君も、近接戦闘から遠距離戦まで幅広い戦闘が可能となる武器を手に入れた。
レイヒちゃんは、短槍も皆に装備させておきたいとは言っていたが……
ホンイ団のトラックを鑑定した結果、積んでいる武器は様々なタイプの魔銃のみだったので、
取り敢えず、必要な材料が揃い次第、僕が【異空間加工倉庫】を使って作る事となった。
『武器を手に入れただけで、安心感が違うな。』
ナシアタ君の嬉しそうな声が携帯電話から聞こえてくる。
「だね。
使う機会が無い事に越した事はないけど……
一応、練習だけはしとかないとね。」
『せやな。』
嫁の言葉にレイヒちゃんが短い返答を返す。
窓の外を見ると綺麗な夕焼けが見える。
もう暫くすれば、辺りを漆黒の闇が覆うだろう。
僕にとってはサブウェポンとなる魔力弾のソードオフ・ショットガンを腰に装着しただけで、こんなにも安心感が違うのか。と驚いてしまう。
チートな異能を得た僕でさえ、そう思うのだから……
チートな頭脳と肉体を手に入れたとはいえ、攻撃手段が剣ナタと肉体しか無かったナシアタ君が得た安心感は、僕の比じゃないだろうな。
■■■
『こちらネク。
お気づきの方も居らっしゃるとは思いますが……
人もモンスターも獣も増えて来てます。
ヤドカリ商会の皆様にも、我々の旗を貸与させて頂いてはおりますが……
我々と居る間は、他人との揉め事は極力、自力で解決しようとされずに、我々に報告して下さいね。』
『了解や。』
ネクさんの念話での指示に、レイヒちゃんが短い返答を返す。
時刻は18時。
乗り物の灯りが届かない場所は、漆黒の闇で包まれている。
「ウミシシさん達が捕まえた、訳の分からない、お貴族様みたいなのに絡まられるのは勘弁だよね……」
『それ言えてる。
話し合いが出来そうにあらへんもんな。』
嫁の呟きにレイヒちゃんが頷く。
「後、山賊的なのも嫌だよね……」
『せやな。
D◯Nに卑猥な言葉を浴びせらまくられたりしはったら……平和を愛する人を卒業してしまいそうやもんな。』
嫁の言葉を聞いたレイヒちゃんが不穏な感想を話す。
『せやけど、まぁ……
ミンボン連邦のジハリマの町に行かんくて正確やったかもやね。』
『なんかあったのか?』
レイヒちゃんの粒やきにナシアタ君が反応する。
『あそこを管轄してはるギルドの営業所なんやけど……
「Cランク相当以下の運び屋や、貿易商会や行商人は、Bランク相当の冒険者のパーティーや傭兵団の分隊(12名前後)の護衛を受けないと通行を許可しない。
ただし、ギルドのランクがどうであれ、
Bランク相当以上の運び屋や、貿易商会や行商人と自認している者は、この制限を解除する。」
という、実質、通行の制限をしはらへん。ちゅう、ややこしい声明を出しはったわ。
なんで、そんな声明を出しはったんか分かれへんけど……
面倒臭そうな事が起きてはる気配だけはビシバシと伝わってくるわ。』
レイヒちゃんがナシアタ君の質問に答える。
「コネも何も無い状況ならば、色んな意味でザルな場所に魅力を感じるけど……
身元がしっかりしている人達から仕事を貰える状況では、何の魅力も感じないよね……」
『ホンマ、その通りやわ。』
僕の言葉にレイヒちゃんが頷く。
『ドワーフにエルフ。
異世界物の漫画の中だと、ドワーフは気難しく、エルフは意識高い系なイメージだけど……
良い意味でイメージを覆して欲しいよな。」
ナシアタ君の心配そうに話す声が携帯電話から聞こえてくる。
「全てのとは言わぬが……
言われてみれば、エルフやドワーフどもは、
ナシアタの抱いておるイメージ通りの奴が多いのう……」
ムンナちゃんが苦笑いしながら話す。
「まっ。あまりにも、あまりだった時は……
パパの異能で、相手を無能者にした上で、
ナシアタ君が拳で分からせれば良いんじゃない?」
嫁が、不敵な笑みを浮かべながら、不穏な事を口走り始めた。
『せやな。
言葉が通じん相手でも、ボティーランゲージは通じる。って言わはるもんな。』
そんな嫁の言葉にレイヒちゃんが笑いながら頷く。
この娘……ボディランゲージの意味を正しく理解しているのだろうか……
『ストップ。
言い出しっぺの俺が言うのもなんですが……
サンスジ商会の人を良く知らな癖に、変なシミュレーションをするべきではないと思いますよ。』
『ナシアタの言う通りじゃ。
暴力での解決は、最後の砦と考えるべきじゃ。』
言葉とは裏腹に、ムンナちゃんも暴力での解決に否定的ではないらしい。
■■■
「パパ。起きて。」
「おはよ。」
嫁に揺さぶられて目が覚めた。
寝たつもりは無いのだが……いつの間にか寝いてたらしい。
何故か、窓の外が明るい。
夕日が沈むまで起きていた筈なのに……
携帯電話を見ると8時と表示されている。
「うわ。
めちゃくちゃ、寝てた。
トラブルはなかった?」
「無かったみたいよ。」
嫁が苦笑いしながら返答を返してくれる。
「ひょっとして……ナブサモちゃんも寝てたの?」
「うん。
ちょっと前に起きたばかりよ。
パパ達が寝はじめてからの記憶がほぼないから……
わたしも19前には寝ちゃってたみたい。」
嫁が苦笑いしながら僕の質問に答えてくれる。
「スピー。グゥゥゥ。」
ムンナちゃんが気持ち良さそうな寝息を立てている。
『こちらネク。
後、30分ぐらいで目的の広場になります。
混雑が予想されていますので……くれぐれもトラブルに巻き込まれないように注意してくださいね。』
ネクさんの念話が頭の中に響き渡る。
『了解した。
予不測の事態が起こらない限りは16時過ぎから再び移動を開始する。
行軍の1時間前には飯を食い始めて、出発までには用を足しておいて欲しい。
宜しく頼むぞ。』
『了解や。』 ・『畏まりました。』×2
ウミシシさんの念話での指示に、
レイヒちゃんと教官のリーダーとクタゴタさんが念話で返答を返す。
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