一抹の不安と武器や装備等の情報
『隧道を出て来た奴は居るか?
救難を求める信号弾は上がっているか?』
ウミシシさんの怒鳴り声が頭の中に響き渡る。
『救難を求めはる信号弾は上がってません。
隧道から、クアッドが2台とトラックが1台出てきはりました。
鑑定の魔術で確認したら、
1台目のクアッドとトラックはトリース団ちゅう商会の物で、
2台目のクアッドはマキジコ・レコマちゅうネギハタ高原国の貴族の人の物みたいですわ。』
レイヒちゃんが念話で返答を返す。
『マキジコ家の人間ねぇ……
救難を求める信号弾が上がって無ぇのであれば無視で良いよな。』
『その通りだよ。
何故、女狐に連なるマコジキ家の者が、この場に居るのかが気にはなるが……
ここは誰の土地でもないし、
レコマ殿は我々の部下でもないから、その事を問い質す権限もない。
だったら、女狐の家に連なるマコジキ家の者なんて、向こうから接触して来ない限り放って置くのに限るよ。』
ウミシシさんのホッとしたような声と、
ハウシさんのイラついたような声が頭の中に響き渡る。
『でっ。
救難を求めて来たり、接触を試みて来たらどうしますの?』
『グンミさん。
政治的には敵対している勢力に連なる家の者とはいえ……彼女達も我々の国の国民よ。
気がつかないフリが出来ない状況で、尚且つ、純粋に助けを求めて来た場合……
無下にするのは、後々の火種になりかねないわ。』
『失言でしたわ。
お義姉様の仰る通りですわね。』
フミナリさんとグンミさんのやり取りが頭の中に響き渡る。
『ヤドカリ商会。
巻き込んで悪いが、後ろの連中に変な動きがあれば、直ぐに知らせてくれ。
それと……自衛の為の攻撃も許可する。
もし、その判断が誤りであった場合は、責任の全てを俺達が負う。
だから、身の危険を感じたら、遠慮せずに殺ってくれて構わない。』
『なんや知らんけど……
了解しましたわ。』
レイヒちゃんが、ウミシシさんに返答を返す。
『詮索をしない配慮、感謝する。』
ウミシシさんのホッとした声が頭の中に響きわたる。
◇◇◇
『安請け合いをして大丈夫なのか?』
ナシアタ君の心配そうな声が携帯電話から聞こえてくる。
『トリース団の連中からも、
マキジコ・レコマちゅう人や、彼と一緒に居はるオボメ・メヨユちゅう人からも、ウミシシさん達への敵意は感じられへんから、心配しるような事は起こらへんと思うで。
因みに、先刻まで彼女達と一緒に居はった、ネギハタ高原国 第2近衛連隊の第20中隊の連中からは、ウミシシさん達に対して、恐ろしい程の敵意を感じたわ。
せやから【空の目】で、ネギハタ高原国 第2近衛連隊の第20中隊の連中を追ってたんやけど……
ネギハタ高原国 第2近衛連隊の第20中隊の連中は、あのトンネルの向こう側に居はった幽霊達のせいで壊滅状態になりはったわ。
10人弱の人達が、武器を手に着のみ着のまま森の中に逃げ込みはったけど……
乗り物も【人外地の標準装備】もあらへん状況では、
ウチ達を追って来はるどころか、近くの村とかに辿り着きはるんは無理ゲーやと思うわ。
まぁ、ウミシシさん達が警戒してはるんは、その辺りに理由がありはるんかもしやんけど……
クドいようやけど、今んとこ、心配しはるような事は起こらへんと思うで。』
『その事をウミシシさん達に教えてやれない事は分かってはいるが……
なんつうか、申し訳ない気持ちになってくるな。』
レイヒちゃんの話を聞いたナシアタ君がため息をついている。
「無理なものは無理。
気にしても仕方がない。」
嫁は、そんなナシアタ君に対して、身も蓋も無い正論を笑いながら話す。
「それは、そうと、
【空の目】で後ろの人達を見ると、
僕達の世界の銃みたいなの持ってるように見えるんだけど……
この世界の戦闘。ってのは、漫画とかに出てくる剣と魔法の世界のような感じのイメージであってる?
それと【人外地の標準装備】ってのは何?」
僕は話題を変える為に、敢えて気になった事を質問してみた。
◇◇◇
「ジョブ補正とは【賢者】・【匠の職人】・【踏破者】・【武聖】・【物情を繋ぐ者】・【祈祷師】
ちゅう、6つのジョブ補正があるんやけど、
接続率の低い人達、そのジョブ補正の一部しか使われへんらしいんや。
せやから、ジョブ補正を受けてはる人達は、
【賢者】系・【匠の職人】系・【踏破者】系・【武聖】系・【物情を繋ぐ者】系・【祈祷師】系
のジョブ補正を受けてはる。ってのが正解みたいやわ。
でっ。【賢者】系・【踏破者】系・【武聖】系のジョブ補正を受けてはる人達に関しては、
各々の役割こそ違えど、兄さんの言わはるような漫画とかに出てきはる剣と魔法の世界のイメージに近い感じの戦闘スタイルみたいやね。
因みに、大剣とか野太刀と戦斧とか長槍とか金砕棒とか戦鎚とか、そう言うドデカい武器に関しては、
持ち運びの手間を考えて、普段はマジックボックス化してはる肩掛けカバンとかに入れてはるらしいわ。
それに対して、
【物情を繋ぐ者】系・【祈祷師】系のジョブ補正を受けてはる人達と【無能者】に関しては、
体内や魔石に蓄えられたマナのエネルギーを弾丸に変えた魔力弾。つうのを発射する、魔力弾のライフル・魔力弾の狙撃銃・魔力弾のショットガンや、魔力弾のサブマシンガン。
術式が付与されはった弾を発射する魔術弾のショットガンや魔術弾のグレネード ランチャーなんかをメインウェポンとして持ちはり、
ショートソード・小太刀・トンファー・短槍・ナイフ・魔力弾の拳銃なんかをサブウェポンとして持ってはるんが一般的らしいわ。
因みに、この人達の戦闘スタイルは、
剣と魔法の世界のマンガの世界の人達よりも、
ウチ達の世界の軍人さんや警察官。民間軍事会社や反◯の人達とかが出てきはるような漫画の世界の人達のイメージのほうが近いみたいやわ。
それと……
【匠の職人】系のジョブ補正を受けてはる人達に関しては、どっちの戦闘スタイルを取りはるかは、人それぞれ。ちゅう感じらしいわ。
武器や戦闘スタイルとかに関して、ウチが調べた限りでは、こんな感じやな。』
レイヒちゃんのハキハキとした声が携帯電話から聞こえてくる。
『でっ。【人外地の標準装備】ちゅうんはな、
簡単に言えば、徒歩やクアッドやバイクとかで、町や村の外で活動しはる為の装備一式の事を言わはるらしんや。
何れは、体裁を整える為に、形だけでも揃えた方が良ぇかもやけど……
今んとこ、ウチ達には必要が無い物やな。
せやから、詳しい内容については、落ち着いてから共有させて貰うわ。』
レイヒちゃんのハキハキとした声が携帯電話から聞こえてくる。
◇◇◇
『白金貨3枚。って結構な額だろ?
ウミシシさん達が臨時の護衛として雇ってくれたのには……こういう裏があったのかな?』
「どうだろうね。
ただ……そうだとしてもネギハタ高原国の国境沿いの砦まで行ければ安全なんじゃない?」
悲しそうな声で話すナシアタ君に僕は私見を話す。
『ウミシシさん達は、今回の件に対して驚きと困惑の感情もあった。
ウミシシさん達にとっても、完全とはいえないまでも想定の範囲外。ちゅう訳や思うで。
せやから、今回の件を加味してウチ達を雇いはった。ちゅう訳やないんちゃう。』
レイヒちゃんが淡々とした口調で私見を話す。
『成るほどな。
厄介な事に巻き込まれ始めてるのかもしれねぇのか……
ツキが落ちてきた前兆じゃなきゃ良いが……』
『変なフラグ立てな。』
ナシアタ君の呟きに、レイヒちゃんが、即座に文句を言う。
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