【サイドストーリー】分岐点(後編)
「らぁめぇぇぇ!
今すぐ逃げにゃきゃ!
逃げにゃきゃ!逃げにゃきゃ!
殺しゃれるぅぅぅ!」
「ビンショ。
急にどうしたんだ?」
ビキアラ様が腰を振るのを止めて、ビンショに質問をされる。
私は、ズグダニ様の汚らしい物を玩ぶ手を緩めずに、彼女達の話に注力する事にした。
【ドピュ】
ズグダニ様は、果ててしまわれた。
こいつは、救えないぐらい呑気なド変態だわ。
「南の方角から、死霊系モンスターや悪霊達の気配を感じるの。
だけど……その距離や数までは分からないわ。
多分……アタシの索敵魔法の範囲を超える場所で、死霊系モンスターや悪霊が大量発生したのだと思う。
それと……
皆さんも、分かってられるとは思うけど……
南の方角的ってのは、我が隊(ネギハタ高原国 第2近衛連隊の第20中隊)が、幽霊達に壊滅させられた方角でもあるの。
もしかしたらだけど……
先刻、チョクが言っていた、
幽霊達に殺された我が隊(ネギハタ高原国 第2近衛連隊の第20中隊)の人達が、スケルトンやリッチなどの死霊系のモンスターや悪霊になって、アタシ達を襲ってくる。
っていう事態が、現実に起こってる可能性が出てきたの。
てか、状況的に考えて、それ以外に考えられない。」
ビキアラ様が腰を振るのを止めたお陰か、ビンショが理路整然と話すようになった。
だけど……
彼女は、恐怖でガタガタと震え、涙を流しながら、リカカと一緒に作っていた壁の方を眺めている。
「レヤレヤ・リカカ!
クサワラから預かっている【集合リス】を使って連絡を取れ!
おい。返事をしろ! レヤレヤ・リカカ!
聞こえてるのか? レヤレヤ・リカカ!
何故、返事をしない? レヤレヤ・リカカ!
レヤレヤ・リカカ! レヤレヤ・リカカ!
返事をしろ! レヤレヤ・リカカ!」
ズグダニ様の怒声が洞窟内に響き渡る。
「兄者!
リカカが居ねぇぞ!」
「何!
レヤレヤ・リカカは、脱走したというのか!」
リカカの様子を見に行ったビキアラ様の言葉にズグダニ様が額に青筋をたてられながら怒鳴るように話される。
「リカカが、この洞窟の唯一の出入口を塞ぐように作ってくれた壁に付与した、あたしの祓いの魔術の術式は綺麗なまま。
だから……逃げた訳ではないと思う。」
「バッ・ビンショ!
ならば、レヤレヤ・リカカは何処に居る!」
ビンショの言葉にズグダニ様が額に青筋をたてられながら怒鳴るように質問をされる。
「ひぃ。」
「兄者。
ビンショに当たるな。
彼女は事実を言ったまでだ。」
ビキアラ様がビンショを庇われる。
「女王様。
どうしましょうか?」
ズグダニ様が困り果てた顔で私を見ている。
彼は、私と2人きりの時だけでなく、ごく僅かな信頼を置いている者の前でも下僕として振る舞ってくる。
「はう。」
私は、その顔を見て、不覚にも彼の汚ならしい物が欲しくなってしまった。
私は権力者の男や女を虐げたり、彼等を膝まずかせたりさせると……何故か下腹部が熱くなってしまうド変態なのだ。
私は、煩悩を払いのけて、外の様子を索敵魔法で注意深く探る。
外は猛烈な吹雪になっている。
手持ちが2台しかないという理由で温存しておいた、小瓶に封印しておいたクアッドは使えそうにないな。
何故なら、この状況で身体が剥き出しになり、走行風をバンバン受けるクアッドをぶっ飛ばしでもすれば……確実に凍死する事になるだろうからね。
「外は猛烈な吹雪。
虎の子のクアッドは使えば凍死するリスクが大きくて、使うべきではない。
リカカが、どうやって消えたかも分からず、
洞窟の奥に別の出入口があるという確証もないけれど……
幽霊達に殺され、
スケルトンやリッチなどの死霊系のモンスターや悪霊に成り果てた、我が隊(ネギハタ高原国 第2近衛連隊の第20中隊)の連中が、私達を追って来る可能性を考えた場合……
奴等の索敵の範囲から外れるのが一番、生き残れる確率が高いと思う。
勿論、リカカが作ってくれた壁を壊して、北に移動する手もなくはないけど……
スケルトンもリッチも疲れを知らない。
本気で彼等が私達をターゲットにしているのであれば、朝まで歩き続けるのではなく、走り続けないと逃げ切れない。
そんな事……物理的に無理でしょ?」
私は状況だけを淡々と述べる。
ここに止まるべきではないが……
逃げるにしてもリスクだらけだ。
正直な話、ここで選択を誤られば死ぬだろう。
だからこそ、選択肢を提示しても、こうするべきだ。とは言えないのだ。
「女王様の仰る事は理解しました。
ここでの選択が死に直結するのですな。」
クズダニ様が恭しい態度で、私の伝えたい事と自分の見解がズレでないかの確認をしてくる。
こいつに、こんなに態度を取られると……
今すぐ、私の陰部で、こいつの汚らわしい物に入った汚らわしい体液を、全部、吸い出してやりたくなるわ。
■■■
体感的には1時間ぐらいは歩いた気がする。
私達は洞窟の奥に別の出入口があるという事を信じて、洞窟の奥に進む事に決めた私達は、休む事なく、ひたすらに歩き続けている。
洞窟の中は、
動いてなければ、ややひんやりするが、
歩き続けていると、外套を脱いでいても汗ばんでくるぐらいの温度だ。
こまめな水分補給は必要だが、寒さで体力を奪われないのが有難い。
索敵魔法で進路を確認しているが……
今のところ、行き止まりになる気配がない。
上手く行けば、このまま、私達が入った洞窟とは別の出入口を見つけられるかもしれないな。
「なんで、こんな場所に昏睡草の枯れ草の束があるんだろう……」
ビンショが小首を傾げながら、
あちこちに無造作に置かれた、人工的に束ねられたであろう、枯草の束を見つめている。
今まで、洞窟の中は、曲がりくねった狭い通路のような広さだったのに……
ここだけ、広場のようになってるのも気にな……
って……火矢?
【ボウ】・【ボウ】・【ボウ】・【ボウ】
【ボウ】・【ボウ】・【ボウ】・【ボウ】
【ボウ】・【ボウ】・【ボウ】・【ボウ】
枯れ草に火がつくと強烈な眠気が襲ってくる。
昏睡草とは、良く言ったものだ。
洞窟の広場の先の、
私達が来たのとは逆方向から、数人の獣人が、こっちを伺ってるのが見える。
鑑定魔法で鑑定してみると、全員が、無能者。
しかも……隠遁の魔術が付与されていた。
索敵魔法に引っかかりにくい無能者に、隠遁の術式なんて付与されていたら……
流石に私の索敵魔法では感知する事なんて出来ないわ。
だが……そんな小細工でどうこうされるような私じゃない。
一眠りする前に……お前達を殺す事ぐらいは出来るぞ。
小賢しい無能者どもめ、
【賢者】のジョブ補正を受けている女の私が……
近接戦闘はザコだろうと舐めたのを後悔させてやるわ。
◇◇◇
「『ジョブ補正 解除』×4」
「お頭。
危ないですぜ。」
ニヤニヤと笑いながら、その一団から出てきた【祈祷師】のジョブ補正を受けいているエルフと狐系の獣人のミックスの小男の前に、
彼の従者らしき【錬金術師】のジョブ補正を受けているドワーフと熊系の獣人のミックスの大男が大きな楯を構えて立ち塞がる。
この大男……
戦闘モードに入った、ウミシシ様やハウシ様。フミナリ様と同じぐらいヤバいオーラを纏ってやがる。
万全の状態であっても、サシでやったら、全く勝てる気がしないわ。
糞。糞。糞。糞。
マジで最悪だわ。
「はぁ……
早く、この……糞生意気そうな女に【隷属の呪い】を掛けたいよなぁ……
だってさぁ……
戦場ではない場所で、
生意気で強い女を肉便器のように扱わないと興奮する事が出来ない絶倫の君に、女を宛がってやるのは骨が折れるからね。」
【祈祷師】のジョブ補正を受けいている小男が、ふざけた事を言いながら、大笑いしている。
今すぐにでも、刺し違えてでも殺してやりたいところだが……無理そうね……
もう……意識が保てそうにないわ。
■■■
「『回復』。
いやぁ……スジノウ君。
君さぁ……流石に、やり過ぎでしょ。」
水をぶっかけられて、目を覚ました後、
大男に陵辱されて、再び、意識が飛びかける寸前に、小男が回復魔法をかけてくれた。
「お頭。
有り難うございやす。
抜けずに終わるかと思って……ヤキモキしてたでやんすよ。」
大男が嬉しそうな顔をしながら、私を見ている。
ふざけるな。
殺してや……
「ぎゃっ。」
頭の中が焼けるように熱くなる。
「殺意を抱いて、自滅してるんじゃないわよ。
お陰で……キュドンが、アタシとの営みに集中してくれないじゃない。」
小男に跨がりながら、腰を振っていた【物情を繋ぐ者】のジョブ補正を受けている人族と猫系の獣人のミックスの美女が、私を睨みつけてくる。
私は……彼女を見た時に、何故か、士官学校で出会った【無能者】の狐系の獣人のビノ・スナギを思い出した。
そう言えば……
結局、私は、あの【無能者】の女狐には隠密作戦や近接戦闘の実地訓練で一度も勝てた事がなかったよなぁ……
【ボコ】
「ぎゃあ!」
大男に顔面を殴られて思わず声が出てしまった。
「俺とやってる最中に考え事とは……
教育が足らなかったみたいだな。」
私を見下ろしている、大男が睨んでくる。
「まだ、ウツメの中に出せてないボクが言うのもなんだけどさぁ……
嫌な予感がするから、30後ぐらいには、ここを出たい。
だから……
いい加減、その女の中に入れて、出すものを出し切って欲しい。」
小男が笑いながら話す。
「了解しやした。」
大男が、そう言うと、
私の中に彼の汚ならしい物を捩じ込んできやがった。
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