第200話 バスタガ王国へ!5
今回で200話目です。
ここまで来たのでせめて1年は落とさずに毎日投稿していきたいですね。もちろんその後もできるのが一番なんですけどね。
ワープゲートを抜けるとそこはとても大きな街のど真ん中だった。
たくさんの鎧を来た人達で溢れており、アルケニアの光景とはまるで違う。アルケニアではこんなに武装した人は居なかった。居たとしても精々武器ぐらいなものだろう。
そして一番違うのはアルケニアよりも栄えているって点だ。
アルケニアにももちろん電気はあったが、ここまで明るい電気なんて無かった。
もう暗くなりかけているが、明るいのでアルケニアではもうそろそろ店を閉じそうだという時間でもまだまだ閉じる気配は無い。これがバスタガ王国……その中心、バスタガ城下町だ。
「すごいわね。アルケニアとはまるで違う。これを見たら都会だと思っていたアルケニア城下町は田舎に思えてくるわね」
バスタガ……とてもいい場所だ。アルケニアもとてもいい場所だがここもいい場所だ。
そんな風に街を眺めていたらどんどんと暗くなってきた。もう真っ暗なのだが、まだまだ店を閉めないところはさすがと言えるだろう。
俺が日本で住んでいた場所も田舎だったため、この光景は物珍しくて魅入っていた。
「そろそろ今日の宿を探さないとな」
もう外も真っ暗なのでアルケニアだったら閉まっているかもしれないがバスタガだったら開いている。
近くの宿を看板を見ながら探す。とても懐かしい気分になる。カナタともこんな風に歩いたよな。
って、なんだか最近カナタのことばかり考えて変だな……。もう考えても仕方が無いというのに……。
少し歩くと宿を発見した。
今日は疲れたのでそこで休むことに。
「あの、三人なのですが、部屋は空いてますか?」
「何部屋がいいですか?」
さすがに俺と三人が一緒に寝るのはダメだろうし、2部屋以上は確定だ。
あとは三人がどうしたいかってことだが……。
そのことを聞くように俺はアイコンタクトをした。
「2部屋でいいよね」
「そうだね」
「そうね」
三人とも頷いた。しかし、本当に2部屋でいいのか? 狭くないのか?
だから俺は2部屋と直ぐに結論づけず、みんなに聞いたのだが……。
「もちろん私とヒロトはパートナーだから一緒の部屋」
「おい、ちょっと待て」
その理論はおかしくないか? パートナーはパートナーでも人生のパートナーって訳でもないし、パートナー以前に男女だろ? ダメだろ、普通に考えて。
「じゃあ、妹の私が一緒に寝るのが一番いいね」
「それもちょっと待て……この歳になってまで一緒に寝るのはおかしいだろ」
「昔は一緒に寝てくれたじゃないですか」
「昔だろ?」
小さい頃は一緒に寝たりしたが、サキはもう子供じゃない。しかも俺らは本当の兄妹じゃないからほとんど普通の男女と変わらない。こちらも普通に考えてダメだ。
でもなんでこの二人は俺と同じ部屋がいいんだ?
さすがにスイまで俺と同じ部屋がいいって言わないよな? スイは俺とはちょうどいい距離を保ってくれている。だから安心できるんだが……。
「じゃあ、間をとって私が」
「アウトだよ!」
俺の願いは届かなかったようだ。スイはお調子者のところがあるから乗っかってきたのか?
にやにやしているし、その可能性が高いな。からかってきているのだ。
なんか悔しいし、やり返してやるか。
「でも……そうだな。スイなら信用できるしいいかな」
「え……えぇ!?」
スイが驚きの声を上げた。さっきまで二人に誘われてあたふたしていたから面白い反応が見れると思ったのだろう。
しかし、俺から予想外の回答が帰ってきたため、顔を赤くしてスイはあたふたしていた。
俺にとってもこの反応は予想外なんだが……。もしかしてスイは迫られるのになれていないのか?
「ダメだよ!」
「そう、私とヒロトが一緒に寝るべき」
「え、えと……ヒロト? 本気で言ってるの? い、いや……じゃ……ないけど……その……」
俺が言った一言で余計にややこしいことになってしまったようで、この騒動のせいで周りで食事を採っている皆さんの視線を集めてしまっている。
ほとんどは羨ましいという視線だが、この状況はそこまでいいものでもない。
「とにかく2部屋でいいんだな? 俺は一人で寝るからな!」
そう言って俺は2部屋取ると自身の部屋に向かった。
☆☆☆☆☆
寝る直前。俺がもう寝ようと準備していた時だった。
コンコンと扉をノックされた。
「はい」
扉を開けるとそこにはユキが居た。とても神妙な様子。
一瞬また俺と一緒に寝るとか言い出すんじゃないかと疑ったものの、その表情を見てそう言うことではないと悟った。
ユキがこんな表情をするなんて珍しい。だけど、俺はこの表情の理由が直ぐにわかった。
「ヒロト、上げてもらってもいい?」
「ああ、ちょっと待ってくれ」
俺はユキを中に上げ、水を用意してユキの前に置いた。
「ねぇ、ヒロト。聞いてもいい?」
「なんだ?」
「ヒロトはなんであの時名前を誤魔化したの?」
そう来ると思った。
あの時と言うのはマイに自己紹介した時のことだろう。それにユキに自己紹介した時の質問の意味でもある。
今の今まで話してこなかった。ある意味騙していたとも言えるだろう。申し訳なくなってくる。
もしかしたら俺の話を聞いたら離れて行ってしまうかもしれないと思うと臆病になってしまう。でもこれ以上隠すのはユキに失礼だろう。
「俺は今、アルケニアで重罪人として追われているんだ」
「え?」
その声には驚きの感情が読み取れた。そりゃそうだろう。普通はそんな話になるとは思わない。
「俺はアルケニアから脱出するために死戦の家で修行していたんだ。どうだ? これが真実だ。怖くなったか? 怖くなったら俺から離れてくれても――」
「ううん。私は離れない」
今度は驚くのは俺の番だった。
まさかの答えだった。真実を話したんだ、こんな俺のことは怖がって当然だし、離れていくと思っていた。
だがユキは離れないと言った。俺はその言葉は泣きそうなほど嬉しかったが、疑問が湧いた。なんで怖がらないのか。
普通はこんな犯罪者だと言われたら怖がって当然なんだが……。
「ヒロトは優しい。いつも全力で、そして私の事を元気づけてきた。今更ヒロトの事を怖がったりしないよ。どうせヒロトの事だから仲間を守るために罪を被ったとかそういうのでしょ? わたしはヒロトの事は話を聞いた今でもパートナーだと思ってるし、困ったら助け合いたいと思ってる。だから元気を出して、わたしはあなたを信用してるから」
「ユキ……」
嬉しかった。ユキに、こんな俺でもパートナーと言って貰えたことが何よりも嬉しかった。
その嬉しさのあまり、俺はユキを抱きしめていた。
強く抱き締め、何度もありがとうとつぶやく。
するとユキは俺の事を抱き締め返してくれて、背中をポンポンと叩いてくれた。それがとても落ち着き、かなりの間この状態で居た。
その時だった。外で物音がした。
「だ、誰だ!」
「あ、バレた」
俺が聞くと外に居た人物は部屋の中に入って来た。その人物はサキとスイだった。
二人はとんでもないシーンを見てしまったと顔を赤らめている。
そんな二人を見てやっと自分の体制がどんなものなのか気がついて急いでユキから離れる。
「ごめん」
「ずっとそのままでも良かったのに……」
「どうした?」
「なんでもない」
そんな様子を見てサキとスイの二人は笑った。
「良かったね、お兄ちゃん」
「ユキなら大丈夫だと思っていたわ」
二人も心配してくれていたようだ。でもなんでここにいるんだ?
「ユキちゃんが急に部屋から出ていったからなんだろうと思って着いてきたんだ」
ユキの事を尾行していたのか。
でもこれで漸く安心出来た。ずっとユキの事を騙している感じがして落ち着かなかったのだ。
だけどこれからは胸を張って言える。俺とユキは真の、
「パートナーだ」
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