レベルアップ?の共有 / 初商談(前編)
「ワンゾウ用の回し車。って……
兄さんも、おもろいもんを作りはったな。
兄さんは文系で料理やDIYとかにも興味があらへんかったって聞いてたし、
【異空間加工倉庫】で自分の居る世界に無い品物を製造する場合、設計図やレシピ。現物などの品物情報が必要や。とも聞いてたから、
正直、この世界に無いもんは作る事が出来はらへんのやろな。って、勝手に思ってたんやけど……
良え意味で期待を裏切られたわ。」
時刻は15時。
窓の外を見ながら、レイヒちゃんが笑顔で話す。
「レイヒちゃんが弄ってくれた、元の世界(ムシュ イム アン キ)のインターネットネットの情報が閲覧可能な携帯電話を手に持ちながら作りたいものを考えると、
元の世界のインターネットの情報から設計図が起こされ、材料さえ揃えれば、元の世界の科学技術で作られた道具等を作る事が出来るようになる事が分かったんだよ。
しかも、電気やガソリン等の燃料の代わりに魔石等といった代替エネルギーに変えた物まで作る事も可能。
まぁ……目立ちたくないから、あまり凄い物は作らないつもりだけど、
もし、どうやっても元の世界に帰る手立てがない状況だったとしたら……
目先の贅沢な暮らしと、将来の為の貯蓄を両立する為に、
年甲斐もなく、俺SUGEEEE病に罹ってた気がするよ。」
僕が苦笑いしながら、新しい発見を皆に共有する。
「エンクルさんや、ナブサモさんは、
セスナ免許(軽飛行機免許)とか、ヘリコプター免許を持ってたりはしませんよね?」
「持ってないよ。
ナシアタ君は持ってるの?」
「いや。俺も持ってません。
あっ。でも、俺……1級小型船舶操縦士も持ってますし、実家の別荘に小型のクルーザーもありますので、
ナブサモさんが、実家の別荘を再現してくれたら、海の向こうの別の大陸まで連れて行く事も可能ですよ。」
「マジで。
ナシアタ君は、滅茶苦茶、有能なドライバーだね。」
「そうですか。」
ナシアタ君が、嬉しそうな顔で返答を返してくれる。
「飛行機は論外として、
パパが異能で作った船よりは安心だけど……怖いよね……」
「いざとなれば、
妾は、この森や、これから主達と行く場所には、ワームホールが繋げる。
じゃから、もし、船とやらが沈没しそうになったとしても、妾が安全な場所まで皆を連れて行くぞ。」
不安そうな顔をする嫁にムンナちゃんがドヤ顔で話す。
「だったら、尚更、誰も、セスナ免許(軽飛行機免許)とか、ヘリコプター免許を持ってなかったのが悔やまれますね……」
「飛行機はアカン。」・「飛行機は無理。」
ナシアタ君の言葉に、レイヒちゃんと嫁が同時に返答を返す。
「もしかして……
レイヒちゃんも飛行機に乗るのが怖い人?
鉄の塊が空を飛ぶとか……どう考えてもあり得ない現象だもんね。」
嫁がキラキラした目でレイヒちゃんに質問をする。
「いや。
元の世界では普通に乗ってたよ。
ウチがアカン。って言うたんは、
この世界には空を飛ぶ乗りもんがあらへん事と、
ウチ達以外にも【空の目】の映像を見れはる人が少ないけど、確実に居はる。ちゅう事や。
つまり……滅茶苦茶、悪目立ちする。ちゅうか……
そういう人達の注目の的になりはるやろうからや。」
レイヒちゃんが淡々とした口調で話す。
「成る程な。
だったら、誰も、セスナ免許(軽飛行機免許)とか、ヘリコプター免許を持ってなかったのは、寧ろ……
不幸中の幸いだったかもしれないな。」
「せやな。
誰も飛行機を運転する事が出来ひんから、飛行機は使われへん。ちゅう方が、
飛行機を運転する事が出来る人は居はるけど、諸事情で飛行機を使うんは自重せなアカン。ちゅう状況よりかは、遥かにストレスが少ないもんな。」
「だね。
皆の足を引っ張りたくはないけど……
怖いものは……怖い。
無理なものは無理だからね……」
ナシアタ君の言葉にレイヒちゃんと嫁が頷いている。
「でっ。兄さん。
他にも何か作りはったんか?」
「木製の滑り台。
後は……薬草を混ぜ合わせて中級の薬と低級の泥パックを作ろうかと思ったんだけど……
レイヒちゃんから貰った大きめのガラス瓶を素材に中級の薬と低級の泥パックを入れる小瓶を作ったら、予想外の高級品が出来ちゃったから、
中級の薬や低級の泥パックを作るの中断したよ。
だって、ガラス瓶、単体のほうが高級品として売れそうな気がするからね。」
「成るほどな。
落ち着いたら、兄さんの【異空間加工倉庫】の中にある在庫の情報をノートにでも纏めさせて欲しいとこやね。」
レイヒちゃんが真剣な顔で話す。
「僕のノートパソコンにハッキングして、【在庫】って言う名前のEx○elを開いてみて。」
「えっ。マジで。
在庫状況を纏めてくれはったんか?」
レイヒちゃんが携帯電話を弄りながら、驚いた顔をする。
「【異空間加工倉庫】の在庫や設計図。レシピなどの情報を紙や木の板。粘土板等に念写するだけでなく、Ex○elなどにも落とせたんだよ。」
「マジで。
電子機器と【異空間加工倉庫】があれば、マジで一財産、作れるんやん。」
レイヒちゃんが、驚愕の表情を浮かべる。
「まぁね。
レイヒちゃんの異能とナブサモちゃんの異能と、ナシアタ君を含めた、元の世界での僕達の家にあった電子機器があれば、
目立つ事を気にしなければ、【異空間加工倉庫】を活用してセレブな生活を堪能する事も可能だと思うよ。」
「魅力的な話だけど……却下ね。
パパの異能もレイヒちゃんの異能も、元の世界でも使えるんでしょう?
パパの異能を軸に、セレブ生活が可能なレベルまで稼げるように頑張るのは……
元の世界に戻ってからよ。」
嫁が淡々とした口調で話す。
「もっと前に言うべきじゃったのかもしれぬが……
上空に水蒸気層が無い主達の世界では、マナを生み出す微生物であるメーが絶滅危惧種じゃ。
故に、アサグと言えども、この世界のように、頻繁に異能を使う事は出来ぬぞ。」
ムンナちゃんが申し訳なさそうな顔で話す。
「ならば、わたしの【マナの貯蓄】の出番ね。
つまり……貯めるのがお金からマナに変わるって事でしょ?」
嫁が不敵な笑みを浮かべながら話す。
「元の世界に戻れば……俺だけが寿命が長いだけの一般人ですか……」
ナシアタ君が自著気味に話す。
「人種のプロトタイプは、アサグ以上に体内のマナを効率的に使う事が出来る。
それもあって、主達の世界でも、
人種のプロトタイプの遺伝子を色濃く残す者や、
主のような人種のプロトタイプの先祖返りは、魔術や呪術を使う事が可能じゃ。
しかも、ナシアタは、人種のプロトタイプとしての力を完全に覚醒させておる。
じゃから、十中八九、元の世界でも魔術や呪術が使える筈じゃ。
それに、たとえ、主達の世界に戻った事で、
ナシアタが、人種のプロトタイプとしての力を、再び、失う事になったとしても、その遺伝子が消える訳ではない。
つまり、ナシアタが、
主達の世界に戻った事で、人種のプロトタイプとしての力を、再び、失う事になったとしても、
エンクルが、主の中にある人種のプロトタイプとしての力を活性化させれば、その力を取り戻す事が出来る筈じゃ。
じゃから、心配する事も、卑屈になる事も無いぞ。」
そんなナシアタ君に、ムンナちゃんが、耳よりな情報を与えてくれた。
■■■
「『封印』。『回収』」
僕はラベルを剥がしたペットボトルの飲み口をワンゾウ用の巨大な回し車に向けながら、意味の無い動作や呪文も交えながら、
ワンゾウ用の巨大な回し車を、ラベルを剥がしたペットボトルではなく、【異空間加工倉庫】にストックした。
つまり、ラベルを剥がしたペットボトルの飲み口をワンゾウ用の巨大な回し車に向けたり、封印の魔術の術式を唱えたのは、全くもって無意味な作業となる。
時刻は、15時半分。
後、30分で16時となる。
出発は、予定通り16時過ぎかららしいので、丁度、良い時間だろう。
「ホンイ団のホンイと申します。
こちらは、私の双子の妹のホンミともうします。
今朝は、オギンとギンマルに回し車を貸していただきたい、有難うございました。
国境沿いの砦までグンフ様達と同行されるとお聞きしました。
ここに銀貨3枚(1枚、1万円の価値)有ります。
明日以降も、ワンゾウ様が使用された後、オギンとギンマルに、その変わった物を使わさせて頂けないでしょうか?」
「金の事は分からぬが……
儂の後に使うのは許可するぞ。」
ワンゾウが得意気な顔で、ホンイと名乗る女の子に返答を返す。
「1回当たり、500円……じゃなかった。
木貨5枚(1枚100円の価値)ぐらいで良い気がするんだけど……」
「タダ。ちゅうのも気を使わせはるもんな。
せやけど、まぁ……
国境沿いの砦の周りは、小さな町っぽくなってはる。って聞いてる。
幾つか、魔銃を買い足そうと思ってるさかい、良え店を紹介してくらはるんやったら、
商会長のナブサモ姉さんに、タダでにして貰えるように頼んだるで。」
レイヒちゃんが、にこやかな笑みを浮かべながら、ホンイと名乗る女の子から、魔銃を売る店の情報を聞き出そうとする。
嫁が言う金額は、この世界の基準では、どうかは分からないが、
僕達の世界基準ならば、回し車を使用するのに払う金額としては妥当な金額だと思う。
そして、レイヒちゃんは、そんな商売っ気の無さすぎる嫁を立てつつも、
お金よりも欲しい情報を集めようとしてくれいるようだ。
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