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第203話 『HOPE』3

 裕斗はダントから魔法を食らってその場で崩れ落ちた。

 ピクリともしなかった。この状況は周囲の人々にとある言葉を連想させた。

 その言葉とは――死だった。


 別にこの世界は人が死ぬことは珍しくない。だけど、人が人を殺すなんてのは普通はないことだ。そのため、客には恐怖が募っていく。


「は、ははは、俺に楯突くからだ」

「ジャックさーーん!!!」


 マイは泣きながら裕斗に抱きついた。それに続くようにユキも涙を流しながら裕斗を抱きしめた。

 厳密に言うと魂は別次元に閉じ込められただけでまだ死んではいない。でももう目を覚ますものなど居ない闇属性の究極技だ。これはもう死んだと同じと考えられるだろう。


「片付けておけよ。そのボロくずをよぉ」

「ユル……サナイ。ユルサナイ……。許さない許さない許さない許さない許さない許さない……。お前を殺してやる……。ジャックと同じ目に遭わせてやる!」


 ユキの目は憎しみの色に染っていた。その目から感じるのは狂気だった。裕斗が死んだことによってその悲しみから狂気が出てきたのだ。

 ユキは高速詠唱を始める。

 ダントは嫌な予感がして後ずさる


「狂気で死ね……『永久の牢――」

「やめろ」


 そんな時、ユキの頭に拳骨を落とした命知らずが現れたのだ。その人物を睨もうとユキはそちらを見た。

 その瞬間、憎しみの色に染っていたユキの目はもとの輝きを取り戻し、目尻に涙をうかべた。


「ジャック……」


 そう、そこにいた人物とは裕斗だったのだ。

 裕斗は何事も無かったようにそこに立っていた。そして元々寝ていた場所には裕斗の体はなかった。

 正真正銘、咲ヶ谷裕斗本人なのだ。


「お、お前、どうやって出てきた。これは脱出不可能のはずだ! 今度はどんなズルを使ったんだ!」

「ズルなどしていない。単純にお前の知識と配慮不足だ」


 裕斗はダントの質問に答えると、口元をにやりとゆがめた。

 この力を見て裕斗は「こいつなら例え俺より強くとも勝てる」と確信したのだ。ダントの脳筋プレイじゃ裕斗の頭脳戦には勝てない。


「じゃあ、今度は俺のターンだな」


 裕斗はそう言うとダントに手のひらを向けた。


「聖光よ。我が力に答え、その力を発揮せよ『聖光の波動(シャイニングブラスト)』」


 その裕斗の聖光の波動は真っ直ぐダントに向かって伸びていく。ダントはその聖光の波動を防ぐ術を持っていなかった。その為、そのまま聖光の波動を食らってしまう。

 半端な力で俺の聖光の波動を耐えられる人なんてそうそういない。食らって速攻で倒れてしまった。


 ☆☆☆☆☆


「ジャック、あれ大丈夫なの?」

「お前の方がやばいのをやろうとしていたじゃないか。まぁ、大丈夫だ。手加減はしておいた。俺が人族で殺すのは今のところ一人だけだ」


 人族は基本的に殺す気になれない。俺が殺したいと本気で思ったのは俺たちの仲をめちゃくちゃに切り裂いてくれやがったオーライのみだ。あいつはハルトという仲間も実験台にする極悪人、生かしてはおけない。

 俺は今のところオーライ以外は殺さないって決めている。


「君」


 その時、ジェイサーに声をかけられた。

 多分怒られるんだろうなと思いながらもその呼び掛けに答えて俺はジェイサーの方にむく。


「君、素晴らしい戦闘能力だ。ぜひ俺らのクランに入ってみないか?」

「え?」

「えぇ~っ!?」


 なにか、ユキの方が俺より驚いているような気がする。だけど俺も驚いているには驚いている。なにせ最強と謳われているクラン『SWORD』にスカウトされたのだから。

 でも俺の回答は決まっていた。


「お断りさせていただきます」

「ふむ、理由を聞いてもいいかね」

「俺は自分でクランを作ってみたいんですよ」


 俺が珍しく活動的な発言をした。ここにもしカナタやユユが居たとしたら熱でもあるんじゃないかと心配されただろう。もしくは明日世界が滅亡するんじゃないかと不安にさせてしまったかもしれないレベルで珍しい発言だったと自分でも思う。

 普段そんなことはめんどくさいと言って絶対にやらない。だがそんな俺がどうして急にクランを作ろうと思ったかといったら、単純に仲間だという正式な証明が欲しかったのだ。だから俺は仲間だけを集めたクランを作りたかったのだ。


「そうか、でもクランを作ったら俺たちの敵になるぞ」

「どうしてだ?」

「君、知らないのかい? 実はこの街では一年に数回夏にクラン戦が行われているのだよ。ルールは毎回ランダム、バトルロイヤルや、勝ち抜き戦、トーナメント戦ってね。それで今年はバトルロイヤル戦に決まったようだよ」


 ジュンが俺にクラン戦のことを教えてくれた。

 クラン戦かぁ、腕試しにちょうどいいかもしれない。最近魔物とばかり戦っていたから自分がどれだけ強くなったかがよく分からないのだ。

 ならばクラン戦に出てみるのもありだろう。


「ユキ、俺たちでクランを作ろうか」

「うん、私もジャックの作ったクランになら入りたい」


 少なくともユキは入ってくれるようだ。

 クラン戦、しかもバトルロイヤルだ。今までやったことのないバトル方式、少し不安だが今の俺たちならやれる。そんな気がする。

 そうと決まれば早速クラン申請だ。

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