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ヤドカリ姫は異世界の扉をひっそりと開ける  作者: モパ
【第1章】小さな波紋
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共同戦線

『俺はネギハタ高原国のミンボン山脈の樹海の調査団の副団長のキテ・ウミシシと言う者だ!


差し支えなければ、君達の所属などを教えて欲しい!』


休憩先の広場に入るなり、大きな声がキャンピングカーの外から聞こえてきた。



「声、デカ!」


嫁が眉間にシワを寄せながら窓の外を見ている。


『拡声の魔術やろな。

ほな。打ち合わせ通りの返答に入るわ。』


「お願い。」


携帯電話から聞こえるレイヒちゃんの言葉に嫁が返答を返す。



『ギルドに登録をせずに、この森で採集をしながら生計を立ててる、しがない者の集まりや!


せやけど、いずれは、ヤドカリ商会の名前でギルドに登録をし、


モンスターや盗賊等の襲撃された村々に医療を提供しながら、見聞を広める為に諸国を巡る野望を持った者の集まりや!』


レイヒちゃんの大きな声が何故か、車外から聞こえる。


これが拡声の魔術という奴なのだろうか。



『今の、この森の状況を、どう思う?』


『一刻も早く、離れるべきやと思うとる!』



『それは素晴らし目標だな!

でっ。今後の予定は?』


『出来れば、貴国(ネギハタ高原国)に行かせて貰いたいと考えてる!』



『そうか!


我々は15時~翌日の8時の間を移動時間とし、それ以外の時間を休息時間。というスケジュールで、ネギタハ高原国に戻る予定だ!


我々の隊列の後ろを行く事を許可しよう!』


『それは有難いです!

打ち合せ等が必要や。って言わはるならば、そちらに伺わせて貰います!』


『基本は、お互いに不干渉!


モンスターや盗賊。悪霊などの襲撃や、【ギルドの作業道】の簡単な補修など、必要な時の相互扶助!


取り合えず、こんな感じの関係性から始めたい!


だから、14時から、簡単な顔合わせをし、

お互いの能力を把握しあうのは、どうだろうか?』


キテ・ウミシシと名乗る男の人が、踏み込んだ質問をしてくる。



◇◇◇



『うち的には、キテ・ウミシシ。ちゅう人の案に賛成やけど、皆は、どうや?』


「問題無いと思うぞ。」


「それで良いんじゃね。」


「だね。」


僕だけでなく、ムンナちゃんとナシアタ君も賛成のようだ。


「オッケー出して。」


『了解。』


嫁の指示にレイヒちゃんが、短い返答を返す。



『そちらの提案に従わせて貰います!』


『了解した!

暫くの間だが宜しく頼むぞ!』


キテ・ウミシシと名乗る男が、僕達に返答を返してくれる。



■■■



「サブ。」


「顔合わせが朝やのうて良かったわ。」


嫁の呟きを聞いたレイヒちゃんが苦笑いしながら話す。



時刻は14時。


僕達は、キャンピングカーを降りて、ウミシシと名乗る人達の一団と、簡単な自己紹介をする為に、広場の中央部に居る。



「キテ・ウミシシだ。


俺以外にキテの姓を持つ者が4名居る。

ややこしいからウミシシと呼んでくれ。


では、こちらのメンバーを紹介させて貰うぞ。」


キテ・ウミシシと名乗る大男が、そう言うと、

自分の受けているジョブ補正などを話し始めた。



■■■



「それは災難でしたわね。」


時刻は14時半。


お互いの自己紹介を終えた後、

この森に起こっている異変のせいで、今回、何も素材を採取する事が出来なかったとボヤいたレイヒちゃんの話を聞いた、グンミちゃんが、苦笑いしながら、僕達を見ている。



勿論、僕達の自己紹介は、事前に打ち合わせた通り、

嫁が【無能者】のCランク相当の商人。

レイヒちゃんが【魔術師】のジョブ補正を受けているBランク相当の護衛の魔術師 兼 秘書。

ナシアタ君が【無能者】のBランク相当の護衛の冒険者 兼 運転手。

そして、僕が【治癒師】のジョブ補正を受けているBランク相当の回復師ヒーラー 兼 Bランク相当の解術師。


そして、シャーコは魔猫。ワンゾウは魔狼。

ムンナちゃんは、嫁の妹の非戦闘員という事になっている。



「これは、あくまでも人生の先輩としてのアドバイスだけどさぁ……


非戦闘員の幼女まで居るんだ。


不測の事態を考えて、余裕を持った仕事をするべきだと思うぞ。」


ハウシちゃんが、ジト目で僕達を見る。



因みに、ハウシちゃんは20代中半。


アラフォーの僕や嫁よりも、かなり年下にはなるが、【活性化】の副作用で見た目の年齢が10代後半から20代前半に見えるようにり、

レイヒちゃんが鑑定魔法から得られる情報を見た目の年齢に合わしてくれた事もあり、

僕と嫁を完全に年下だと誤解しているようだ。



「ハウシお姉様。

そう言うのを余計なお世話だと言うのですわよ。」


グンミちゃんが、苦笑いしながら助け船を出してくれる。



「今回の件で、色々と考えさせられた。

ハウシ姉さんのアドバイスも参考にさせて貰うわ。」


「グハハハハ。


殊勝な心構えだな。気に入った。


ここから一番、国境沿いに近い、我が国の砦にもギルド出張所がある。


そこでギルドに登録したら、

この場所から我が国の砦までの間で。っていう契約で雇った我々の臨時の護衛として、ヤドカリ商会に白金貨3枚を払ってやろう。


その金で、経費倒れになった赤字分を補填し、

残った金で宿を取ったり、トラックや道具のメンテナンスをしたりすれば良い。」


ウミシシさんが、大笑いしながら、太っ腹な発言をする。


因みに、白金貨1枚は100万円の価値だ。



「有難うございます。

助かります。」


「良いって事よ。」


嫁の返答を聞いたウミシシさんが豪快に笑う。



「皆さんの中に【念話】で返答が出来る方は居ますか?」


「うちは【念話】が出きるよ。」


フミナリさんの質問に、レイヒちゃんがドヤ顔で答える。


「なら、連絡は取り合えますね。」


レイヒちゃんの返答を聞いたフミナリさんが、ホッとした顔をする。



「じゃあ。

少し早いが出れるか?」


「何時でも出れるよ。」


ウミシシさんの質問にレイヒちゃんがドヤ顔で頷く。



◇◇◇



「ねぇねぇ。

【念話】ってなに?」


『テレパシーの事や。』


嫁の質問に、レイヒちゃんが分かりやすく答えてくれる。



「へ~。

魔法って便利ね。

携帯電話の代わりみたいなものなの?」


『どやろな。


携帯電話と違うて、物を持たんで良えから忘れたり、壊れたりする心配があらへん代わりに、

通話が可能な距離が半径1キロ~2キロぐらいが限界。ちゅうドデカいデメリットがあるんや。


姉さんの異能と、うちの異能があれば、今、持ってる携帯電話が壊れても問題あらへん。


せやから、わざわざ【念話】を覚えはる必要は無い思うで。』


嫁の質問にレイヒちゃんが、分かりやすく答えてくれる。



■■■



「瘴気の濃度が上がれば気温が低くくなる。

っていう、ムンナちゃんの話を信じて、昨日よりも厚着をしてて良かった。」


「お役に立てて何よりじゃ。

妾も主が選んでくれた服のお陰で凍えずにすんでおる。」


時刻は20時。

嫁の呟きにムンナちゃんが嬉しそうに答える。



『毛布を2枚もくれた時は1枚で良いのに。と思うたが……


明け方頃には、2枚目の毛布も使わせて貰う事になるやもしれぬのう……』


『アタイは既に毛布を2枚とも使用中にゃ。

これ以上、寒くにゃったら、ワンゾウの(クレート)に突入するにゃ。』


『身体をくっつけえば、それだけで暖まるからのう。

何時でも来て良いぞ。』


『有り難うにゃ。』


ワンゾウの話を聞いたシャーコが嬉しそうな声で返答を返す。



『にしても……

身体が剥き出しのクアッドで先導してくれてるハウシさんとネクさんは凄えよな。

俺には無理だわ。』


『2人とも結界の魔術で身体を覆い、走行風とかを、ほとんどカットしてはるから何とか耐えれてはるんちゃう。』


『魔術。つうのも馬鹿に出来ねぇな。


つまりエアコンをつけてない車の中ぐらいの環境って事だろ?


それでも……

やっぱ、2人ともスゲぇんじゃね?』


『せやな。

ウチ達やったら、エアコンを切った瞬間に凍え死んでるんもんな。』


レイヒちゃんが、ナシアタ君の言葉に深く頷いている。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

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