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第194話 歴史書

「「鬼! 悪魔! 人でなし!」」


 二人を無理矢理連れて廃墟に来ていた。

 ここまで来るのに二人は物凄く抵抗してきたが、スイがアイスロックをしたせいで暴れられなくなった。

 スイのアイスロックは水操作ウォーターオペレーションじゃ無いのでスイから直接氷を繋がなきゃ効果が無いので一人で戦う時には敵に近づかなくちゃいけなくてリスクが大きいらしい。


「ユキは分かるけどサキはルーダンで腐るほど見ただろ」

「怖いものはどれだけ見たって怖いままだよ!!」


 そういうものか?

 確かにサキは昔から幽霊とかは苦手だったしな。俺が心霊番組なんかをリビングで見ていたら物凄い怒られたっけな。

 ちなみに俺は別に苦手でもなく、好きな方なので心霊番組をスマホで見ていたりしていた。

 それから高校生になってバイトが出来るようになったら自分でテレビを買ってそれで見ていた。

 まぁ、実際に見ていて心霊番組の怖さと経験の怖さでは全然違うと感じたけどな。


「それにしても古そうな建物だな」

「ええ、だけど建てた人が物凄い魔法の腕らしくて劣化はしているものの全く壊れる気がしない」


 スイは元々男勝りなところもあるし、こういうものは大丈夫そうだと思ったけど案の定のようだ。全く怖がる素振りを見せない。

 更に探索オタクなせいかいつもより活き活きしているような気がする。


 中は以前調べに行った広間和人の研究施設のように色々なものが散乱していた。

 なに? この世界の廃墟ってみんな散らかっているものなのか? 偶然なのかもしれないが内装が嫌に酷似している。

 もしかしたら本当に何かの研究施設後なのかもしれない。


 だけど、あの研究施設に行ったのはこの中だと俺一人なためみんなは何も思わずに見ているのだろう。


 と、そこで俺は何気なく一冊の本を手に取った。

 その本を適当にペラペラめくっていると大体の内容の予想は着いた。これは歴史書だ。

 研究施設なら研究成果なんかの資料が落ちているかと思ったのだが、これは予想外だった。

 それにこれ、


「サキ、見てくれ」

「な、なにお兄ちゃん」


 一応中に来たものの、怖くて入口で固まっているサキのもとにこの本を持っていく。

 そしてこの本を見せるとサキは驚いた表情をした。そりゃそうだろう。この世界に日本語で書かれた書物など存在するはずがないのだ。

 だが今、俺たちの目の前にある。その矛盾が先には理解が出来なかったのだ。

 俺はアルケニアの図書館で見たのが一番最初だったので驚きは少ない。でも本来はこういう反応になるんだろうな。


「お兄ちゃん、これって」

「ああ、日本語で書かれたこの世界の歴史書だ」


 とりあえず読んでみることにする。

 俺とサキのふたりでこの歴史書に目を通した。


 この世界はたくさんの神によって作られた。

 その神には色々な担当分野が存在する。創造の神、破壊の神、才能の神。それぞれが自身の得意分野の概念を創造した。

 その中でも重要な立場に位置しているのは神の中でも変わり者の兄妹だった。

 兄妹は人間に物凄い関心があり、人の死後を決める神となった。


 妹は直ぐに神として活躍出来る才を持っていた。しかし、兄には何も無かったのだ。唯一あった特徴と言えば人間に最も近しいという事だけだった。

 もちろん人間らしい神なんて他の神にとっていいはずもなく、迫害されるようになっていきました。

 そんな時、兄はふと思ったのです。「人間らしいなら人間が出来ることが出来るかもしれない」と。

 そう思った兄は努力をしました。そしてやっと身につけたのです。神の身でありながら最強のスキル、『天罰』を。

 それによって兄は天罰を与える神となったのです。


「これはとある兄妹神のことが書かれたページみたいだな」

「この世界には神が居たんですね」

「みたいだな。ってか、人間と理性のある魔物しかスキルって使えないはずなんだな」


 俺はそこに驚いた。

 神がいるとか読んだ瞬間には神もスキルが使えるのかと思っていたが、使えないらしい。

 でも一人だけ使える神が居たのか……『天罰』、如何にも神らしいスキルだ。

 その近くに名前が書いてありそうな欄があるのだが『ガ……・……ジ……』と言うようにほとんどがインクが滲んでいて全く想像がつかない。


「でもお兄ちゃん。これって日本から来た私達以外の勇者が書いたってことですよね」

「ああ、そして恐らくだが俺は誰が書いたかわかった」


 俺は記憶力だけには自信があるんだがこの筆跡からして広間和人の研究施設にあった資料と大体同じような気がする。

 やっぱりこの世界のどこに行っても広間和人の名前が浮かばない事は無いんだな。


「この世界にはこれ以外にもあるんでしょうか?」

「さぁ? 分からないけどまだなんかありそうだよな」


 俺達が二人で歴史書を読んでいると何やら奥に行ったスイの興奮した声が聞こえてきた。

 それを聞いて同じく入口で縮こまっているユキが怖がっている。探索オタクのスイは手のつけようがないな……。

 しょうがない、俺が様子を見に行くとするか。


「どうしたスイ。そんな奇声を発して」

「ついに、ついに見つけたわ。幻の杖よ!」


 そう言って見せてきたのは俺にとってはただの杖にしか見えない代物だった。しかしスイにとってはかなりの大発見なのだろう。物凄く喜んでいる。


「これ、貰っていくわね。廃墟になってたんだし、いいわよね」

「良いと思うが、それ……呪いとかかかってないよな?」

「だとしたら余計に興奮するわね。いわく付きの物品……いいわね」


 スイはもうダメだ。探索とかし出すともう手に負えない。

 サキはいつもこんなスイを相手にしてたのか……すごいな。

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