救難信号(中編)/【異空間ハウス】の扉の展開場所の変更
「何度も、出したり、納めさせたりさせて悪いな。」
「気にしやんといて。」
申し訳なさそうな顔で話すウミシシさんに、レイヒちゃんが笑顔で返答を返す。
「レイヒ。
カーゴトレーラーを外したぞ。」
「あいよ。
『封印。』」
ナシアタ君の言葉を聞いたレイヒちゃんが、無人になったカーゴトレーラーを封印する。
僕達は、救難信号を上げた、ギルドのネギハタ高原国 西都 営業所の訓練生達が夜営をしていた広場に居る。
因みに、外に出てるのは、僕・ナシアタ君・レイヒちゃんだけだ。
爆睡中のワンゾウだけでなく、
戦闘が苦手な嫁とムンナちゃん。それと……2人の護衛としてシャーコをキャンピングカーの中に置いてきている。
「危険な時間にすみません。
訓練生のイココ団の連中には、現在の、この森のイレギュラーな状況での夜間移動は難しいと思い、夜営を選択したのですが……
どうやら、選択を間違ってしまったたようですな。」
訓練生を率いていた教官のリーダーが、
僕やレイヒちゃん。ナシアタ君を見ながら、頭を掻いている。
「この子達とは、この森の最奥の魔石の採掘所で出会ったんだよ。
しかも……その奥の大湖の周りで妖魔虫キノコを採取しようとしてたのを、この森の異変に気がつき、採取を中断して引き返して来た。
それだけじゃない。
その補填として最奥の魔石の採掘所での採取すら諦めて、俺達と一緒に避難する事を選択した。
年齢は、お前達が世話をしている訓練生と対して変わらねぇ。
てか……レイヒちゃんに至ってたは、同い年だけでなく、年上の者も居るようだが、俺達と同格と思ってくれて問題ねぇ。」
「グンフ様の調査団と同格ですか……
末恐ろしい若者達が出てきたものですな。
今回の件で、飛び級でCランクにするのではなく、Bランクにするかべきか。と迷ってた、
銀狼貿易商会の会長のお嬢達がリーダーと副リーダーをしている、訓練生のホンイ団の連中を10年に1人の逸材だと勝手に思ってたのですが……
上には上が居るようですな。」
訓練生を率いていた教官のリーダーが、目を丸くしながら、僕達を見ている。
「あぁ。本当にな。」
ウミシシさんが、そう言いながら、僕達を見ている。
◇◇◇
因みに、レイヒちゃんは、鑑定魔法で見れる年齢を元後世界の年齢(17歳)のままだが、
ナシアタ君は19歳。僕は20歳。そして嫁は……21歳に偽装している。
因みに、ギルドに登録者してる冒険者や運び屋等は通常、レイヒちゃんが調べてくれた通り、
推薦も実績も無い場合、Fランクとして登録をされ、
ギルドが指導員として紹介したDランク以上の冒険者や運び屋に見習いとして付き、
彼等の指導員となった者の推薦を得て、Eランクとして一人立ちするらしいのだが……
ネギハタ高原国の領内のギルドに所属する者は、Fランクの者は全員、訓練生という扱いになり、ギルドが用意した教官から2~3年の研修を受け、Eランク。もしくはDランクの登録者として仕事を始めるらしい。
かと思えば、レイヒちゃんが調べてくれたように、
ミンボン連邦のジハリマの町のように、推薦も実績も無くてもEランクからスタートする事が出来る場所もあるらしい。
今の僕達にとってはジハリマの町のギルドのようなシステムが有り難いが……
普通に考えたら、ネギハタ高原国のギルドのようなシステムの方が良いと思う。
「兄さん。ナシアタ。キャンピングカーに戻るで。」
「うん。」・「おう。」
僕とナシタア君はレイヒちゃんの言葉に頷いた。
◇◇◇
「ご苦労様。」
嫁がペットボトルに入った、ホットコーヒーを渡してくれる。
「有り難う。」
僕は笑顔で、それを受け取る。
『プハァ。
ホットコーヒーが五臓六腑に染み渡るわ。』
『お前は、オッさんか。』
携帯電話からレイヒちゃんとナシアタ君のやり取りが聞こえてくる。
『姉さん。何時も、差し入れ、有り難うございます。』
レイヒちゃんの元気な声が携帯電話から聞こえてくる。
「頑張ってくれている、ご褒美だから気にしないで。」
嫁が笑顔で返答を返す。
◇◇◇
『出ます。』
ネクさんの声が頭の中に響き渡る。
時刻は2時半を過ぎたところだ。
先頭を走るのはフミナリさん達が乗るピックアップトラック。
その後ろをグンフさん達の乗るトラックが続く。
更に、その後ろを、訓練生のホンイ団の2台のトラックが続き、
教官達の2台のピックアップトラックが続く。
因みに、教官達の2台目のピックアップトラックの荷台には、ウミシシさんとハウシさんが、拘束しているタカシュンレイ・コンファンと一緒に乗っている。
その後ろを、訓練生のイココ団の2台のピックアップトラックが続く。
夜間移動が難しいと教官から判断されたイココ団の2台のピックアップトラックには、
クタゴタ達、キトナガエ帝国軍ミンボンの大湖の守備隊の第2伝令部隊の4名が、2名づつ分乗して乗り、
彼達が運転や周囲の索敵をする事になった。
そして、最後尾は、僕達のキャンピングカーになる。
◇◇◇
『カーゴトレーラーを引っ張らなくて良くなって、運転が滅茶苦茶、楽になったわ。』
ナシアタ君の嬉しそうな声が携帯電話から聞こえてくる。
『喜んではるとこ悪いんやけど……
封印魔法や封印の魔術は、重量が重くなればなるほど難しくなるんや。
勿論、ウチやったら、カーゴトレーラーに荷物が満載でも、余裕で封印する事は出来る。
せやけど……それをしたら悪目立ちしてしまうんや。』
レイヒちゃんが申し訳なさそうに話す声が携帯電話から聞こえてくる。
「ナブサモちゃん。
【異空間ハウス】の扉の一番、小さなサイズは、ナブサモちゃんがハイハイして潜れるサイズだったよね?」
「えぇ。そうよ。」
「レイヒちゃん。
僕達の商品。って、薬とか小さな物がメインだよね?」
『せやで。
姉さんの異能があれば、ぶっちゃけ、金はイラへん。
まぁ……早い話、仕事をするんは、この世界で浮かへん為の偽装工作の一部や。
せやから、薬以外にも、
魔石液とか魔石とか……
嵩張らんくて、それなりに値段が高くて、何処に行っても相場があまり変わらへんくて、何処に行っても需要があるもんを商品のメインにするつもりや。」
嫁とレイヒちゃんが、僕の質問に答えてくれる。
「だったら、シャーコとワンゾウを、運転席や、ダイネット。最後尾のの出入口の何処かに移動して貰い、マルチルームに商品を置かない?
そしたら、カーゴトレーラーを引っ張ってなくても不自然じゃない気がする。」
『【異空間ハウス】の扉を何処に展開しはるつもりなんや?
全部の木箱をマジックボックス化しはっても、偽装した商品だけでマルチルームがパンパンになりはるやろうから……
姉さんが展開してくれてはる【異空間ハウス】に出たり入ったりが出来ひへんようになりはるで。』
レイヒちゃんの心配そうな声が携帯電話から聞こえてくる。
「運転席とダイネットを繋いでるトンネルのような場所に【異空間ハウス】を展開して貰う。
でっ。運転席側の【異空間ハウス】の扉を盾の持ち手のようにして貰えば……
いざって時に、ナブサモちゃんとムンナちゃんとシャーコが、ダイネット側の【異空間ハウス】の扉から、【異空間ハウス】に逃げ込み、
2人と1匹が逃げ込んだ【異空間ハウス】をナシアタ君が盾として持ち出せると思うんだよね。」
『兄さんの気持ちは嬉しいですが、
そこまでしてカーゴトレーラーを使わないようにする必要ないですよ。
ただ……
姉さんに、運転席とダイネットを繋いでるトンネルのような場所に【異空間ハウス】を展開して貰うのは有りですね。
トイレにも直ぐ行けるし、ガソリン携行缶も取り出しやすくなりますもんね。』
ナシアタ君の嬉しそうな声が携帯電話から聞こえてくる。
『ワンゾウとシャーコに引っ越しして貰うか否かは追々、考えるとして……
とりあえず、姉さん。
【異空間ハウス】を展開する場所は、運転席とダイネットを繋いでるトンネルのような場所に変更してくれへんか。』
「了解。」
レイヒちゃんの言葉に嫁が笑顔で頷く。
「そうだ。ナブサモちゃん。
明日の朝で良いから、レイヒちゃんのご実家を再現した【異空間ハウス】を展開して欲しい。
それと……
レイヒちゃん。ナブサモちゃんが、レイヒちゃんのご実家を再現した【異空間ハウス】を展開したら、大きめの、お洒落なガラス瓶を有るだけ分けて欲しい。」
「了解。」・「了解や。」
嫁とレイヒちゃんは、僕のお願いを快く了承してくれた。
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