違法な召喚に対するペナルティの情報
『うっしゃあぁぁ!』
『当たりでも出たの?
だけど……交換してくれる店なんてないわよ。』
時刻は3時。
大きな声で叫んだレイヒちゃんに嫁が即座に謎のツッコミを入れている。
『姉さん……
ウチかて、そんぐらい分かっとります。
ウチが喜んでるんわな、
【空の目】でチョニチ傭兵団を見つけたんやけど……
あいつ達は、今、ウチ達よりも北に居はるやけどな、
あいつ達、更に北へ向かって北上し始めてん。
せやから、ウチ達とカチ合わへん。ちゅうことや。
こりゃ……ツキが戻ってきた感じや。思うたら、思わず大声が出てもうたんや。』
レイヒちゃんの嬉しそうな声が携帯電話から聞こえてくる。
「妾達は、この後、ネギハタ高原国経由で、ミンボン連邦のジハリマの町を目指すのじゃろ?
チョニチ傭兵団とは、何れ何処かでカチ合う可能性は残るんじゃなかろうか。」
『確かに、ムンナちゃんの言わはる通りや。
せやけど……
その時に備えて、武器や防具などの装備を整えられる。
ああいう奴等は、多分……
いきなりは襲って来やん筈や。
せやから、しっかりと準備をしてるんが分かるようにしとったら、襲って来はる確率を大幅に下げられる筈や。』
ムンナちゃんから鋭い指摘を受けたレイヒちゃんは、得意気に私見を話す。
「まぁ……
チョニチ傭兵団が、見逃してくれる云々は置いといて、
早めに武器や防具などの装備を整えとく事については賛成するわ。」
『せやろ。
姉さん。分かってはるやん。
この世界には、チョニチ傭兵団以外にも、犯罪者集団は、仰山、居はる。
せやから、たとえ、チョニチ傭兵団とカチ合わんでも、買ったもんは無駄にならへん筈や。』
レイヒちゃんの弾んだ声が携帯電話から聞こえてくる。
「武器や防具については、
買った物が無駄になってくれた方が嬉しいけどね。」
『兄さんの言う通りだな。
いざって時の為に、
殺す覚悟も、殺される覚悟も、常に持っておこうとは思うが……
武器や防具の有り難みが分かるような状況は、出来れば勘弁願いたいもんな。』
僕の話を聞いたナシアタ君が、大笑いしながら話す。
『はぁ……
ウチかて殺し合いなんてしとうないよ。
せやかて、陽の目をみやんのは、それはそれで勿体ない気もするし……悩ましいとこやね。』
レイヒちゃんの拗ねたような声が携帯電話から聞こえてくる。
「どうどう。
武器や防具は、お守りとして買おう。
そうすれば、たとえ使う機会がなかったとしても無駄になった気がしないと思えるんじゃない?」
『姉さん。
良え事、言わはるやん。』
嫁の話を聞いたレイヒちゃんの弾んだ声が携帯電話から聞こえてくる。
■■■
『こちらハウシ。
この先から妖魔虫キノコが生えていない。
悪霊や死霊系モンスターの力は弱まると思うけど……その代わり、それ以外のモンスターや動物との遭遇が予想される。
各人、頭を切り替えてくれ。』
『了解。』×2
レイヒちゃんとウミシシさんが、代表してハウシさんに念話で返答を返す。
『どっちが良いんだろうな?』
「微妙なとこじゃな。」
ナシアタ君の言葉にムンナちゃんが答える。
ムンナちゃんが微妙と言うのは……
悪霊や死霊系モンスター以外のモンスターや動物達も、僕達を獲物と認識して襲ってくる可能性があるという事だろうな。
『おっ。
ギルドのキトナガエ帝国の西都営業所が、キトナガエ帝国政府に対して、モンスター氾濫が起こる可能性がある為、
西都 及び 西都の支配下の村々の住人達に対して、何時でも避難が出来る準備をしとくように命令を出して欲しい。という嘆願書をメールで出しはったわ。』
レイヒちゃんが呟くように話す声が携帯電話から聞こえてくる。
『朝の4時に仕事の依頼をするとか……
この世界は、どこもかしこもブラック企業みたいに24時間、働き詰めなのか?』
『そんだけ切羽詰まってはるんちゃう?
それと……
キトナガエ帝国政府のある場所とは時差がある。
向こうは朝の6時や。
会社の事は、よう分からへんけど、文化祭の準備が間に合わへんから、ダメ元で7時に学校に行ったら、既に開いてたんや。
でつ。教室の鍵を開ける為に、職員室に行ったんやけど……
職員室に居はった先生が言わはるには、鍵を開ける当番になった先生は6時半頃に出勤するって言うてはった。
せやから、ギルドのキトナガエ帝国の西都営業所の人も、誰か居る思うて連絡したんかもしやんね。』
ナシアタ君の話を聞いたレイヒちゃんが私見を話す。
「交代制かもしれないよ。
全ての会社とは言わないけど……
僕の勤めてた会社にも部署によっては夜に出社して、朝に帰る日がある人も居たよ。」
『交代制か。
確かに、近所のコンビニが夜勤の店員を募集してる貼り紙を出してたわ。
その可能性の方が高いだろうな。』
『せやな。』
ナシアタ君とレイヒちゃんが、僕の考えに頷いてくれる。
とはいえ、まぁ……ここは異世界。
ぶっちゃけ、僕達の世界の常識と同じかは誰にも分からないだけどね……
◇◇◇
「早ければ、明日、明後日にはニンムシュが、
この森の中心部の湖の中の小島にある、アマトティとプスアーの欠片が封印されておった、この世界を閉じた世界にする為の術式が刻まれた2つの勾玉が奉納されておった祠から、
妾が奉納されておった勾玉を盗み出した事がバレるやもしれぬな。」
ムンナちゃんが呟くように話す。
「明日と言うのは……
今晩の0時以降。っていう認識で良いの?」
「正確には、明日の主達が、この世界に召喚された時刻以降じゃ。
他世界から違法な方法で召喚をした者や、その関係者と、この星の自我であるガイアに認定された者は、
違法な召喚をした者達が、この世界に召喚された後、
管理者や神仏の代理人や野良アサグを含めて、ペナルティとして3日間ほど【無能者】となるのじゃ。
そして、臆病者のニンムシュは、
3日間ほど【無能者】となる自分や彼女の子飼いの者達を、
この森の中心部の湖の中の小島にある、アマトティとプスアーの欠片が封印されておった、この世界を閉じた世界にする為の術式が刻まれた2つの勾玉が奉納されておった祠や、その付近に潜む事をしなかった。
でっ。そんな性格のニンムシュならば、多分……
明日以降、彼女の懐刀で【星の記憶へのアクセス】の異能を持つ特異点のアサグでもあるアタルハナが【空の目】から得られる映像を確認させ、
その情報を元に万全の準備をした上で、
【世界を繋ぐ者】の異能を使って、
この森の中心部の湖の中の小島にある、アマトティとプスアーの欠片が封印されておった、この世界を閉じた世界にする為の術式が刻まれた2つの勾玉が奉納されておった祠付近へワームホールを繋ぎ、
子飼いの者達を引き連れて、
この森の中心部の湖の中の小島にある、アマトティとプスアーの欠片が封印されておった、この世界を閉じた世界にする為の術式が刻まれた2つの勾玉が奉納されておった祠や、その付近の調査を始める睨んでおる。
でっ。そうなれば……
先程、言ったように妾が言ったように、
妾が奉納されておった2つの勾玉を盗み出した事がバレる事になるじゃろうな。」
ムンナちゃんが、僕の質問した内容への返答だけでなく、
彼女が何故、そう考えているのかについての説明もしてくれた。
『いよいよ、ウチ達を召喚したアホ達に、
ウチ達の存在がバレるかもしやんという事やね。』
レイヒちゃんの真剣な声が携帯電話から聞こえてくる。
「あの祠の外部には、状況を記録する事が出来る魔道具が設置されておったが、
内部には、そういった魔道具は設置されておらぬ。
そして、妾は、
あの祠の外部に設置されておった状況を記録する事が出来る魔道具が記録する事が出来る距離の範囲外から、内部にワームホールを繋ぎ、奉納されておった2つの勾玉を盗み出したので、
妾の存分を特定する事は出来ぬ筈じゃ。
それと、主達が、あの祠の外部に設置されておった状況を記録する事が出来る魔道具が記録する事が出来る距離の範囲内に入っておらぬのも確認済みじゃ。
じゃから、主達の存分も特定する事は出来ぬ筈じゃ。
前にもサラッと話したが、
奉納されておった勾玉が盗み出されたという事実だけはニンムシュにバレるじゃろうから、
盗まれた勾玉を探し出す為の調査団を立ち上げる可能性はあるじゃろうな。」
ムンナちゃんが、キャンピングカーの窓の外を見ながら淡々とした口調で話す。
「ニンムシュが、他の神仏の代理人や【虹を産んだ者達】に、奉納されていた勾玉が盗み出された件を共有する可能性はあると思う?」
「絶対に無いとは言い切れはせぬが……
この世界を統べる者に誰が相応しいかと争っておる奴等に、自分の失態を話す事は無いと思う。」
言葉とは裏腹に、僕の質問に対して、ムンナちゃんが自信たっぷりな感じで答えてくれる。
「その勾玉なんだけど……
僕の異能【活性化と非活性化】を使って、非活性化させれば、再度、活性化されるまで、勾玉に付与された効力を消して、ただの勾玉のように偽装する事が出来るらしいんだけど……
念の為、その勾玉に付与されている効力を消しとく?
それと……紛失や盗難を防ぐ為に、僕の【異空間加工倉庫】で預かっておこうか?」
「エンクル。
申し訳ないが、主の提案してくれた内容で、お願いしたい。
後、皆に、いくつか、お願いがあるのじゃが……聞いてくれるか?」
ムンナちゃんが、そう言うと、
首から下げていた2つの勾玉を、ダイネットのテーブルの上に、ソッと置いた。
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