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第204話 『HOPE』4

 俺達はクランの申請をするために冒険者ギルドに来た。

 アルケニアのギルドと言えば依頼掲示板、カウンター、そして少しの談笑スペースがあるこじんまりとした冒険者ギルドだった。

 しかし、ここのギルドはものすごく大きい。依頼掲示板、カウンターはアルケニアと同じだが談笑スペースがとても大きい。そして一番違うのは食事スペースがある事だ。食べ物をギルド内で買うことが出来、その場で食べることが出来る。だからギルド内はとても賑わっており、冒険者以外も沢山立ち寄っているようだ。

 アルケニアだったら精々依頼を受けに来た冒険者か、休憩している冒険者、それに依頼をしに来た客。それくらいしかいなかった。だけどここはものすごく大人数がいる。食事スペースには列もできるくらいだ。


「お?」


 そこで物珍しそうにしている俺たちに気がついたのか厳つい冒険者がこちらへ来た。こういうパターンで冒険者にボコられるってのはよくあるテンプレパターンだ。だから俺は警戒しつつ、こっちに来る冒険者を眺める。

 物凄い筋肉だ。さらに2mをゆうに越すであろう身長と同じくらいの斧を担いでいる。あれに殴られたら一瞬で首と胴が離れそうだ。


「ジャック」

「大丈夫だ、俺がついている」


 ユキが不安げに俺の袖を掴んでくるので安心出来るように撫でながら言う。


「お前さんら、ここは初めてか?」

「はい」

「そうか、ここらの冒険者は気性が荒い者が多いから気をつけろよ」


 どうやら忠告をしてくれたみたいだ。確かにアルケニアの人達よりも気がたっている冒険者が多いようだ。この忠告は助かる。突然襲われるより、予測出来ていた方が対処がしやすい。

 この冒険者のおっさんに感謝だな。


 この忠告を受けたところで漸くギルドカウンターに向かう。カウンターも区切られており、クエスト発注用、ギルド関係用というように様々なものに区切られている。

 その中でも俺らはギルド関係用のカウンターに向かう。


「はい、どういったご要件でしょうか?」

「実はギルドを立ち上げたくて」

「ギルドをですか? 少し待っていてください」


 そう言うとギルド嬢は奥の方に入って行ってしまった。俺達はギルドを作ることに関して話し合っているのだろうか。

 数分してからギルド嬢は戻ってきた。

 一枚の紙を取り出して俺の前に置く。


「それではクランマスターを希望する方はこちらに冒険者名、ランク、得意魔法、あったらスキル名などをお描き下さい」

「ランク?」

「冒険者ランクのことです。冒険者カードはお持ちですか?」

「いえ、この街に来たのは初めてですので持ってないですね」

「そうですか、では最初に冒険者登録をしてしまいましょう」


 そう言って取りだしたのは水晶玉みたいなものだった。その水晶玉はものすごく澄んだ色をしていて、中に黒い煙みたいな物が見える。


「この水晶玉にお手を翳していただくとこちらの紙にお名前以外の情報がこの煙によって記入されます。お名前は後で好きなお名前をご記入ください。冒険者様の中には本名を明かしたくないという人もございますから」


 なるほどね、少し不安になるシステムだが、事情が事情だけに本名を明かせない俺にとっては好都合だ。このシステムに甘えてジャックで通させてもらうとするか。


 俺は水晶玉に手をかざす。その瞬間、水晶玉に入っていた煙が中から出てきて紙に年齢、出身、属性、戦闘方法、一番使う魔法の欄に記入されていく。


「ふむふむ。年齢は17歳、出身はアルケニア王国、属性は光、戦闘方法は剣と拳、一番使う魔法は……あれ? 珍しいですね。得意属性じゃないのにブーストをよく使うんですか? 今までよく倒れませんでしたね」


 そりゃ、強い人から見ても俺の魔力量は化け物級らしいからな。ブーストは確かに消費魔力が大きいけど、聖光の波動を休憩もなしで3発連続で撃つよりはずっといいので特に困ったりはしていない。

 確かに今の俺の戦いだとリラックス草は必須だけど、そこまで節約しなきゃいけないほどでは無いから、今では完全に俺の移動手段だ。このダッシュのエネルギーを活用すると相手に大ダメージを与えることができるしな。


「ではここにお名前を」


 そこで俺はマイに咄嗟に名乗った名前、ジャック・ステイリーの名前を書いた。


「ジャック・スデイリーさんですね? 承りました。そちらのお嬢さんは?」

「あ、この子もお願いします」


 この国では冒険者カードが広まっているってことは持っておいた方が便利なんだろう。なら作って置くに越したことはない。

 その考えはユキも同じだったみたいで、すぐに反応すると手のひらを水晶玉の上に翳した。


「えーっと、年齢は13歳、出身はアルケニア王国、属性は闇、戦闘方法は魔法、一番よく使う魔法はスロームーブ。ではここにお名前を」


 ユキは別に本名を隠す必要はない。だけどこの際だ、名前を自由に決めていいならば本名と違う名前を書くのもありだろう。


「はい、ではジャックの嫁さんでいいですか?」

「良くないです!」


 あぶねぇ、ユキのやつ、なんで名前を描きやがるんだ。そもそも名前じゃない。って言うか、何勝手に嫁名乗ってるんだ? この名前で敬してしまったらユキが呼ばれる度になんだか居た堪れない気分になってしまう。それだけはやめてください。


「仕方ないですね……」

「では、ユキでよろしいですか?」


 結局本名にしたようだ。まぁ、ユキは別に追われている訳でもないしそれもありだろう。

 じゃあ、冒険者登録も済んだし、早速ギルド登録だ。

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